「頭が痛い」という症状はすべての年齢層において3分の1が自覚しているといわれる最も身近な症状の1つです。頭痛の原因は、風邪による軽い頭痛から重大な病気の予兆である深刻な頭痛まで様々です。頭痛を解消し病気の予兆を発見するために、まずは自分の頭痛がどの種類かを見分けることが重要です。今回はつらい頭痛を解消するための第一歩「頭痛の見分け方」をご紹介します。
頭痛とは?
頭痛には大きく分けると機能性の頭痛と器質的な原因のある頭痛の2つに分かれます。まず、頭痛は脳の機能性の病気の1つです。機能性の病気とはCTやMRIの検査では明らかな異常が認められないにも関わらず、中枢神経系がうまく働かない病気のことです。他方、脳に腫瘍や出血がある場合は器質的な病変といわれます。
頭痛の種類
器質的な 原因のない頭痛 (一次性頭痛) |
機能性頭痛 (慢性頭痛) |
片頭痛 緊張型頭痛 群発頭痛 など |
器質的な 原因のある頭痛 (二次性頭痛) |
脳の病気 | 脳腫瘍 慢性硬膜下血腫 髄膜炎 くも膜下出血 |
全身の病気 | 高血圧症 インフルエンザ など |
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局所の病気 | <耳鼻科的な病気> 慢性副鼻腔炎 <眼科的な病気> 緑内障など <歯の病気> 顎関節症 <整形外科的な病気> 頚椎症など |
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出典:家庭の医学をもとにいしゃまち編集部作成 |
生命に危険の及ぶ頭痛
器質的な原因のある頭痛で最もよく知られているのは、脳腫瘍が原因の頭痛です。頭痛の人の多くはこのような生命にかかわる重大な病気を心配して病院を訪れますが、実際には機能性の頭痛の方が圧倒的に多いのが事実です。しかし、次のような場合は危険な頭痛の場合があるのでかかりつけ医の診断を受けるようにしましょう。
- 頭に外傷を受けた後に頭痛が続く場合
- 高齢者や大量に酒を飲む人の場合
- いつもと違う突然の強い頭痛が生じた場合
- 起床したばかりの時に頭痛を感じ数時間で少し改善するということが毎日続く場合
- 後頭部(うなじ)に強い痛みがある場合
- 50歳以上でこめかみを中心とする頭痛が続く場合
慢性頭痛とは
上記のような器質的な原因による頭痛ではない場合、機能性頭痛または慢性頭痛と呼ばれる頭痛です。慢性頭痛は大きく分けて、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛の3つがあります。まずはご自身がどのタイプの頭痛に当てはまるかチェックしてみましょう。
片頭痛チェックシート
片頭痛 | 緊張型頭痛 | 群発頭痛 | |
頻度 | 月に数回繰り返す 数時間から3日ほど続く |
ほぼ毎日同じ 痛みが起こる |
1~2か月毎日ほぼ 決まった時間に起こる 1~2時間続く |
痛みの 種類 |
ズキンズキンと 脈打つような痛み |
ギューっと締め付け られるような痛み |
片側の目の奥が えぐられるような痛み |
部位 | 頭の片側 あるいは両側 |
頭全体もしくは 後頭部・首筋 |
片方の目の奥 |
動いた とき |
痛みがひどくなる | 痛みが軽くなる ことがある |
痛くてじっとしていられない |
頭痛以外 の症状 |
頭痛の前に目の前が 眩しくて見えづらくなる 吐き気を伴う 光や音に敏感になる |
軽いめまいが 伴うことがある |
痛む側の目が充血したり 鼻水が出たりする |
肩や首 のこり |
頭痛が起こる前に 肩や首がこる |
頭痛のときはいつも 肩や首がこっている |
頭痛が起こるのと 同じ側の方がこる |
出典:家庭の医学、日本頭痛学会をもとにいしゃまち編集部作成 |
※表は横にスクロールしてご覧ください。
ズキンズキンと痛む片頭痛
最も耳にすることが多いのが「片頭痛」ではないでしょうか。
片頭痛の主な特徴は次の3つです。
- 月に1回から数回起こり、その痛みが1日中続く
- 典型的な片頭痛は頭の片側でズキンズキンと痛む頭痛
- 階段の上り下りなどの日常的な動作で痛みが増す
ただし、頭の両側で痛みがある場合や、ズキンズキンと脈打たない場合もあります。また、関連する症状としては「吐き気」「光・音・臭いに敏感になる」などが挙げられます。片頭痛患者の内1~2割の人は片頭痛が始まる前に目の前がまぶしくて見えづらくなる閃輝暗点という前兆を感じることがあります。
原因についてはよく分かっていない部分が多いですが、片頭痛を招く要因としては主に次のようなものがあります。
- ストレス(ストレス解放後に症状が現れることが多い)
- 人混みや騒音
- 女性ホルモンの変化
頭の両側がギューっと締め付けられる緊張型頭痛
実は慢性頭痛の中で最も多いのが緊張型頭痛です。一生のうちに緊張型頭痛になる人の割合は30~78%で機能性の頭痛の中で最も多いのがこの緊張型頭痛です。緊張型頭痛の特徴は「頭の両側がギューっと締め付けられるような頭痛が数十分~数日間続く」ことです。片頭痛とは違い、前兆がなく吐き気などの症状を伴わず、また、動いてもひどくなりません。
緊張型頭痛の原因は基本的には「こり」です。また精神的なストレスが原因の場合も少なくありません。主に次のような原因が挙げられます。
- 不安や抑うつ状態
- 長時間の着席などの無理な姿勢
- 枕の高さが合わない
- 歯のかみ合わせ
目の奥が痛い群発頭痛
最後は群発頭痛です。目の後ろ側を通っている内頸動脈が拡張して炎症を引き起こすことにより、眼窩(がんか:眼球のある目のくぼみ)周辺から側頭部にかけて「ドリルで目の奥をえぐられる」と表現される程、激しい痛みを感じるのが特徴です。
それ以外の特徴としては、
- 数週から数か月の期間中毎日出現する
- 夜間・睡眠時などの決まった時間に頭痛の発作が起こりやすい
などが挙げられます。0.056%~0.4%程度の人が群発頭痛を発症します。20~40代男性に多く、男性は女性の3~7倍の確率で発症することが分かっています。
頭痛が起こっているのと同じ側の目の充血・流涙・鼻汁・鼻づまりなどの自律神経症状を伴います。
まとめ
いかがでしたか?今回は皆さんが悩まされている頭痛を解消するための第一歩頭痛の見分け方をご紹介しました。自分の頭痛の種類は分かりましたでしょうか?頭痛の種類を間違えて対処すると症状を悪化させてしまう場合もあります。もし、ご自身で判断できない場合はまずはかかりつけの先生にご相談ください。