リウマチとよく耳にはしますが、どういった病気なのでしょうか? 手の指が腫れて痛んだり、曲がった状態に変形してしまうなどの症状で知られていますが、詳しいメカニズムなど分かっていないことも多い病気です。関節リウマチってどんな病気なのでしょうか?詳しく解説します。

目次

関節リウマチのメカニズム~免疫との関わり~

自己免疫疾患ってどんな病気?

リウマチは、ギリシャ語で「悪い液体が流れる」という意味のrheuma(リューマ)という言葉を語源としています。かつては、悪い液体が関節に溜まって痛みを起こす病気だと考えられていました。

現在、関節リウマチは自己免疫疾患のひとつであることがわかっています。自己免疫疾患とは、体を守る働きである免疫機能が、何らかの原因により自分自身の組織を異物と見なして攻撃してしまうことによって起きる疾患です。

免疫機能は普段、体の外から入ってくるウイルスや細菌などの感染症の脅威から私たちの体を守ってくれています。また、日々体内で作られてしまう異常な組織であるがん細胞を攻撃・排除する役割をも担っていることが分かっています。そして、こうした免疫機能の一連の反応を「自己免疫反応」と呼びます。

免疫機能には本来、異物やがん細胞に対してのみ反応し、自身の正常な細胞には反応しないようチェックするシステムが複数にわたり備わっています。しかし自己免疫疾患では、こうした免疫機能のどこかに不具合が生じることで、自分自身の正常な細胞である皮膚、筋肉や臓器に炎症が起き、組織が破壊されてしまいます。どこの組織に炎症が起きるかは、病気によって異なります。

関節リウマチでは「滑膜」に炎症が起きる

関節リウマチでは、滑膜と呼ばれる関節の組織に炎症が起き、滑膜細胞が異常増殖します。増殖した滑膜細胞は、炎症反応を促す物質である炎症性サイトカインという物質を産生し、さらに炎症反応が強まります。こうして髄膜から軟骨などの周辺の組織へ炎症が広がると、軟骨や骨が破壊されて関節が変形してしまうのです。

関節リウマチになりやすい人とは?

左手をあげる女性

女性に多い病気で、特に30~50代の方の発症が多くみられます。30歳以上の人口の1%に認められ、決して珍しい病気ではありません(公益社団法人リウマチ財団より)。また、なりやすい体質の遺伝やHLAなどの遺伝的要因が関与していることが分かっていますが、遺伝病ではありません。

ウイルス感染や歯肉炎、歯周病の感染、喫煙などの環境因子の影響などの複数の因子が複雑に関わっていると考えられており、遺伝的要因と環境的要因が複雑に関わって関節リウマチが発症するといわれています。

HLAとは?

ヒト白血球抗原。細胞の表面にある分子の型で、白血球の血液型のようなもの。形状・性質に個人差があり、免疫反応に影響を及ぼす。骨髄移植の際、術後の拒絶反応を防ぐために、このHLA型を一致させることで知られている。

関節リウマチの症状

関節の症状

関節の腫れ、痛み、変形

髄膜の炎症は主に手足や足の第2関節や第3関節に発生し、関節を圧迫すると痛む圧痛や、何もしなくても痛む自発痛といった症状が出ます。症状は左右対称に発生する特徴があり、背骨、腰骨には症状が出ません。

炎症が続くことで関節が変形してしまい、関節が固まって動かなくなります。進行すると、肘、膝、肩関節、股関節に病変が及ぶことで日常生活が困難になったり、頸椎環軸椎関節(首の上部の骨)の病変により脊髄が圧迫され脊髄損傷となる場合もあります。

朝のこわばり

起床時に手や足がこわばって動かしにくいという症状が出ます。関節リウマチの典型的な初期症状です。病状が悪くなるとこわばりの時間も長くなるため、病気の活動性をはかる症状のひとつでもあります。

関節以外の症状

炎症反応が起きていることによる全身症状もみられます。また、一部の関節リウマチは、炎症が関節にとどまらず、肺、目、皮膚、血管などの部位にも広がることがあるため、関節以外の器官にも注意が必要です。

身体のだるさ、微熱

関節の痛みが出る前に、何となく身体がだるい、微熱(38℃以下)が続くなどの風邪のような症状が出ることがあります。

皮膚の異常

炎症を起こした関節にグリグリとした皮膚結節(皮膚のしこり)ができることがあります。

咳、息苦しさ

肺や気管支、胸膜(肺を覆う膜=肋膜に同じ)に炎症が起こると、胸膜炎・間質性肺炎(肺の組織が繊維状になって固くなることで、呼吸がしずらくなる病気)といった合併症を引き起こします。肺の合併症は、男性の患者さんに多い傾向にあります。

関節リウマチの治療に対して投与する抗リウマチ薬の副作用で間質性肺炎を発症することもあります。

シェーグレン症候群

涙や唾液を作り出す腺に炎症が起こります。目の症状では、目の渇き、疲れやすいなどのドライアイの症状、角膜炎などを生じることがあります。また、唾液線の異常によって口腔内が乾燥し、食事のしにくさのほか、虫歯になりやすくなる、味覚障害などの症状が現れます。

まとめ

関節リウマチは自己免疫疾患のひとつで、病気の原因については不明な部分が多い病気です。病気が進行すると関節破壊や関節変形をきたしたり、多彩な全身症状を起こすことから、早期発見と早期治療が必要な病気です。

関節リウマチかな?と思ったら早めに専門医に相談しましょう。診断のための検査や治療、日常生活の注意点については、記事「つらい関節リウマチ、早期発見と有効な治療法とは?」をご参照ください。