風邪というと、寒い冬に罹ってしまうものを想像しやすいですよね。でも、夏場に多くなる風邪もあります。ヘルパンギーナ・手足口病・プール熱(咽喉結膜炎)の3つが、その夏風邪に当たります。子供に流行しやすい病気ですが、子供だけの問題ではありません。夏風邪をひかないように注意していただくために、予防法などをここで説明していきます。
夏風邪とは?
冬に流行る風邪と夏場の風邪では、病原体となるウイルスが違ってきます。冬はよく流行して学級閉鎖になるインフルエンザが猛威を振るいますが、夏場はエンテロウイルスとアデノウイルスが中心です。どちらとも、感染力が強いウイルスです。
エンテロウイルスに感染すると、ヘルパンギーナや手足口病になります。アデノウイルスでは、プール熱と言われている咽喉結膜炎になります。どちらのウイルスに感染しても、咽喉に炎症が起こったり、口内炎になるなど口の中に問題が出る場合があります。
5歳以下の小さな子供が感染することが多く、保育園や幼稚園で集団発生する場合もある病気ですが、子供だけが罹るものではありません。抵抗力が落ちていると、大人でも感染しやすくなり、重症になることもあるので注意が必要です。
夏風邪の症状や治療は?
同じエンテロウイルスによる感染症である、ヘルパンギーナと手足口病ですが、症状は少し違ったものになります。ヘルパンギーナでは、高熱と口の中に水疱ができ、喉の痛みを訴えます。また手足口病では、熱はあまり高くはなりませんが、口の中だけではなく、手足にも小さな水疱ができます。
アデノウイルスによるプール熱の症状は、喉の腫れと痛み、目のかゆみや痛み、結膜の充血で熱も高くなります。アデノウイルスは胃腸炎を起こしやすい病原体なので、プール熱でも腹痛や下痢を訴える場合があります。
ヘルパンギーナでは、重症化して髄膜炎や脳炎になってしまう場合があり注意が必要です。また手足口病は重症化する事は少ないと言われていますが、エンテロウイルス71に感染すると重症化する事がわかっています。
プール熱も、昔は重症化しないと言われていましたが、アデノウイルス7型に感染した場合は重症化するとわかってきました。老人や乳幼児などでは、呼吸障害を起こす可能性があるので、注意が必要です。
これら3つの病気は、みなウイルスで発症する為に、特効薬と言えるものがありません。したがって、熱や痛みに対しての治療が主になります。また口の中に水疱ができたり、喉に炎症が起こる為に食事がしにくくなるので、脱水を起こしていれば、点滴治療を受ける事になります。
夏風邪の症状のまとめ
ヘルパンギーナ
病原菌:エンテロウイルス
症状: 高熱・口の中の水疱と痛み
重症化:髄膜炎や脳炎
手足口病
病原菌:エンテロウイルス
症状:口、手足に水疱・熱は微熱か平熱
重症化:エンテロウイルス71で重症化あり
プール熱
病原菌:アデノウイルス
症状:高熱・喉の腫れと痛み・目のかゆみ、痛み・結膜充血・胃腸症状
重症化:アデノウイルス7型で重症化あり 呼吸障害
夏風邪の予防法は?
どの病気にも、ワクチンがありません。そのため、まず生活習慣を改善して、予防する必要があります。
手洗いやうがいをする習慣をつける
外出先から帰った時、トイレの後、食事の前にはうがい・手洗いをする習慣をつけましょう。トイレの後には、石鹸でよく洗うようにします。
子供の病気では、排便の処理を親がすることがあります。便からは長く菌が排出されるため、特に気をつけましょう。症状が治まった後も注意し、排便処理の後の手洗いを徹底しましょう。
バランスの良い食事をする
子供に流行しやすい夏風邪に大人が感染するのは、抵抗力が落ちてしまっている時だと言えます。夏場は食欲が落ちるからといって、冷たくて喉越しの良いものばかりを食べてはいないでしょうか。偏った食事になることで、栄養不足から体力が落ちているのかもしれません。バランスの良い食事をするように心がけましょう。
睡眠時間を充分にとる
睡眠不足になると、体力が落ちてしまいます。特に夏場は、睡眠が浅くなりやすく、疲れが取れにくくなりがちです。できるだけ早めに就寝し、しっかりと疲れを取り除くと良いでしょう。寝苦しい場合は、夏場であっても就寝1時間前にぬるめの湯船に浸かり、身体を温めることをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?夏風邪の症状ついて、またその予防方法についてわかって頂けたでしょうか。夏風邪はどれも、特効薬もワクチンもありません。でも感染すれば重症になるケースもあり侮れません。自分や子供の生活習慣を見直し、改善する事で病原菌から身体を守りましょう。