子宮体がんは、子宮頸がんに比べて高い年齢で発症しやすく、50~60歳が発症のピークといわれています。とりわけ子宮体がんの主な症状である不正出血がある場合には、適切な検査を受けることによって早期発見に努めることが大切です。

子宮体がんの特徴については、「子宮体がんってどんな病気?初期症状はどのようなもの?」にまとめておりますので、こちらをご参照ください。

この記事では検査の方法のほか、治療方法についても紹介します。

目次

検診を受けるべき人とは?

以下のような人は、検診を受けることをオススメします。

  • 月経とは関係なく出血があった方
  • 閉経後にもかかわらず少量の出血(不正出血と言います)がみられる方

出血は、茶褐色の「おりもの」や、「おりもの」に少しだけ血がまじった状態で症状が現れることもあります。

子宮体がんの検査方法

子宮体がんの検査には、主に次のものがあります。

細胞診組織診

一般的な検診で行われる検査はこちらの方法です。
子宮の内側に細い棒状の器具、または、さじ状の器具を挿入して行うので、軽い痛みと出血をともなうことがあります。しかし短時間で済み、検査の正確性はとても高いです。
細胞診は、組織の表面から細胞を引き剥がして調べます。組織診もこれと似ていますが、組織をある程度の塊で採取する必要があるため、痛みが強くなることがあります。

いずれも、外来で受けることができ、基本的に麻酔は行いません
お産の経験のない方や高齢の方は、入り口が狭く数%の方で検査ができないこともあります。

経腟超音波検査

子宮体がんになると子宮の内膜が厚くなる傾向があります。経腟超音波検査は内膜の厚みを調べ、子宮体がんの疑いを判断することができます。

ただし、初期の子宮体がんの発見には向いていません。

CTMRI

子宮体がんであることが分かった後、治療方針を決定するために行うのがMRI(核磁気共鳴映像法)やCT(コンピュータ断層撮影装置)です。

MRIでは腫瘍の大きさや、子宮筋層へのがんの広がりを調べることができます。CTではリンパ節、肺、肝臓といった他の臓器への転移の有無を調べます。

子宮体がんの治療の流れ

では、検査で子宮体がんと診断されてしまった場合、どのような治療が施されるのでしょうか?
子宮体がんの治療は、基本的に手術療法が第一選択となりますが、場合によっては別の方法をとることもあります。

手術療法

子宮と両卵巣をすべて切除することで再発や転移を防ぎます。進行具合を判断した上で、必要に応じてがんが転移する可能性の高いリンパ節を切除します。開腹手術を行った影響で手術跡に癒着が生じ、腸がふさがる腸閉塞」という合併症が生じることがあります

手術を行わない場合

初期の子宮体がんに限っては、将来の妊娠に備えて子宮の温存を希望する人に対して、黄体ホルモン製剤による治療が選択されることもあります。また、高齢などのため手術を行えない場合には、化学療法や放射線療法を選択します。

保険適用となった腹腔鏡手術とは?

子宮体がんの手術は従来、腹部を切開して行うものでしたが、2014年からは腹腔鏡手術が保険適用となっています。腹腔鏡手術では腹部を切開するかわりに、4~5か所の穴を開け、そこから手術に使う器具や小型カメラを挿入します。

腹腔鏡手術は目視によってではなく、モニターに映し出される映像で確認しながら手術を行うのが特徴です。傷口が小さくて済むため、美容上の利点に加え、出血量も少なく、手術後の早期回復を期待できます。また、開腹手術で問題となる腸閉塞などの合併症が起きにくいとも考えられています。

ただし、腹腔鏡手術は開腹手術よりも手術時間が長くなる傾向があり、術者による技術の差が出やすいこという問題があります。操作を誤ると命にかかわる事故に発展する危険性が指摘されています。

まとめ

子宮体がんは、早期に治療できれば予後の悪いがんではありません。また、子宮を温存する黄体ホルモン製剤による治療は、早期がんであることが条件となります。不正出血などの疑わしい症状が現れたら適切に検査を受けることが大切です。治療の第一選択は手術療法ですが、近年は、保険適用となった腹腔鏡手術も普及しています。治療法を選択する際は、何を優先するかを考え、医師とよく相談することが大切です。