糖尿病は血糖値を下げるホルモンであるインスリンの作用不足による病気で、進行具合によって無症状から昏睡までの幅広い病態を示します。

糖尿病患者によくみられる低血糖は、人によって様々な症状がみられます。そのため、自分の低血糖の症状がどのようなものかをよく知り、自分でできる対処法をあらかじめ心得ておく必要があります。

目次

低血糖が起きるとどうなるの?

低血糖は一般的に、血糖値が60mg/dL(あるいは50mg/dL以下)になった場合を指します。しかし、普段から血糖値が高い人の場合、これより高い値でも低血糖症状がみられることがあります。

また、ここで紹介する症状はあくまで一例です。低血糖を何度か経験するうちに、自身の症状や前兆、どのようなときになりやすいか等が分かってくるようになります。早めの対応ができるよう、周りの人にも自分の症状を知っておいてもらうと良いでしょう。

自律神経症状

血糖値が急激に下がると、身体からの危険信号として、以下のような症状がみられます。これらの自律神経症状は精神疾患のパニック障害統合失調症の症状と似ており、病院でも誤った診断をされることがあります。

これらの症状は、糖分をすぐに補給することで快方に向かいます。

中枢神経症状

血糖値がさらに下がると中枢神経の症状が起こり、脳が正常に活動できなくなりつつあることを示してきます。

意識障害、低血糖昏睡

低血糖がさらに進行すると意識障害が起こります。自分がどこにいて何をしているのか分からない状態となってしまい、さらに進むと昏睡状態・最悪の場合には死に至るケースもあります。これらの段階になってしまうと、自分自身で対処することは不可能です。

 

低血糖の症状は人それぞれなので、誰にでもこのような順序で症状が出るわけではありません。低血糖症状を経験したら、自分の症状はどのようなものかを記憶し、またいつか起こるかもしれない場合のために備えておきましょう。

低血糖が起こりやすい状況起こりやすい人とは?

目元を抑える人

低血糖は、薬や注射で補ったインスリンの量が必要量を上回ったときに起こります。

  1. 食事の間隔が空いてしまったとき(特に朝食を抜いたとき)
  2. 食事の量が少なかったとき
  3. 過剰に運動をしたり力仕事をしたりしたとき
  4. 早朝などの空腹時に運動をしたりしたとき
  5. 飲み薬やインスリンの量を間違えたとき
  6. 薬の効果を高める他の薬を併用したとき

 

血糖値とは血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度のことですが、元々はご飯やパンなどの主食に含まれる炭水化物が体の中で分解されたものです。

血糖値を下げたいといって炭水化物を減らしすぎる人もいますが、こういった食事は低血糖を引き起こす原因にもなるため、とても危険です。主食・主菜・副菜の揃った栄養バランスの良い食事を摂るように気をつけてください。

無自覚性低血糖に気を付けよう

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糖尿病の合併症の一つに神経障害があります。この神経障害が起こっていると、血糖値が50mg/dLまで到達しても低血糖症状に気が付かないというケースがあり、これを無自覚性低血糖といいます。

無自覚性低血糖の場合、警告になりうる症状に気がつくことができないので、早めの対処が難しくなります。いきなり中枢神経の症状が出現したり、重症な場合には突然倒れたりということもあります。このようなケースが車の運転中や危険な場所での作業中に起こった場合、生死に関わることもあります。

対策として、自己血糖測定を頻繁に行う必要があります。一定値以下であれば、低血糖の症状がなくても血糖値を上げる治療をしなくてはなりません。定期的に病院を受診し、主治医の指導をしっかりと守ることが大切です。

まとめ

低血糖は症状の軽いものから重症のものまで様々で、人によっても症状が異なります。

低血糖が起こりやすくなる状況をなるべく避けるようにし、もしかしたら低血糖かも知れないと思うような症状を少しでも感じたら対処法をとるようにしましょう。