「最近忙しくて疲れがとれない、身体がかゆくブツブツができてしまった」このような症状でお悩みの方は、ストレスが原因で湿疹を発症しているのかもしれません。今回は、ストレスと湿疹の関係について説明したいと思います。

目次

かゆくなるのはなぜ?

「ひっかきたくなるような不快な感覚」がかゆみの定義と考えられています。皮膚にある神経末端がかゆみの信号をキャッチして、神経を介して脳にかゆみを認識させています。

人はかゆみを感じたときに、本能的に「かく」という行動に出ます。皮膚を「かく」ことによって傷がつくと、皮膚のバリアが壊れてしまい、外からの刺激受けやすくなります。また、皮膚の中の細胞からも化学伝達物質が放たれます。

化学伝達物質はかゆみの神経を刺激し、さらに強いかゆみを感じるようになります。これが繰り返されることで、かゆみと炎症の悪循環に陥ってしまいます。

かゆみとストレスの関係

ストレスや精神的ダメージを受けたときにもかきたいという衝動が生じることが分かってきています。

私たちは、緊張したときに顔や手をこすったり、いらいらするときに頭をかくことがあります。これは、物理的な刺激により脳がかゆみの信号をキャッチしたことではなく、心の状態やストレスから、皮膚をこすったりかきたいという衝動につながっています。

身体をかくと一時的に気持ちが良かったり、気分がすっきりとするので、さらに身体をかく行動に繋がります。

その結果として、依存症のようになってしまうこともあります。かくことで湿疹がおきたり、アトピー性皮膚炎にきびなどの皮膚の病気が悪化したりすると、それがまたストレスになり、身体をかいてしまい悪循環につながります。

このように、ストレスと身体をかく行動は皮膚の病気にも関係しています。

そもそもストレスとは?

身体の交感神経が優位に立っているのが、ストレスがかかった状態です。交感神経とは興奮したときに働く神経で、血圧が上がり、心拍数が増えて、冷や汗が流れるような、アドレナリンが大量に出ている状態です。交感神経が優位に立っている状態が長く続くと、興奮状態が続くため身体に負担がかかります。

外部からのストレスにさらされることで交感神経優位の状態が続くと、身体はさらにストレスを感じます。ストレスにより湿疹が起こっている場合、皮膚の異常が悪循環を起こしているのと同時に、心や身体も悪循環を起こします。

ストレスを減らすための5つの改善策

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ストレスをなくすことは難しくても、減らす工夫ができたら良いですね。毎日の生活を少しだけ見直してみて、自分の好きな方法でストレスの軽減に努めましょう。

適度な運動をする

ジョギングやサイクリングなどの有酸素運動は、運動の強度が高くなく、ある程度の時間行うことができます。身体に酸素を取り入れながら運動をしていると、運動後には交感神経が落ち着き、副交感神経が優位になってきます。副交感神経は、身体を修復させてリラックスする働きがあるので、継続して有酸素運動を続けると、ストレスの緩和に効果的です。

休息をとる

ストレスがたまってしまうのは、ずっと身体が働いている状態だからです。だらだらと仕事を続けているのではなく、「今日はここまで働いたら終わり」と区切りをつけて、後は身体を癒す時間にあてるようにしましょう。夜寝るときにまで、仕事のことなどを考えると、交感神経が鎮まりません。「働くときは働き、休むときは休む。」とオンとオフの区切りをしっかりつけることが大切です。

楽しいことを考える

物ごとを悪い方向にばかり考えていると、気持ちがうつうつとしてきてしまいます。逆に良い方向に考えると、脳内からは「エンドルフィン」という物質が出て、身体や心をリラックスさせてくれます。楽しいことを考えれば、考えるほど身体の調子も良くなるのです。

最近の研究では、笑うことで副交感神経が優位になり、リラックス効果が高まったり、免疫機能が高まることが分かっています。たとえ作り笑いでも同様の効果が期待できます。楽しいことを考えるのが難しいときは、鏡の前で笑顔を作ることから始めてみましょう。

非日常の時間を創る

落ち込んで考え方が堂々巡りをしてしまったときなどは、いつもの空間と違う場所に身体を置いてみるのもストレス解消には効果的です。まったく知らない場所に行ってみたり、普段は興味がないのに美術館に行ってみたり、といつもと違うという感覚が、心のリラックスに繋がります。

五感を刺激する

ストレスによって気が滅入るのは、常に悩みごとなどを考えているからです。例えば、話題のお店に食事に行く、ワインの香りを楽しむ、映画を見る、好きな音楽を聴く、など五感を刺激してみましょう。

刺激されることで、興味の範囲が広がったり、こだわりが持てるようになります。自分だけのこだわりの世界ができれば、ストレスが心を占める割合が減っていきます。

まとめ

人は、緊張したりいらいらしたときに、身体をこする行動を起こすことがあります。それが行き過ぎると皮膚の炎症に繋がるので、ストレスが原因となってかゆみや湿疹などを発症することもあります。

ストレスがたまっているときは、交感神経が優位にたっているので、意識して副交感神経を働かせるようにしたいものです。

ストレス解消の方法は、人によって様々あるので、ご自分に合った方法で、楽しく続けられそうなことを実践して行きましょう。ストレスから解放されて豊かな毎日を送ることができたら良いですね。