急にお腹の上が痛くなり、「もしかしたら食中毒かもしれない!?」と思うことはありませんか?もちろん、急にお腹が痛くなった原因が食中毒である恐れもあります。しかし、その痛みが1~2日続き、痛みが右下腹部(へその右斜め下)に移動したら注意が必要です。その痛みは虫垂炎(ちゅうすいえん)から来る痛みかもしれません。それを放っておくと、他にも様々な病気を引き起こす恐れがあります。似たような痛みを感じたことがある方は、この記事を参考にしてみてください。

目次

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虫垂炎とは

虫垂炎は、一般的に「盲腸」として知られている病気です。「盲腸」という呼び方をされてはいますが、実は盲腸そのものに炎症が起こる病気ではなく、盲腸につながっている虫垂という小さな臓器に炎症が起きた状態をいいます。

最初に心窩部(お腹の上辺り)が痛くなり、その痛みが右下腹部に移動するような腹痛が、虫垂炎に典型的な症状です。10~20代の方が起こしやすいため(メルクマニュアル 家庭版|虫垂炎より)、今までに虫垂炎になったことがある方もいらっしゃるかもしれません。

虫垂炎は、一般的な病気ではありますが、医師でも診断が難しいことがある疾患です。はじめは胃腸炎だといわれた症状が、なかなか良くならずに痛みが右下腹部に移動したことで虫垂炎だと分かることもあるのです。

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虫垂炎の原因

虫垂炎の原因ははっきりしていません。しかし、多くの場合は虫垂が塞がることによって起こると考えられています。例えば、硬い便の一部や異物、腫瘍などが虫垂に詰まります。そうして塞がった虫垂に感染症が生じることで、虫垂炎が発症してしまいます。

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虫垂炎の症状

虫垂炎は、その症状により初期進行期と分けられています。ここでは、それぞれの症状の違いについて説明します。

初期の症状

初期には虫垂が塞がることで、心窩部(みぞおち)のあたりが痛みます。また、その痛みが原因で悪心・嘔吐、さらには食欲不振といった症状も現れます。

進行期の症状

初期の腹痛から数時間経つと進行期に移行し、痛みが右下腹部に移り圧痛(押すと痛みが生じること)を伴うようになります。さらに進行すれば、38℃程度の発熱など風邪に似た症状を示します。

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虫垂炎の合併症

虫垂炎は下腹部に痛みを生じるほか、悪化すると虫垂の穿孔(せんこう:穴が開くこと)や腹膜炎といった重篤な病態になることがあります。ここでは、虫垂炎によって生じる合併症を説明していきます。

1.膿瘍(のうよう)

膿瘍とは限られた場所に膿が溜まったものであり、虫垂炎では横隔膜の下や虫垂の周囲、そして女性の場合にはダグラス窩(子宮と直腸との間にある空間)にできます。膿瘍ができると、できた場所の辺りが熱を持ち、さらには腫れてくることがあります。

2.腹膜炎(ふくまくえん)

腹膜炎はその名の通り、腹膜(小腸や大腸などのお腹辺りの臓器)に炎症が起こっている状態です。激しい腹痛と共に発熱悪心・嘔吐などが見られます。

虫垂炎の場合は汎発性(広い範囲での)腹膜炎になる恐れがあります。この場合では、速やかに抗菌薬による治療や輸液を行い、緊急手術を行う必要があります。

まとめ

腹痛には様々な原因があり、「盲腸」と呼ばれる虫垂炎もその原因の一つです。虫垂炎は広く知られた病気ではありますが、適切な治療をしなければ重篤な病態になってしまう危険性があります。ですから、腹痛が移動するなど虫垂炎に特徴的な症状が見られたら、なるべく早い時期に医療機関を受診すると良いでしょう。