魚を食べてじんましんが出たり、顔が赤くなったりという経験はありませんか?主に赤身魚を食べるとアレルギーに似た食中毒を起こすことがあり、アレルギーと混同されがちです。誰にでも起こる可能性があるものなので、正しい予防法を知り、家庭でできることを実践していきましょう。
ヒスタミン食中毒ってどんなもの?
ヒスタミン食中毒はヒスタミンを多く含む食品を食べることによって起こる食中毒で、アレルギーと似た症状が出ることから、アレルギー様食中毒と呼ばれています。
ヒスタミンはヒスチジンというアミノ酸が、ヒスタミン産生菌が持っている酵素の働きによって変化したもので、100mg以上摂取すると食中毒を起こすとされています。食べてから1時間くらいの間に症状が出るので、比較的原因食品が突き止めやすい食中毒であるといえるでしょう。
ヒスタミン食中毒の症状
顔が赤くなる、じんましん、嘔吐、下痢、頭痛 重症の場合は意識不明、呼吸困難 など
ヒスタミン食中毒を起こす食品
主に赤身魚(カジキ、マグロ、ブリ、サバ、サンマなど) や、その加工物
海外では鶏肉やチーズ、ハムが原因で起きた事例も報告されています。
また、ヒスタミン食中毒は特にアレルギー体質の人の方がなりやすいというわけではなく、誰にでも起こる可能性のある食中毒です。アレルギーを起こしたからもう赤身魚は食べられないと思い詰めず、このような食中毒もあるということを知っておくのも大切ですね。
ヒスタミンの性質は?
ヒスチジンやヒスタミン自体はアミノ酸なので、正確にいえばたんぱく質の仲間です。しかし、このヒスチジンをヒスタミンに変えるヒスタミン産生菌によってヒスタミンが増殖することによって食中毒が起こります。
注意が必要なこととして、ヒスタミン産生菌は加熱によって死滅しますが、すでに増殖してしまったヒスタミンはほとんど分解されません。
また、冷凍している間は増えないですが、解凍するとまた増殖してしまいます。
ヒスタミンが特に増えやすい温度は25〜35度となっており、常温で置いておくことでより増殖を促してしまいます。
ヒスタミンは一度増えてしまうと取り返しがつかないので、食中毒予防の三原則「付けない・増やさない・死滅させる」の中では「増やさない」という部分が最も重要といえるでしょう。
ヒスタミン食中毒を予防するためには?
ヒスタミンは、煮たり焼いたりなど加熱調理して減るものではないので、発生させないことが一番重要です。
- 常温で放置しない
- 冷蔵していても早めに食べ切る
- 干物などの加工品も低温保存する
- 冷凍した赤身魚を解凍するときは、低温で早めに溶かす
- 解凍、再冷凍を繰り返さない
- ひと口食べたときに舌がピリピリしたら食べるのをやめる
家庭での取り扱いはもちろん大切ですが、ヒスタミンを産生する菌は魚を加工する場や水揚げ時にすでに汚染されている場合もあります。できるだけ安心できるメーカーや販売店を選び、不安なことがあれば保存状態などを問い合わせてみるのもよいでしょう。
また、ヒスタミンに汚染されている魚は、食べると口の中がピリピリすることがあります。最初の一口目は少なめにして、味などを確かめてから食事をすると安心ですね。
まとめ
魚を食べて体に異変が起こったら、アレルギーではなくヒスタミン食中毒の可能性もあります。
どちらなのかを自己判断するのは危険なので、病院を受診しておくと安心できますね。赤身魚は白身魚よりも食中毒を起こすリスクが高いということを心に留め、いつも以上に丁寧な衛生管理を行いましょう。