夏場も冬場も、よく流行をみせる「胃腸炎」。時折、芸能人が胃腸炎で入院した…というニュースも耳にします。
胃腸炎と聞くと、下痢や嘔吐などのイメージがまず浮かぶと思いますが、原因は何かご存知ですか?そんな胃腸炎について、症状や原因について詳しくまとめてみました。
胃腸炎とは?
その名の通り、胃と腸に炎症を起こしている状態です。
炎症が胃だけで留まっている場合は胃炎、腸だけの場合は腸炎、両方にある場合を胃腸炎と呼んでいます。
原因
細菌やウイルスによる感染性のものが大半を占めます(感染性胃腸炎)。
細菌
黄色ブドウ球菌・サルモネラ・ブドウ球菌・腸炎ビブリオ・病原性大腸菌・カンピロバクターなど
ウイルス
ロタウイルス・ノロウイルス・エンテロウイルス・アデノウイルスなど
このような感染性胃腸炎は、乳幼児に多くみられますがどの年齢層でもみられる感染症です。
これらのほかに、寄生虫や毒キノコなどの植物、ヒ素・水銀・カドミウムなどの化学物質で汚染された水や食べものなどが原因となることもあります。食中毒も感染性胃腸炎の一つです。
症状
下痢・吐き気・嘔吐・腹痛などが主症状として現れます。細菌やウイルスの種類・毒素によって症状の強さには個人差がありますが、発熱や疲労感などの全身症状が現れることもあります。
激しい下痢や嘔吐が続く場合は、脱水症状や電解質喪失症状などを合併します。
感染経路は?
毒性のある化学物質摂取による胃腸炎は感染ではありませんが、細菌やウイルスの場合は人から人へと感染する恐れがあります。
接触感染・経口感染
病原体が付いた手で口に触れることで感染します。下痢や嘔吐の症状がある人が、手洗いをしっかりせずにそのまま他者へ触れ感染する場合や、下痢や嘔吐などで汚染されたおむつやおもちゃなどを処理したあとその手で口に触れることで感染する場合などがあります。
また、胃腸炎は、細菌やウイルスで汚染された食べ物や飲料水を摂取することによっても感染します。感染した人の便で汚染されたプールや細菌が付着したままの食料を加熱殺菌しないまま思いがけず摂取してしまった場合などがあります。
潜伏期間
病原体によってことなりますが、潜伏期間はおよそ1~3日程度のものが多いです。
胃や腸の不調、こんな病気の場合も
上記に述べた感染性胃腸炎のほかに、胃や腸の不調から下痢や嘔吐・腹痛などを引き起こすことがあります。
機能性ディスペプシア
胃の痛みや胃もたれなどの症状が継続的にあるにも関わらず、内視鏡や検査などでは異常が見つからない病気です。
今までは神経性胃炎やストレス性胃炎、慢性胃炎と呼ばれていたもので、近年になって「機能性ディスペプシア」と呼ばれるようになりました。主な症状は、胃もたれ・すぐに満腹感やつっかえる感じがある(早期膨満感)・みぞおち部分の痛み(心窩部痛)・みぞおち部分の灼けるような感じ(心窩部灼熱感)です。原因には、胃そのものの運動機能障害やストレスがあります。
過敏性腸症候群
上記と同様大きな異常は見られないのに、慢性的な便秘や下痢が続く病気が過敏性腸症候群です。これは過敏性腸炎とも呼ばれており、ストレスが主な原因とされています。
まとめ
胃腸炎の原因はほとんどがウイルスや細菌によるものです。
食中毒などは、加熱殺菌などが不十分な場合でも容易に起こります。そのため、日ごろから料理などの際は十分に注意することや、排泄前後・食事前後での十分な手洗い、また感染者がいた場合は汚物の処理や消毒などを適切に行うことで、感染拡大を最小限に抑えることができます。夏や冬にかけて流行しやすい傾向にあるため、これからの時期は手洗いうがいなどもしっかり行っていきましょう。