暑い時、体温調節機能の働きによって汗が出るのは当然のことですが、暑くないのに汗をかいたという経験はありませんか。

人前で話をするとき、何かに驚いたとき、お腹が痛いとき、頭がぼーっとするとき…人はこのような場面で俗にいう「冷や汗」をかくことがあります。ではこの冷や汗の裏に何か病気が潜んでいる可能性はあるのでしょうか。

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冷や汗とは

上記でも述べたように、人は暑い時は体温超調節機能の働きによって、体内の熱を放散させるため汗が現れます。しかし、暑くない時にも汗をかくことがあります。これは一般的に精神性発汗と呼ばれるもので、緊張やストレス・不安など極度の精神的緊張状態となったときに交感神経が過敏に働くことであらわれます。これは至って正常な働きであり、どんな人でも起こります。

冷や汗が出る病気は?

精神性発汗のほかに冷や汗が出ることがあります。それは何かの病気の症状として現れている場合があります。

低血糖

体内の血糖値が下がった場合、血糖値を上げようと交感神経系と中枢神経系の神経症状が現れます。この交感神経系の症状の一つとして冷や汗が挙げられます。冷や汗のほかには顔面蒼白手の震え、動悸、空腹感などがあります。また、低血糖状態が続くと、中枢神経系の症状として頭痛や頭がぼーっとするなどが現れ、さらに悪化すると意識障害やけいれん発作、低血糖昏睡となり最悪の場合死に至ることもあります。

心筋梗塞

心臓をおさえる男性

心臓の血管が詰まったり心臓のポンプ機能がうまく働かなくなることで、心臓に十分な酸素や栄養、血液が循環しなくなります。その結果、身体は心臓に血液を送ろうと血管が収縮します。血管が収縮することで汗を出す汗腺も収縮し、それによって冷や汗が出る場合があります。

多くの場合、冷や汗のほかにも胸の痛み・呼吸困難・息切れ・吐き気などの症状も同時に現れます。

メニエール病

原因不明の内耳の病気であり、めまい・難聴・耳閉感・耳鳴りなどの症状とともに自律神経症状が現れるとされています。この自律神経症状に冷や汗や頻脈・顔面蒼白・悪心・嘔吐などがあります。

熱中症

熱を体外に放散させようとして皮膚の血管が収縮することで冷や汗などの症状が起こります。一過性の意識障害めまいを伴うこともあります。

自律神経失調症

自律神経のバランスが乱れることで、体内の調節がうまく行われずに冷や汗が出ることがあります。自律神経失調症の原因などについては「自律神経失調症とは?症状をセルフチェックしてみよう」で解説しています。

脳貧血

脳貧血の原因の一つに自律神経失調症が挙げられるため、冷や汗も症状として現れることがあります。脳貧血について詳しくは脳貧血と貧血とは何が違う?脳貧血の症状とはで解説しています。

精神性疾患

パニック障害や不安障害などの精神性疾患の場合も、ストレスや心理的負担から冷や汗をかくことがあります。

 

このほかにも激しい腹痛や下痢、嘔吐などの症状が主症状のときに冷や汗の症状を伴うことがあります。これらの場合は、慢性便秘症や尿路結石、虫垂炎や腸閉塞、子宮内膜症などの病気の可能性があります。

いずれにしても、冷や汗だけが症状として現れるのではなく何かほかにも症状を伴っている場合が多いため、早めに病院を受診し適切な診断・治療を受けることがいいでしょう。

まとめ

緊張したときや驚いたときなどに起こる一過性の冷や汗であれば大きな病気が潜んでいる可能性は低いですが、心筋梗塞など命に関わる重大な病気が隠れていることもあります。ただの冷や汗だからと甘くみるのではなく、他に症状が伴っていないか・身体に異変はないかなど確認し、重大な病気を見逃さないようにしましょう。