頭痛で市販薬を買ったことがある人は多いのではないでしょうか?「頭痛薬の飲み過ぎは逆効果?!薬物乱用頭痛って知ってますか?」では、頭痛薬などの痛み止めの使いすぎにより、薬物乱用頭痛になる人が増えていることを解説しました。今回は市販の鎮痛薬との付き合い方について、その使用のリスクと共にご紹介します。

目次

市販の鎮痛薬にはどういうものがある?

頭痛や生理痛、腰痛、歯痛などの改善に有効な解熱鎮痛薬に使われる成分には、下記のようなものがあります。

  • イブプロフェン
  • ロキソプロフェン
  • アスピリン
  • エテンザミド
  • アセトアミノフェン
  • イソプロピルアンチピリン

イブプロフェンやロキソプロフェンは、もともと医療用医薬品(医師からの処方でもらう薬)にのみ使用可能な成分でしたが、現在は市販薬にも使われています。

鎮痛薬のリスクって?

鎮痛薬を飲むと、痛みがすっと引くので爽快に感じますよね。頭痛や生理痛に悩まされている方の中には、痛み止めを手放せず、毎日持ち歩いている方もいることでしょう。しかし鎮痛薬に含まれる成分には、いくつかのリスクがあるものがあります。

薬物乱用頭痛

頭痛薬を服用しているにも関わらず、頭痛が毎日のように出ている場合、薬物乱用頭痛と呼ばれる症状が疑われます。

頭痛持ちの方の中には「頭が痛くなる前に対処したい」と、実際に頭痛の症状が出る前から予防的に服用している人がいます。この頻度がだんだん増えてくると、脳が徐々に痛みに敏感になり、頭痛の頻度が上がっていきます。さらに鎮痛薬も効きにくくなるという悪循環が生じてしまうのです。

これは、原因となっている薬の服用を止めることで改善できます。ただし、服用を止めることによって起こる頭痛やその他の症状に対する治療薬が必要になります。治療は、医師の指示のもとで行ってください。

胃炎や胃潰瘍

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs:アスピリン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなど)を含んだ鎮痛薬を服用することで胃の血流量が低下したり、胃酸の分泌が増えたりしてしまいます。すると胃粘膜保護成分が減少し、胃炎や胃潰瘍を招く原因となります。

これを防ぐため、医師の指導のもとで非ステロイド性抗炎症薬を長期間にわたって服用する場合、胃薬の併用や、必要であれば内視鏡検査が行われます。異常が生じた場合は受診し、医師の指示に従って胃炎・胃潰瘍の治療を受けてください。

 

腎血流量の低下

非ステロイド性抗炎症薬は、プロスタグランジンという物質の産生を抑えます。プロスタグランジンは痛みや発熱、炎症の原因となる物質ですが、この物質を抑えると腎臓への血液の流れが悪くなります。ひどくなると、急性腎不全を引き起こす場合もあります。

鎮痛剤を飲むと脚がむくんだり、尿量が減ったりするという方は腎血流量が低下している可能性があります。処方医・薬剤師に相談してください

喘息発作

非ステロイド性抗炎症薬によって、喘息発作を引き起こす場合があります。「息をするときゼーゼー、ヒューヒュー鳴る」「息苦しい」といった症状が見られた場合には医師に連絡して、すみやかに受診をしてください。

市販の鎮痛薬の副作用を防ぐには?

薬を持つ女性

市販薬は片頭痛の軽症例や初期、緊張性頭痛には有効といわれています。しかし、むやみに使いすぎると上記のような弊害を引き起こしてしまうことも知られています。特に、薬物乱用頭痛は一度起こしてしまうと再発することが多いため、下記の点に注意が必要です。

鎮痛薬の服用は月に10日以内

鎮痛薬による薬物乱用頭痛は、下記の量を服用し続けた場合に起こるとされています。

  • 単独成分(1種類の痛み止め成分):1ヶ月あたり15日以上の服用を3ヶ月以上
  • 複合鎮痛剤(複数の痛み止めや鎮痛補助薬を含む):1ヶ月あたり10日以上の服用を3ヶ月以上

週に2日以上、鎮痛薬を服用するほどの頭痛が出ている場合、速やかに医師へ相談することをおすすめします。

市販の鎮痛薬を予防的に飲むのはやめよう

鎮痛薬は、痛みがひどくなる前に飲んだ方が効果的です。しかし「今日は痛くなりそうだから」と、痛みが出る前から服用するのは避けてください。毎日のように服用していると、徐々に痛みに敏感になってしまう原因となります。

頭痛や生理痛が出た場合、薬を飲むのは「痛みが出始めたらすぐ」と意識してくださいね。

頭痛ダイアリーをつけよう

頭痛の症状や対処法を記録しておくと、頭痛の治療に役立てることができます。

  • 頭痛の起こった日時
  • 症状(痛みの様子など)
  • 薬を飲んだかどうか

などをまとめておくと、自分の頭痛の様子を確認できるだけでなく、医師が治療をする際の情報伝達にも役立てることができます。

まとめ

市販の鎮痛薬は、頭痛や生理痛を感じたときに手軽に服用できる強い味方です。しかし、使用方法や用量を守らなければ、思わぬ副作用やさらなる痛みを招きかねません。

鎮痛薬を使っていても症状が改善しない場合は、我慢せずに医師に相談してください。また、自分にあった鎮痛薬を選ぶためには、購入時に薬剤師に相談することをおすすめします。