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女性特有のがんの代表として乳がんと子宮がんを挙げることができます。この内、子宮がんは「子宮頸がん」と「子宮体がん」に分かれます。子宮にできるという共通点も持ちながらも、この2種類のがんは原因も傾向も異なっています。ここでは子宮体がんの特徴や初期症状について見ていきましょう。

子宮頸がんと子宮体がんの違いは?

子宮は、骨盤の中央に位置する女性の生殖器です。子宮の出口付近を子宮頸部といい、子宮の上の方にある袋の部分を子宮体部といいます。子宮頸部にできるがんが子宮頸がん、子宮体部にできるがんが子宮体がんです。

発生率は子宮頸がんの方が高く、また、近年は20歳頃から発症するケースも増えています。ただし、検診に関する啓発活動が進んだことで、子宮頸がんは比較的早期に発見されることが多いとされています。一方、子宮体がんは、子宮頸がんに比べ、進行してから発見される傾向にあります。子宮体がんは閉経期前後から閉経期以降の早い時期に発症しやすく、50~60歳で発症のピークを迎えますがん研有明病院より)。

子宮体がんの原因

子宮頸がんの場合、その原因が性行為によるヒトパピローマウイルスへの感染であることが分かっています。子宮体がんの原因はこれとは異なり、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が高い状態が続くことが発症に大きな影響を与えると考えられています。

子宮体がんには、がんになる一歩手前の状態である「前がん病変」が存在します。子宮の内側を覆う粘膜が過剰に増えてしまう「子宮内膜増殖症」には4つのタイプがありますが、そのうち、「複雑型子宮内膜異型増殖症」というタイプが子宮体がんの前がん病変であると考えられています。

子宮体がんにかかりやすい人とその症状

おなかをおさえる女性

子宮体がんは、高エストロゲンとなる環境が原因となります。
次の項目に当てはまる人はそのリスクが高くなります。

  • 出産したことがない
  • 肥満である
  • 月経不順がある
  • 卵胞ホルモン(エストロゲン)製剤だけのホルモン療法を受けている
  • 子宮がん・乳がん・大腸がんを患った近親者がいる
  • 糖尿病がある
  • 高血圧である
  • 乳がんの既往がある

子宮体がんの主な症状は不正出血です。上の項目に当てはまり、とりわけ更年期または閉経後の人で不正出血がある場合には医療機関を受診することをお勧めします。

まとめ

子宮体がんは子宮の上の方にできるがんで、子宮頸がんとは部位も原因も異なっています。50~60歳の年齢で発症することが多く、目立った症状が出ないこともありますが、不正出血は病気のシグナルといえます。出産したことがない、月経不順がある、ホルモン療法を受けている等、リスクが高いと考えられる人は特に注意しましょう。

子宮体がんの検査や治療については、「痛みや出血が気になる子宮体がん検査、その方法5つと治療の流れ」にまとめておりますのでご参照ください。