チアノーゼは体の一部分が暗赤色、あるいは青白く見えることです。
チアノーゼは病気ではなく、症状であり、チアノーゼが起こっている場合には、その部分に酸素が供給されていないと考えられます。

今回はこのチアノーゼについて、丁寧に解説していきます。

目次

チアノーゼとは?

チアノーゼは体の一部分が青白く見えることですが、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。

まず、体中には血管が走っていて、全身に酸素が供給されています。「血色がいい」という言い回しがありますが、これは酸素の供給状態がよく、健康的であることを言っています。

酸素を全身に運んでいるのはヘモグロビンです。酸素を持っているヘモグロビンは赤く見えます。
ところが、なんらかの理由で血流が滞り、酸素が届かない部分ができると、ヘモグロビンは酸素を手放し青白くなります。この状態のヘモグロビンが多い部分は青白くみえ、俗にいう「血色が悪い」状態になります。

チアノーゼには、顔面・全身の皮膚と粘膜にチアノーゼが起こる「中心性チアノーゼ」と、心臓から遠い場所である四肢で起こる「末梢性チアノーゼ」の2種類があります。

全身状態には大きく問題のない「末梢性チアノーゼ」は、手足の指先のような末端の部分に起こるものです。

末端部は血液を送り出す心臓から離れているので、ヘモグロビンが酸素を運べなくなると、最初に影響を受けます。
大人でも、プールに長時間つかったり、寒い所に長時間いたりすることで、はじめは手足から血色が悪くなります。

その後に顔色が悪くなり、唇の色が紫色になるのを見たことがある方もいると思いますが、これもチアノーゼの一種です。

「中心性チアノーゼ」は、唇・顔の中央、体幹などの身体の中心部分が青紫色に変色する症状で、静脈血の酸素が低下した場合にみられます。

チアノーゼが起こったら

呼吸

もしもチアノーゼの症状が出たら、まずは様子を見てください。チアノーゼ単独で即死につながることは、まずありません。

チアノーゼは、実は簡単に起こすことができます。たとえば手首を誰かに強く握られるだけでも、指先の血流が悪くなり、チアノーゼが起こる場合があります。これは別に何もしなくても、握っている手を放してもらえば元に戻ります。

気を付けなくてはいけないのは、特に外因がないのにチアノーゼが出た場合です。

そのような場合、まず疑うのは心臓の病気です。
心臓からうまく血液を送り出せていないので、末端まで酸素が届かず、チアノーゼが起こっているのでは?と疑います。実際、うっ血性心不全の代表的な症状にも、チアノーゼが含まれます。

もう一つは、呼吸器に原因がある場合です。
心臓から血液を送り出すことはできているのですが、呼吸器から酸素を取り込めていないため血液に十分な酸素が含まれておらず、チアノーゼになってしまうのです。

乳幼児などではこのパターンで一時的なチアノーゼが出る場合もありますが、成人してからのチアノーゼの場合、呼吸器に慢性的な病気を抱えている可能性もあります。

チアノーゼは、心臓や呼吸器に原因がない場合には、すぐに回復します。
逆に言えば、すぐに回復しないチアノーゼは、心臓や呼吸器に何らかの疾患があるサインとなっている可能性が高いといえます。

数分様子を見て、まったく回復しないチアノーゼを発見したら、一度病院を受診するようにしましょう。

まとめ

チアノーゼはあくまで症状であり、病気ではありません。
風邪をひいたときに咳止めを飲んでも根本的な治療にならないのと同じで、チアノーゼそのものを治療しても意味がありません。ただ単に、一時的なチアノーゼ ならば問題はないですが、ずっとチアノーゼが収まらなかったり、何度も繰り返したりする場合には、重大疾患のサインとなっている場合があります。

体が発してくれた病気のシグナルとして受け止め、きちんと病院で対処するようにしてください。