手が荒れてかゆくて仕方がない、手のひらに湿疹ができて痛い。水仕事をするときにしみて辛い。こんな症状でお悩みのときは、手湿疹(てしっしん)かもしれません。手は毎日様々な刺激物に触れる場所なので、不快に思うことも多いでしょう。今回は手がかゆい・痛いという症状の原因となる疾患についてご紹介いたします。

目次

手湿疹とは?

手にかゆみや赤み、ブツブツ、水ぶくれ、かさぶた、ヒビわれなどの症状がでます。水仕事をする主婦に多くみられることから、主婦湿疹と呼ばれることもあります。

利き手や頻繁に使う親指や人差し指から症状が出はじめることが多いです。

手湿疹はどのように起こるの?

ひび

乾燥

皮膚は「表皮」、「真皮」、「皮下組織」の3つからできていて、一番外側の表皮にある角質層が外からの異物の侵入を防ぎ、身体の中の水分が出ていかないための機能を持っています。このことをバリア機能と呼んでいます。

乾燥するとバリア機能が弱まり、外部からの刺激も受けやすいので皮膚トラブルが起こりやすくなります。手のひらはもともと脂腺がないため皮脂膜が一度とれると手の乾燥が進みやすく、皮膚のバリア機能が低下して異物が皮膚の中に入ってきやすい状態になり、湿疹や皮膚の赤みなどの症状が起こります。

化学的な刺激

食器洗いや洗濯などに使われる洗剤は、洗浄力が強いものが多いので、日常的に使っていると手の皮脂も奪っていきます。特に温水と洗剤の組み合わせは皮脂を奪い、皮脂膜がなくなると乾燥を招くので、湿疹の原因となります。一度、バリア機能が弱まると、繰り返される洗剤などの刺激によって症状は悪化していき、ゴム手袋や段ボール、化学繊維の布といったものにも刺激を感じるようになります。

どんな人に症状が出やすいの?

美容院

水仕事をする人

水を日常的に使う、主婦、調理師、美容師、理容師などは、常に手が濡れている状態なので、バリア機能が弱まっています。そこに食器用洗剤やシャンプーなどの化学的刺激などが加わって炎症が起こりやすくなります。

アトピー体質の人

もともと角質の水分保持力が低いため、皮膚が乾燥傾向にあります。乾燥すると、バリア機能が弱まるため、炎症を起こしやすくなります。

手湿疹と似ている疾患は?

手の他に、身体の別の部分に同じ湿疹が起きる病気もあります。これらは手湿疹とは分けて考えられています。

掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

症状

手のひらに水ぶくれが多発し、水ぶくれは薄黄色の膿疱となります。水ぶくれや膿疱の周りは赤みがあり、最後は乾いて皮膚がはがれ落ちます。周期的に膿疱ができては治るのを繰り返します。痒みが出る人もいれば、痒みがない人もいます。手の他に、足の土ふまずにも同じ発疹が起きることが多くあります。胸の関節痛を伴うこともあります。中年女性に多くみられます。

原因

金属アレルギーや扁桃腺、鼻、耳、歯などへの細菌感染、喫煙が関係して発症するともいわれますが、原因不明なことが多いです。

手白癬(てはくせん)

症状

水虫のことです。足だけではなく、手にもできることがあります。手のひらの皮膚がむけます。かゆみはありませんが、あっても強くないのが特徴です。一般的には手は良く洗うため、手の水虫はなりにくい病気ではあります。

水虫については以前の記事、「繰り返す水虫…完治への方法5つ」をご覧ください

異汗性湿疹(汗ぽう状湿疹)

症状

指の腹や手のひらに小さなブツブツ、水ぶくれが突然できます。時間が経つと水ぶくれは乾いて皮膚がはがれ落ちます。夏など温暖な季節に多く発生し、多汗症の人ができやすいです。痒みの有無は様々で、年ごとに繰り返すこともあります。

原因

現在のところ、原因は分かっていません。

アレルギー性接触皮膚炎

症状

何らかの物質が皮膚に触れて、それが刺激となってアレルギー反応として、手にかゆみを伴う湿疹が出ます。皮膚が赤くなり、ひどいときは腫れて水ぶくれができることもあります。特定の人が特定の物質に触れることによって発生します。

原因

化粧品、指輪や腕時計などの金属装身具、衣類、洗剤、植物、動物など、アレルギーを起こすものは人によって異なります。身の周りにある全ての物質が原因となる可能性があります。また、光アレルギー性接触皮膚炎と呼ばれるものは、手に湿布を貼った後に光にあたることで、赤くなったり、ブツブツができるなどの症状を起こします。

慢性湿疹

症状

皮膚の一部だけが長期間強くかゆくなり、皮膚の赤みが持続します。症状が長く続いたため皮膚が厚くなります。

原因

原因が明らかでない疾患です。

何らかの接触が原因として多いのではないかと推測されますが、原因がはっきりせず、長期に症状が持続しているときに慢性湿疹といいます。冬など乾燥する季節に、皮膚の水分や皮脂の分泌が少なくなってかゆみが起こることがあります。また、ストレス、不眠と関連して起こることも多いと考えられています。

まとめ

手に湿疹ができる原因は、乾燥や化学的刺激によるものだと考えられており、水仕事をする人やアトピー体質の人に症状が出やすい傾向にあります。手の湿疹にも色々なタイプがあるので、ただの手荒れと自己判断をしないようにしましょう。重症化すると治りにくいばかりか、症状が治まっても跡が残る可能性があります。ひどくなる前に皮膚科を受診するようにしましょう。