今年もいよいよ夏がやってきます。夏になるとあせもに悩まされる人も増えるのではないでしょうか。特に小さいお子さんのいるお母さんは心配ですよね。あせもは、多くの人が経験する病気のひとつで、誰にでも起こりえます。今年はあせもに悩まされないよう、あせもがおこる原因を正しく理解しましょう。
あせもとは?
あせも(汗疹)とは、汗をかくことによって起こる肌のトラブルです。医学用語で汗疹(かんしん)という名称で呼ばれています。高温多湿な環境下や発熱などによって発汗することで、汗管(汗が出る管)が詰まり、そこに炎症が起きることで発生します。
日本の夏の特色である高温多湿や冬の暖房、あるいは風邪などで高熱による体温上昇が続くと汗をかきやすくなります。大量の汗をかき続けたり、皮膚に汚れなどが付着すると、汗を分泌する汗腺が詰まりやすくなり、汗が皮膚の中にたまってしまいます。すると水ぶくれができたり炎症が起こって、赤いブツブツになってかゆくなってしまうことがあります。これがあせもです。
あせもは、汗の出やすいところにできます。特に、首、脇の下、ひじの内側、ひざの裏側や脚のつけ根などにできやすいです。
3種類のあせも
皮膚は表面から表皮、真皮、皮下組織から成っており、表皮の表面を角質層が覆っています。この皮膚の構造のうち、汗がたまる部位の深さによって、水晶様汗疹(すいしょうようかんしん)、紅色汗疹、深在性汗疹の大きく3つに分類されます。
水晶様汗疹
角層内から角層下で汗が貯留し汗管が閉塞して、小さいプツプツ(水疱)が皮膚に出る状態のことです。キラキラと光るように見えるため、「水晶様」といわれます。炎症もかゆみも伴わず、多くの場合、数日で症状は治まります。
紅色汗疹
一般的にあせもとよばれるのはこのタイプで、表皮内で汗が貯留し、汗管が閉塞した状態になります。炎症がおこり、かゆみや刺激感を伴います。かきむしると湿疹化します。子供や高温多湿の環境下で働く人や多汗症の人、肥満の人に多くみられ、体幹、手足、首の部分に症状が現れやすいです。
深在性汗疹
真皮内の汗管の閉塞による汗疹のことです。白い平らな湿疹が現れるのが特徴です。
こんな場合は要注意!あせもの原因と対策

注意すべきなのは、汗をかくことと汗管が詰まることです。
汗をかくこと
- 汗をかきやすい人
- 高温多湿の環境
- 厚着をする場合
- 発熱性疾患
気温・湿度が高くなる日は汗をかきやすくなるので、梅雨から夏にかけてじめじめする時期は注意が必要です。すぐに汗をかいてしまう人、たくさん汗をかく人は、清潔なタオルや汗ふきシートを携帯し、汗をかいたらすぐにこすらず、押さえるようにしてふきとるようにしましょう。
また、気温・湿度が低くなる秋冬も、厚着をすることで電車の中や室内、移動中などに思いのほか汗をかくことがあります。特に、寒い季節の服は通気性が悪いため、汗をかいてしまうと夏服よりもあせもができやすい環境といえます。
さらに、風邪などで熱が出た場合(発熱性疾患)に気付いたらあせもができていた、という経験がある方も多いのではないでしょうか。体調が優れないときには少し難しいかもしれませんが、お風呂に入れなくても蒸しタオルで肌をふいたり、こまめに寝間着を取り換えたりするようにしましょう。
汗管を物理的にふさぐ要因
- 皮膚の汚れ、垢(あか)
- 湿布や絆創膏による汗管の被覆
- 密着した衣類
- 通気性の悪い衣類
- アクセサリーなどが接する
- 下着などで締め付けられる
基本的に、皮膚に汚れが付着すると汗管をふさいでしまうため、あせもになりやすくなります。肌を汚れたままの状態にしておくと、あせもに限らず肌荒れの原因になります。
また、汗をかきやすい人や敏感肌の人は、衣類に気を使ったり、アクセサリーや下着、毛髪などにより肌を刺激しない工夫も必要です。
あせもに似た症状

アトピー性皮膚炎
正確な原因は解明されていませんが、環境や遺伝などの原因が重なって起こるとされているのがアトピー性皮膚炎です。
アトピー性皮膚炎は、良くなったり悪くなったりを繰り返す、かゆみのみられる湿疹です。一方、あせもは汗が原因で起こる一時的な病気です。
アトピー性皮膚炎もあせもと同じように、夏場に汗をかいてそのままにしておくと悪化することがあります。肌の疾患を防ぐためには、清潔が何よりも大切なのです。
手足口病
夏風邪の一つである手足口病でも、水疱がみられます。この病気は、エンテロウイルスへの感染が原因ですが、高熱が出ることはあまりありません。
口の中や手のひら足の底などに、あせもとは異なる水疱ができます。感染した場合、特効薬はないため基本的には安静にして経過観察ということになります。
手足口病について詳しくは「夏に多い手足口病ってどんな病気?」をご覧ください。
まとめ
あせも(汗疹)は、大量の汗をかいて汗腺が詰まることでおきる皮膚のトラブルです。皮膚の中に汗がたまることで、水ぶくれや赤いブツブツができます。特に、首、また、汗が乾きにくいひじの内側やひざの裏側、脚のつけ根、脇の下にできやすいです。汗をすぐに拭き取って清潔にするのがいちばんの予防策ですので、汗をかいたらすぐに拭きとる・シャワーを浴びるあるいは着替えるようにしましょう。