歯ぐきの出血で一番多いのは歯磨きをしたときの出血ですが、なかには何をしなくても出血したり、寝ている間に出血して枕が血だらけになったりする人もいるようです。歯ぐきの出血が続いている場合、何らかの対処を行わなければ状況はさらに悪化してしまいます。ここでは歯ぐきの出血の原因として最も多い歯周病に焦点を当てて、出血しなくなるための方法、また予防法についてお話ししていきます。

目次

歯ぐきから血が出たら磨かない方がいいの?

歯ぐき

歯周病(歯肉炎と歯周炎)は歯ぐきの際(きわ)部分に溜まった歯垢が原因で起こります(上の写真の歯ぐきの際にある黄色い物が歯垢)。その歯垢を取ろうとすると、どうしても炎症の起こっている歯茎に触れないわけにはいきませんので出血してしまいます。出血すると怖くなってブラッシングを控え目にしてしまう人がいますが、それでは余計に歯垢が溜まることになりますし、また歯垢が歯石になってしまうこともあり、もっと炎症がひどくなって悪循環になってしまいます。

歯磨きをちゃんとやるだけで出血は止まるの?

これはケースバイケースです。まだ骨の破壊が見られない歯肉炎の段階で、歯石が付いていない状態であれば、歯磨きをきちんとやるだけで歯ぐきの炎症は落ち着いてきて、やがて出血もしなくなります。

ですが、これが歯肉炎でも歯石がついていたり骨の破壊が見られる歯周炎になってしまうと歯磨きだけでは残念ながら歯ぐきの炎症は落ち着きません。そうなってしまった場合は、歯科医院で歯石を取ってもらう必要があります。歯石は歯垢が唾液中のカルシウム成分で固まってしまったもので無毒化していますが、そこに絡みつく歯垢が炎症を起こしますので、歯垢が溜まる場所となる歯石は取り除かねばならないのです。

歯石を取ったからといって安心してはいけない

歯科医師

ここで注意ですが、歯石を取ってその結果炎症がすぐ落ち着いて血が出なくなるわけではありません。歯石を取った後にもきちんと自分で歯ぐきの際の歯垢を取り除けるようなポイントを押さえたブラッシングをしていなければ、歯ぐきはブヨブヨのままで出血しやすい状態は続きます。

要は、炎症をひかせるためにも、炎症を起こさないようにするためにも、「自分できちんとブラッシングができているか?」が非常に大事になってくるのです。

歯ぐきの炎症を起こしにくくする歯の磨き方

歯周病って治るの?手遅れになる前にやっておきたい5つのセルフケア」の記事の「歯周病を悪化させない、または予防するためのブラッシングのポイント」の項目をご覧ください。

「歯周病に効く」歯磨き剤の効果は?

歯ブラシ3

歯磨き剤の中には「抗菌作用」や「炎症をひかせる作用」などで歯周病に効く、とうたっているものがありますが、成分としてはどの歯磨き剤もあまり変わりはないようです。一番大事なのはいかにブラッシングで歯垢を取り除けるか、ということです。歯磨き剤はあくまでも歯垢をきちんと取った後の爽快感を感じる補助的なものと考えてください。

まとめ

歯周病は痛みなどの自覚症状がなかなか出てこない病気として知られていますが、一番分かりやすい症状が出血です。出血が多い場合は「歯周病が今まさにどんどん進行していますよ」という合図ですので要注意です。しっかりと歯垢の取れるブラッシングをしていれば歯石も付きにくくなりますが、これは体質が関わっており個人差があるため、ブラッシングをしていても歯石が付くこともあります。できれば年に少なくとも2回は歯科医院に歯石取りやブラッシング指導などのメインテナンスを受けに行くのが良いでしょう。