食べ過ぎてお腹が痛くなったり、生ものを食べてお腹が痛くなることはよくあるかと思います。しかし、痛みが右下腹部に移動したり、痛みの性状がいつもと異なったりしたら、その痛みには注意が必要です。もしかしたらその痛みは虫垂炎によるものかもしれません。虫垂炎の詳細を知りたい方は「急な腹痛…その原因は虫垂炎かも?」をご覧ください。

ここでは虫垂炎であるならばどの科にかかればよいのか、そして自分で虫垂炎かどうかチェックする方法を説明していきます。

目次

虫垂炎は何科にかかればいい?

右下腹部に移動するような腹痛を感じ、「もしかしたら虫垂炎かもしれない。」と思っても、何科にかかればよいのか分からないかもしれません。

虫垂は消化器の一部ですから、消化器の病気を扱う消化器内科にかかるのが良いでしょう。虫垂炎では手術が必要となる場合がありますが、もし手術が必要であっても、消化器内科の先生が消化器外科の先生を紹介してくださるので心配ありません。

虫垂炎で行う検査

虫垂炎で行う検査は、

  • 血液検査
  • 腹部超音波(腹部エコー)検査
  • CT検査

病院で行われる検査は主にこの3つの検査です。

血液検査では体内で炎症が起きているかどうかを判断します。もちろん、虫垂炎以外の病気によって炎症が起きているかもしれません。そこで、腹部CTや腹部エコー検査で虫垂が大きくなっていないか、虫垂に異物がないかどうかを確認します。

以上の検査で虫垂炎が強く疑われたら、虫垂炎と診断されます。虫垂炎と診断されたら、虫垂炎の治療が始まります。

虫垂炎の治療

手術

虫垂炎の治療は大きく分けて、

  • 外科的治療
  • 保存的治療

といった2つの治療方法があります。

外科的治療は手術で虫垂を取ろうという手術です。一方、保存的治療は手術はせず、抗菌薬や絶食をすることで治療しようという方法です。これら2つの治療方法は患者の希望に沿って行われますので、いずれかの治療を選択する必要があります。

外科的治療は虫垂を取ってしまいますから、二度と虫垂炎になることはありません。しかし、手術による合併症(例えば、傷口が痛むなど)が起こる恐れがあります。保存的治療はそういった合併症の心配がありませんが、虫垂炎が治るまで少し時間がかかり、再び虫垂炎になるかもしれません。

虫垂炎かどうかを自分で見極める方法

ポイント

虫垂炎には4つの有名な徴候が存在します。これらの徴候のうち一つでも当てはまるものがあれば、その腹痛は虫垂炎によるものかもしれません。痛みが移動したり、痛みがいつもと違うなと感じたら、以下の徴候を試してみてください。

ただし、虫垂炎は時に症状が分かりにくいこともあり、医師も診断に苦慮することがある疾患です。怪しい、普段と違うなど感じることがあれば、迷わず医療機関を受診しましょう。。

1.Blumberg(ブルンベルグ)徴候

Blumberg徴候とは「お腹を押したときより手を離すときに痛みが強くなる現象」で、医学では反跳痛と呼ばれている徴候です。これは腹筋の振動が虫垂に伝わることが原因と考えられています。ですから、ジャンプや足を地面に下ろした場合あっても痛みは強くなることがあります。

2.Rovsing(ロブシング)徴候

Rovsing徴候とは「仰向けに横になり、左下腹部を頭側に押し上げるように圧迫すると、右下腹部の痛みがより強くなる現象」です。これは大腸に溜まったガスが虫垂近辺に移動し、その部分の圧力が高くなるために生じると言われています。

3.Rosensetin(ローゼンシュタイン)徴候

Rosensetin徴候とは「左向きに寝る姿勢の方が仰向けで寝るよりも圧痛が増強する現象」です。これは重力によって虫垂が伸びるために起こると言われています。

4.腸腰筋徴候

腸腰筋(腰の筋肉)徴候とは「左向きに寝る姿勢で、右足を曲げてから伸ばす、さらに背中側に伸ばしたときに右下腹部に痛みが生じる現象」です。これは炎症が腸腰筋まで及んでいる状態です。

まとめ

自分の腹痛が虫垂炎かどうか知りたいとき、4つの徴候を確かめてみてください。もし4つのうち1つの徴候でも当てはまれば、すぐに消化器内科を受診し、適切な治療を受けるようにしてください。虫垂炎は様々な合併症を引き起こす恐れがあるからです。自分の腹痛が虫垂炎であると思ったら、ぜひ一度医師に相談してみてはいかがでしょうか。