日焼けをして、小麦色に焼けた肌は健康そうに見えます。でも紫外線を浴びる事で、身体にとって悪影響となる事もあるのです。紫外線が原因となる病気はいくつもあり、中には生命を脅かすものまであります。紫外線に注意して頂く為に、ここでは紫外線が原因となる病気8つについて説明していきます。

目次

<【図解】「紫外線と8つの病気・早わかり」はこちら>

紫外線が身体に影響を起こすわけ

紫外線にはA波(UV-A)、B波(UV-B)、C波(UV-C)とあり、波長が短いほど人体に影響があるとされています。波長が短いのはC波、B波、A波の順ですが、一番波長が短いC波は、オゾン層で遮られ地表には届かないとされています。ただ近年のオゾン層の破壊により、C波の影響も危惧されています。

紫外線が原因で起きる病気は、UV-Bを長い年月浴びる事によって発症するものが多くなります。細胞のDNAは、UV-Bによって傷つけられてはそれを修復するという事を繰り返している間に、突然変異を起こし、がんなどを発症してしまうのです。

紫外線が関係する病気や症状は?

紫外線が関係する病気や、病気ではありませんが紫外線で身体に大きな影響を与える症状もあります。これについても注意が必要なので、先に説明していきます。
注意事項-写真

膠原病

膠原病である全身性エリテマトーデスの原因は、まだ解明されていません。顔などに、特徴的な紅斑ができたり、皮膚に水疱ができたりしますが、これが紫外線によって悪化する事が分かっています。また同じ膠原病である皮膚筋炎も、紫外線により皮膚症状が悪化します。

免疫機能低下

皮膚の表皮にあるランゲルハンス細胞は、異物が身体に侵入した場合その情報を、身体を守るリンパ球の1つであるT細胞に伝える役目があります。でもランゲルハンス細胞が長時間紫外線を浴びると、ダメージとなり正確な情報が流れず、身体が病原菌などに感染しやすくなってしまいます

紫外線が原因となる病気は?

紫外線が原因となるのは、主に皮膚と目の病気になります。シミやシワなども紫外線の影響によるものですが、その他の病気について説明していきます。

1.日光皮膚炎

日焼けはこれに当てはまります。日焼けについては「春から注意が必要!紫外線から肌を守ろう 」で詳しく書かれていますので、ご覧ください。

2.慢性光線過敏症

日光アレルギーとも言われます。紫外線が当たった場所に、粟粒大の紅斑ができます。先ほど書いた全身性エリテマトーデスも、日光過敏症も起こします。その為、日光過敏症以外にも症状がないか調べ、エリテマトーデスとの鑑別が必要になります。

3.良性腫瘍(脂漏性角化症)

老人性のイボと言われる事もありますが、原因は老化と紫外線だとされています。顔や首手の甲など露出し紫外線が当たる部分に、多くできます。境界がはっきりした、少し隆起している黒褐色のできものです。良性の腫瘍ですが、手術で摘出する場合もあります。

4.日光角化症

顔や手の甲など紫外線が良く当たる場所にでき、皮膚の表面がカサカサになります。日光角化症は、皮膚の浅い所にある為転移しないとされ有棘細胞癌の前がん状態だと言われています。でも素人目には、この判断は不可能なので、詳しく検査をする必要があります。

5.皮膚癌

悪性黒色腫

患者は8.6%と皮膚癌の中では一番少ないですが、3つの中で最も悪性度が高く早期の段階で転移する為注意が必要です。足の裏にできやすいのは、日本人特有のものです。紫外線が強い所に住む白人に多く見られ、黄色人、黒人の順になる為、紫外線の影響が大きいと言えます。

有棘細胞癌

基底細胞癌に次いで多いとされ、27.8%を占めます。悪性度の高いがんとされ転移も見られます。40歳代から増え、顔面など露出した部分に好発します。北海道より九州に患者が多い為、紫外線と関係があるとされています。小丘疹から腫瘤となり、潰瘍となる場合もあります。

基底細胞癌

皮膚癌の中で一番多いとされており31.5%を占めます。顔面に発生しやすく、50歳代から多くなります。黒い腫瘍で、進行すると潰瘍になります。紫外線が当たり難い場所にもできますが、紫外線と無関係ではないとされています。

6.白内障

白内障の大きな原因は加齢です。海外では、紫外線の強い地域に住む人に白内障が増えており、紫外線も要因となります。また水晶体の皮質が混濁する皮質白内障は日本人に多く、紫外線の影響が大きいとされています。水晶体が濁り、目がかすむ症状が出ます。

7.翼状片

翼状片は北緯および南緯40°以内の紫外線が強い地域や屋外労働者に多い、紫外線の影響が大きい病気です。眼球が乾燥した所に、長期に渡り紫外線が当たる事で、発症すると考えられています。結膜が増殖して黒目に侵入し、目がゴロゴロするなどの症状が出ます。

8.雪目(電気性眼炎)

雪目は、スキー場や海水浴などで、強い紫外線を浴びることで角膜が傷ついて起こるものです。目がゴロゴロしたり、痛みで目が開けられなくなる事もあります。白内障や翼状片などと違い、急性の病気で感染防止のためにも早い治療が必要です。

ここまでの内容を図版にまとめました。

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紫外線が身体に影響を起こす理由-図解

まとめ

紫外線が原因となる病気について、理解して頂けましたか?紫外線対策をしなければ、皮膚や目に重大な障害を与えてしまいます。皮膚癌かそうでないかは素人では判断できず、放置すると命に関わるかもしれないのです。小麦色の肌も魅力的ですが、危険と隣り合わせであることを知っておいてください。