突然息苦しくなる、息を吐くときにゼイゼイ・ヒューヒューという音がする、特に夜間や早朝に咳が出やすい。このような症状があれば、喘息を患っているのかもしれません。大人の喘息はなぜ起きるのでしょうか?今回は、喘息が起こるメカニズムについてご説明します。

目次

喘息とは?

喘息は気道の炎症が続く病気です。空気の通り道である気道に炎症が起こると、空気の通りが悪くなります。急激に症状が悪化すると発作が起こり、呼吸をすることが難しくなり喘ぐような状態になり、「ゼイゼイ、ヒューヒュー」という音がするようになります。このことを「喘鳴(ぜんめい)」と呼びます。喘鳴が起きると、息苦しさを訴えたり、咳こんだりすることがあります。

どんな症状が起こる?

など

喘息はなぜ発症する?

たばこ

気道の炎症が何によって起こるのかはまだ解明されていませんが、アレルギー反応によって発症するケースそうでないものによって発症するケースがあることが分かってきました。

アトピー型

身体がアレルギー反応を起こして炎症が起こります。アレルギー反応は、私たちの身体を守るための免疫反応が過剰に働いた結果起こるものです。

免疫反応とは、ウイルスや細菌など有害な物質が身体に入ってきたときに、やっつける仕組みです。しかし、花粉やハウスダストなどの害のない物質も悪いものと認識して、ウイルスなどを排除するような反応を起こすのがアレルギー反応です。

 

気道に入ってきたダニハウスダストなどを身体の外に追い出そうとして、気管支の筋肉を収縮させ、気道の粘膜から分泌物を沢山出して洗い流そうとして咳、、呼吸困難といった症状を招きます。これらが急激に起こると喘息発作に繋がります。アトピー型では発作は時間差で起こり、1度目は、アレルゲンを吸入してから数分から30分前後のうちに現れます。一度目の発作が治まってからおよそ 3~6時間後には、2度目の発作が起こります。このように発作が繰り返し起こることによって気道の炎症が進み、状態が悪化していくのです。

非アトピー型

原因となる物質が特定できず、様々な物が刺激となって炎症が引き起こされると考えられています。

発作の引き金となるのは、風邪インフルエンザ、タバコの煙、排気ガス、気温や湿度の変化、ストレスなど様々なものが考えられます。また、体調によっては同じ刺激でも発作が起こったり、起こらなかったりすることもあります。

気道には何が起きている?

気道は、空気の通り道として肺と外界を繋いでいます。気道を通るのは、空気だけでなく、ウイルス、細菌、ごみ、など身体にとって悪い影響をもたらすものもあるので、気道の粘膜がフィルターとなって有害な物質を捕まえて排除する働きを持っています。

喘息を起こすと、気道の粘膜がむくみ、筋肉が収縮し粘液の分泌が増えて気道を狭めます。そのため、少しの刺激でも収縮を起こしやすくなっていきます。炎症を起こすたびに、気道が過敏になりますます刺激に反応しやすくなります。

治療をしないでいると、小さな刺激にも反応するようになり、発作を起しやすくなります。発作の回数が多くなると、気道の内側が度々傷つけられて、気道の狭まりを修復できません。修復が不完全な状態のままさらに発作を起すと、気道がどんどん狭くなっていき、さらに発作を起すという悪循環が起きてしまうのです。

喘息と似た病気は?

ゼイゼイと息苦しくなったり、咳が症状となって現れたりする病気は喘息の他にも沢山あります。慢性気管支炎、肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)咳喘息、過敏性肺炎、胃食道逆流症、副鼻腔炎など、検査をすることで鑑別します。また、肺がんや気管支腫瘍、肺結核や気管支結核はレントゲンだけでは診断できないこともありますので、CTその他の精密検査が必要になることもあります。

疾患名 主な症状
慢性気管支炎 痰などの気道分泌物が長期間出る
肺気腫 咳、痰が慢性的に出て、息切れや動悸がする
咳喘息 空咳が続く。痰や喘鳴はあまりない
過敏性肺炎 発熱、咳、呼吸困難、身体のだるさが現れる
胃食道逆流症 胸やけ、酸っぱいものが口に上がってくる、食後に胸が痛む、咳が出る
副鼻腔炎 鼻水が出て鼻が詰まる。頭痛、咳や痰の症状も見られる

まとめ

大人の喘息は、気道の炎症が続いたことで起こる病気です。喘息が起こる原因についてはまだ明らかになってはいませんが、アレルギー反応が影響をしているアトピー型と様々な刺激が影響している非アトピー型に分けられています。

喘息の症状は、咳、息苦しさ、喘鳴などです。喘息の他にも似たような病気があるので、咳が続く場合は、呼吸器内科、アレルギー内科などを受診するようにしましょう。