コレステロールと言われて思い浮かべるものは何ですか?食品中に含まれていたり、会社の健康診断でコレステロール値を測ったりすることがありますよね。そこでよく耳にするのが善玉コレステロールと悪玉コレステロールです。
単純に考えると「良いもの」と「悪いもの」というイメージで考えてしまいますが、果たしてその認識は間違ってはいないのでしょうか。コレステロールについて詳しく説明をしていきます。
コレステロールの正体は?
コレステロールは体になくてはならない脂質の一種で、人の体の細胞膜を構成する成分です。また、ホルモンや胆汁酸の原料にもなっています。
コレステロールは卵や魚卵などに多く含まれているため、食品から摂るものと思われがちですが、実はほとんどが体内で合成されているのです。
コレステロールは肝臓で合成され、体重1kgあたり12 〜13mg、体重50kgの人であれば1日600〜650mgの量となります(ファンケルコミュニティサイト)。食事からのコレステロールの摂取を控えても、その分体内で合成される量が増えるだけであり、血中の濃度は決まっています。
善玉と悪玉の違いってなに?

善玉コレステロール
善玉コレステロールとは、HDL(high-density lipoprotein) コレステロールのことを指します。
体の中で使われずに余ったコレステロールを肝臓に戻し、動脈硬化を進行させないように働きます。
悪玉コレステロール
一方、悪玉コレステロールとはLDL(low-density lipoprotein)コレステロールのことを指します。
全身の組織にコレステロールを運ぶ働きをしますが、このLDLコレステロールは増えすぎると血管壁に沈着してしまいます。
数字でみると、LDLコレステロール値140mg/dL以上、HDLコレステロール値40mg/dL以下で、どちらかに当てはまる場合には脂質異常症と診断されます。最近はこの2つの数字の比率として「LH比」というものが注目されており、「LDLコレステロール値÷HDLコレステロール値」の式で求められます。
LH比の考え方
LDLコレステロール値が135mg/dL、HDLコレステロール値が45mg/dLであった場合、「135/45=3」となりLH比は3.0です。
LH比は1.5では良好な状態、2.0以上でコレステロールの蓄積があり動脈硬化が疑われる状態、2.5以上で血栓ができている可能性ありという診断がされます。
LDLコレステロール値が正常であっても、HDLコレステロール値が低いと心筋梗塞を起こす危険性が高いため、その予防には両方のバランスを示すこのLH比が参考になります。
まとめ
コレステロール値は高いほど危険というのは誤解であり、本来は私たちの体にとって必要な働きをしてくれています。しかし、この働きのバランスが崩れることで、動脈硬化などの原因になってしまいます。
そこで、LDLコレステロールとHDLコレステロールは、単体の数値を見るだけではなく、2つの数値のバランスを見ることが大切です。
脂質異常症については診断基準などが改定されることも多いですが、ご自身の健康を守るため、しっかりと健康状態を把握するようにしてください。悪玉コレステロールが高いと言われた場合の対処法については、「悪玉コレステロールが高いと言われたら?」をご覧ください。