ユネスコの無形文化遺産に登録もされている日本の和食。繊細さや芸術的な面だけではなく、健康食としても世界的に関心が高まっている様子です。しかしそもそも和食とはどういう食事をいうのか、本当に体に良いのか疑問を持つ部分も少なくはありません。ここでは和食の本来の意味を一度見つめ直し、健康的な和食のとり入れ方を解説していきます。

目次

和食とはどんな食事のことをいう?

日本は世界的に見ても特徴的な四季の移り変わりを感じられる国です。これは地形的な条件によるもので、日本のように四季によって気温がはっきりと変化する国は少ないとされています。

日本は海や山など多くの自然に囲まれた国で、海の幸、山の幸など多様な食材が揃っているのも特徴です。季節や地域によって違う食材を使ったおいしい料理が楽しめます。

和食とは、日本で食べられる料理や食材そのものだけではなく、自然の恵みを大切にする心や習慣、歴史など食文化全体のことを表すもののことをいいます。

健康食としての和食

近年では、海外において日本食が注目されブームとなっています。和食は好きな外国の料理の上位に位置づけられており、日本食レストランの海外進出増加などの背景からもその人気が読み取れます。

和食の人気の理由としては、見た目の美しさやおいしさなどはもちろんのこと、栄養バランスが優れて健康的という点にも注目しておきたいところです。

和食は主食、主菜、副菜、汁物の揃った一汁三菜が基本となっています。長い歴史を見ると、和食の主菜となるものは魚介類が基本です。魚は肉類と比べて血中脂質の上昇につながる飽和脂肪酸が少ないという点も、和食が健康的といわれる理由の1つとなっています。

しかし、日本に西洋料理が入ってくるようになってからは魚食から肉食へ移行しているのが現状です。肉が全面的に悪いというわけではありませんが、昔ながらの和食と考えると、魚に比べると代表的な食材とはいえないでしょう。

魚から肉への移行に加えて、加工品や外食産業の増加なども背景にあり、「日本ほど短い期間で食生活が大きく変化した国はない」ともいわれるほど現代の食生活は多様化しています。そんな今だからこそ和食の文化を見直し、美しい食文化を受け継いでいくことが大切なのかもしれません。

和食は素晴らしい…だけど問題点も?

日本人の四季を重んじる心や、美しくおいしい和食は確かに健康的で素晴らしい文化なのかもしれません。しかし、そんな和食もパーフェクトといえるものではなく、それなりに問題点も見受けられます。

塩分が多い

日本人は世界的に見ても塩分の摂取量が多く、健康問題として取り扱われています。塩分の摂りすぎは高血圧の原因となり、心疾患や脳血管疾患などの循環器疾患にまで発展することがあります。

和食に塩分が多いのは、保存を高めるための塩蔵品が嗜好的な部分で根付いていること、醤油や味噌など伝統的な調味料に塩分が多く含まれていることなどが原因です。

年間の推移を見ると平均的な塩分摂取量は減ってきているものの、まだまだ他の国に比べると多い方です。塩分の摂りすぎは生活習慣病のリスクを高めるということを意識して、日々の生活の中で減塩に取り組むことが必要です。

カルシウムが少ない

日本人は慢性的にカルシウムの摂取量が不足しています。カルシウム自体が吸収されにくい栄養素であり、吸収率の高い牛乳やヨーグルトなどの乳製品は和食にはほぼ使用されません。

豆腐や納豆、ワカメやのりなど、和食で使われる食品の中にもカルシウムが多く含まれているものもありますが、吸収率が低いうえに、意識して摂取しなければ不足してしまいます。栄養バランスを考えると、和食+乳製品という組み合わせが最も優れているのかもしれません。

まとめ

健康食として世界的にも注目されている和食は確かに飽和脂肪酸が少なく必要な栄養素をまんべんなくとれる優れた食事には間違いありません。ただし、塩分が多い、カルシウムが少ないという和食なりの問題点を解決できたときに本当の意味での「健康食」として成立するのではないでしょうか。