気胸とは肺に穴が開き、肺から空気が漏れてしまう病気です。
中でも自然気胸と呼ばれる病気は、痩せ型の若い男性に起こりやすい特徴があります。

この気胸について症状やメカニズムを詳しく解説します。

目次

肺の構造と働き

人間の体の中で肺は、口や鼻からの呼吸によって酸素を取り込み、全身に供給する働きを持つ臓器です。

心臓を挟んで左右両側にあり、肺胞という小さな袋が多数集まった構造になっています。

肺は、肺表面を覆う肺胸膜と、その外側の壁側胸膜の2枚の胸膜で覆われており、その2枚の胸膜の間を胸膜腔と呼びます。

気胸のメカニズムと症状

気胸の症状とメカニズム2-図解

健康な状態では、2枚の胸膜は密着しており、胸膜腔に空気は存在しません。
胸膜腔には摩擦を防ぐために、少量の胸膜液(漿液)が存在しています。

しかし、何らかの原因で肺胞の一部が風船のように膨らんで破れ、胸腔内に空気が流れ込み、その空気の存在によって肺が圧迫され、正常に膨らむことができなくなる状態が気胸です。

この風船状に膨らむ病変をブラまたはブレブと呼びます。

肺が正常に膨らむことができなくなるため、呼吸困難胸痛などの症状が出現します。

気胸の原因と種類

突発性自然気胸

明らかな原因もなく、突然に発症するタイプの気胸で、長身で痩せ型の若い男性に多いといわれる気胸です。

気胸の原因となるブラやブレブができやすい体質的特徴(長身、痩せ型、若い男性)との関連があるとされていますが、はっきりとした原因は不明です。

気胸の範囲によって重症度が異なり、軽症の場合は穴は自然に塞がり、治療を必要としませんが、気胸が広範囲に及ぶと、広く肺を圧迫し、心臓への血液循環が阻害されることから、血圧が低下し生命の危険が及ぶこともあります。

続発性自然気胸

一方、続発性自然気胸は、肺がんや肺気腫などの肺の病気に伴って起こる気胸です。

これらの肺疾患の罹患率が高い高齢男性の発症が多く、肺疾患の原因となる喫煙も関与しています。

月経随伴性気胸

続発性自然気胸の一種です。

気胸は男性がかかるというイメージがありますが、子宮内膜症が原因で起こる女性特有の気胸があります。

子宮内膜症組織が腹腔内や血管を介して胸腔に達して増殖し、月経時の子宮内膜組織の脱落時に肺に穴が開き気胸を起こします。

女性の気胸は比較的少ないため、気胸を起こした場合は月経との関連のある月経随伴性気胸の可能性を考えます。

※子宮内膜症とは

子宮内膜症とは、本来、子宮内腔にしか存在しない子宮内膜組織が、子宮以外の場所(卵巣・腹壁・直腸・膀胱など)に増殖する病気です。

外傷性気胸

事故やケガで肋骨が折れて肺に刺さるなど、外傷を原因として起こる気胸です。

医原性気胸

中心静脈カテーテル挿入時など、医療行為に伴って、稀に気胸を生じてしまうことがあります。

気胸の検査と診断

 

呼吸困難や咳などの自覚症状は気胸だけでなく、ほかの呼吸器疾患でもよく見られる症状です。

気胸の診断には、医師による聴診と胸部レントゲン検査、さらには胸部CT検査などの検査が必要です。

ここまでの内容を、1枚の図にまとめました。

クリップまたはタップで拡大してご覧ください。

気胸の症状とメカニズム1-図解

まとめ

気胸は何らかの原因によって肺に穴が開き、胸腔内に空気が入り、肺が正常に膨らむことができなくなる病気です。

中でも突発性自然気胸は、細身の若い男性に発症しやすく、ブラやブレブ(肺内の異常な空気を含んだ空間、のう胞とほぼ意味は同じです)の破裂によって空気が胸腔内に漏れ出てしまうものです。

ブラやブレブの発症の原因は不明です。