糖尿病を患っている場合、血糖値を下げる機能だけではなく上げる機能も低下していると考えられます。

空腹時に運動をしたり食事を制限したりしすぎると、下がってしまった血糖値がなかなか上がらず、低血糖症状を起こしてしまうことがあります。
ですから、症状が軽いうちに対処する必要があるのです。

ここでは、自分でできる対処法と、周囲の方がしてあげられる対処法に分けて、医師・吉澤 威勇先生による監修記事で解説します。

目次

自分でできる対処法は?

低血糖 症状

一般的な低血糖の症状としては、自律神経症状中枢神経症状があります。

前者では悪寒、動悸、発汗などが、後者では頭痛、眠気、異常行動、意識障害などといった症状が生じ、これらがみられた場合要注意です。

低血糖の症状が比較的軽度であり、自分で気が付くことができたときには、自分でできる対処法をとり、それ以上血糖値が下がらないようにする必要があります。

低血糖の症状に気が付くことができたら、まずはブドウ糖を口にしましょう。
10~15gのブドウ糖を飲み、しばらく安静にし、15分程経っても回復しないときにはさらにブドウ糖を追加します。
症状が改善したあとでも、ブドウ糖のみでは数時間後に再び低血糖に陥る可能性があるので、できれば食事を取るようにしてください。

また、車を運転している時の低血糖は大きな事故に繋がり、とても危険です。
少しでも低血糖ではないかと気が付いたらすぐに車を停車しブドウ糖を口にして休憩してください。

ブドウ糖は車の中や机の引き出しに入れておくのでは意味がありません。
いつでもすぐに取り出せるように、服のポケットやカバンの中に入れておきましょう。

家族やそばにいる人ができる対処法は?

低血糖 対処法

低血糖の症状が進み、意識障害を起こしてしまうと自分では何もできなくなってしまいます。
周りにいる人たちがいち早く患者の異常に気付き処置できるよう、対処法を心得ておく必要があります。

意識障害を起こしている特徴的なサインは一点を見つめてボーっとしている話しかけても返事をしないなどです。
普段一緒に生活をしている家族なら、いつもと違う様子に気がつくことができるでしょう。

低血糖を起こしていると判断できたらコップ半分の水にブドウ糖を入れて溶かしたものを飲ませてみてください。
手元にグルカゴン(血糖値を上げるホルモン)注射セットがあるときには、患者の肩・お尻・太ももに筋肉注射をします。

患者の糖尿病の状態が良くないとき、低血糖を何度も起こしているとき、自分で対処する力がない場合には、あらかじめ医療機関でグルカゴン注射の指導を受けておくと良いでしょう。

糖尿病カードを携帯しましょう

低血糖 対処法

突然低血糖状態を起こし意識障害や昏睡状態になってしまったときに、自分が糖尿病患者であることを知らせるIDカードがあります。
誰も知っている人がいない場所に出かけるときには、もしもの場合に備えて氏名や住所・連絡先が記載されているカードを持ち歩くと安心できるでしょう。

自分で簡単に書いたメモでも良いですし、日本糖尿病協会で発行しているものもあります。
胸ポケットなどに入れて体に身に付け、持ち歩くことで適切な処置を受けることができる可能性が高くなりますので、カードを携帯するということも重要な対処法です。

まとめ

低血糖の原因として最も頻度が高いのは、経口血糖降下薬やインスリン治療中に生じるものです。
頻回に低血糖を繰り返すようであれば、速やかに主治医と相談し治療薬の減量や変更などを行ってください。

低血糖症状はいつどこで急に起こるかわかりません。

起こったときに何をしたら良いか慌てることがないように周りの家族も、自分もしっかりと準備をしておきましょう。