夏風邪の一種である手足口病。毎年6~8月にかけて流行し、7月後半にピークを迎えますが、特に2015年夏には2年ぶりの大流行を見せました。5歳以下のお子さんが注意したい手足口病、予防するためにはどうすればいいのでしょうか?

目次

手足口病ってどんな病気?

手足口病は、口の中や手足などに水疱性の発疹ができる病気です。ウイルスの感染によって発症します。原因となるのは主に、コクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71(EV71)というウイルスです。

ウイルスに感染すると、3~5日後に症状が起こります。発疹のほかに発熱がみられることもありますが、高熱が続くことは少なく、ほとんどの場合は数日で治る病気です。ただし、まれに髄膜炎や小脳失調症、脳炎などの合併症や、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺などさまざまな症状が出ることがあります。そのため、しっかりと経過観察を行う必要があります。

手足口病の症状についてさらに詳しくは、「夏に多い手足口病ってどんな病気?」をご覧ください。

手足口病の感染経路とは?

手足口病の感染経路は、飛沫感染・接触感染・糞口感染の3つです。

飛沫感染

やくしゃみによって感染します。

接触感染

皮膚や粘膜の直接的な接触や、ドアノブ・手すり・便座・おもちゃなどの表面を介して病原体が付着し、感染します。

糞口感染

患者の便の中に排泄されたウイルスが、口の中に入って感染することです。便自体だけでなく、便によって汚染されたものを触った手で口を触ることで感染します。

今日からできる!手足口病の3つの予防法

手足口病に有効なワクチンはありません。また、手足口病の発病を予防できる薬もありません。さらに、感染した場合も特別な治療法や特効薬はないため、予防をしっかり行うことが何よりも大切です。

加えて、手足口病では、回復後も口(呼吸器)からは1〜2週間・便からは2~4週間にわたってウイルスが排出されます。もしも感染してしまった場合は、症状がおさまった後も周囲にうつさないように気をつけましょう。感染のピークは、解熱してから24時間程度と考えられます。

1.手洗いうがいを徹底しよう

まずは、手洗い・うがいをきちんと行いましょう。帰宅後と食事の前、トイレの後には、必ず石鹸と流水で手を洗います。接触感染の原因となるので、タオルの共有はしないでください。

2.排泄物の処理は適切に

トイレやおむつ交換を行う時にも注意が必要です。おむつを交換したら、中の便が飛び散らないように速やかに包み込み、ビニール袋に入れます。交換が終わったら、必ず手を洗いましょう。いくつかのおむつを連続で交換する時には、1人の処理が終わるごとに手を洗ってください。

3.集団生活では特に注意が必要

手足口病は、保育施設など、乳幼児が集団生活を行っている場所では、職員も子供たちも感染を防ぐために気をつける必要があります。手洗い・うがいの徹底はもちろん、おもちゃの貸し借りにも注意しましょう。丁寧に洗浄・清拭を行い、場合によっては消毒用エタノールで消毒を行うと良いでしょう。

なお、手足口病は、学校や保育園・幼稚園を休まなければいけない感染症には指定されていません。そのため、感染を防ぐために学校などを欠席するというよりは、本人の様子を見て、症状が落ち着いたら登校・登園して問題ありません。目安としては、解熱して24時間が経過しており、発疹が拡大傾向でないことです。

最後に

2015年の夏は、7月前半には既に警報基準を超えての大流行となっていた手足口病。その予防においては、手洗い・うがい、排泄物の処理、そして集団生活で注意を払うことが重要です。小さな注意の積み重ねで、ご自分とお子さんの健康をしっかりと守りましょう!