「手足口病」はその名の通り、「手」「足」「口」に症状が出る病気です。夏場に流行しやすく、主に乳幼児が感染します。小さいお子さんの場合、自分で辛いと訴えることができない場合もあるので、周囲の大人が症状に気付いてあげる必要があります。

時には重症になってしまうこともある手足口病。ここでは、その症状や治療・予防法について解説します。

目次

手足口病とはどんな病気?症状は?

手足口病は、乳幼児に流行りやすいウイルス性の感染症です。夏場に多く、7月下旬頃がピークですが、秋から冬にかけても多少の発生がみられます。平成23年に大流行し、その後平成25年、平成27年にも流行しました。報告される患者の90%以上は5歳以下の乳幼児です(厚生労働省より)。

手足口病の原因となるのは、エンテロウイルスに属するいくつかのウイルスです。飛沫感染接触感染糞口感染(便の中のウイルスが口に入ること)で発症します。小さな子供が多く集まる保育園や幼稚園で集団感染が起こりやすいです。

潜伏期間は3~5といわれています。まず、口の中や手のひら、足の裏などに小さな水疱性の発疹ができます。みずぼうそうに似ていますが、みずぼうそうでは高熱が出ることが多く、全身に水疱ができます。手足口病では高い熱などはあまりなく、出ても微熱で、ほとんどが軽症で数日のうちに治ってしまうとされています。

このうち、エンテロウイルスの中のエンテロウイルス71と呼ばれるウイルスにかかった場合は、他のウイルスで発症した時よりも重症化しやすく、髄膜炎や脳炎などの中枢神経の合併症を引き起こす可能性があることがわかっています。でもどのウイルスが原因かは検査しなければわかりませんので、手足口病に罹ったら、軽くすむだろうと思い込まないで、子供の様子を注意して見ておくことが大事です。

治療と予防は?

足の裏

手足口病はウイルスが原因なので、特効薬となるものはありません。熱を下げるための解熱剤が処方されることは稀です。また水疱ができていても、ひどいかゆみではないために、ヒスタミンが処方される程度で、軽症の場合は安静にして経過観察になります。

でも口の中に水疱ができ食事がしにくく、脱水を起こす可能性がある場合は、点滴などの処置が必要になります。高熱が出たり、嘔吐、頭痛などの症状が出たり、ぐったりして元気がなかったりといった様子の時は、脳炎や髄膜炎などを併発しているかもしれません。早めに病院へ行き、医師の診断を受けてください。

手足口病には、ワクチンや予防のための薬がありません。そのため、予防としては手洗い・うがいを励行するしかありません。また乳幼児の排泄物などは適切に処理して、その後は必ず手洗いをすることが大事です。集団で過ごすことが多い保育園などでは、タオルなどの共有は控えるようにしましょう。

夏風邪は他にもある?

ウイルスやバイ菌

夏場に子供に流行しやすい夏風邪には、手足口病だけではなく、同じエンテロウイルスから感染するヘルパンギーナや、アデノウイルスで感染するという咽頭結膜熱(プール熱)があります。手足口病と同じくウイルスで発症するものなので、特効薬やワクチンもありません。手洗いやうがいをしっかり行いましょう。

症状の違いについてまとめると、以下のようになります。

ヘルパンギーナ 手足口病 プール熱(咽頭結膜熱)
38度~40度の高熱 平熱か微熱 38度以上の高熱
水疱など 口の中だけ 口・手・足の裏や甲 なし
炎症 喉や口蓋垂 なし 咽頭や目の結膜
重症ケース 脳炎や髄膜炎 脳炎や髄膜炎 肺炎、髄膜炎

出典:東京都|夏に流行する小児の感染症を元にいしゃまち編集部が作成

まとめ

その名の通り手・足・口に症状の出る、手足口病。子供だけの病気ではありません。しかし、多くの場合は子供の頃にかかっていることがほとんどなので、それほど心配する必要はありません。ただ、抵抗力が落ちた時には大人でもかかる場合があります。その場合は手足に水疱ができたり、高熱が出たり倦怠感が出たりすることがあるので注意が必要です。