母乳で育てたいというお母さんには授乳の悩みがつきものです。
授乳のトラブル第1位の乳腺炎は、多くのお母さんが経験しており、日ごろからの乳房チェックなどのセルフケアが大切になってきます。また、かかってしまった場合は早期に治療することがとても重要です。今回は乳腺炎について、なってしまった場合の治療法やセルフケア方法に関して説明していきます。
乳腺炎が疑われるときは?
乳腺炎の症状や原因については「授乳のトラブル、原因は乳腺炎かもしれません。その症状とは?」の記事で説明しています。
初期の段階の症状なのか、悪化している状態なのかで治療法も異なります。
その症状から乳腺炎が疑われるときは、病産院、産科、母乳外来、乳腺外来などに相談しましょう。いずれも母乳育児を推進している病院だとより授乳に関しての指導が受けられます。
乳腺炎の治療

乳腺炎になりかけの比較的軽い症状だと、助産師からの授乳の指導やマッサージが行われます。初期の乳腺炎の症状をそのまま放置していると、炎症・化膿がすすみ、薬物療法や外科的治療が必要になる場合があります。
薬物療法
医師の判断で薬物療法が必要な場合、処方されるのは抗生物質や鎮痛剤です。必ず医師の指示を守り服用しましょう。
授乳による赤ちゃんへの影響を心配されると思いますが、授乳中でも飲んでも大丈夫な薬はあります。薬物療法で症状が和らいだからといって途中で服用をやめたり、薬を服用中だからといって授乳を中断したりすることで、乳腺炎は悪化することがありますので注意しましょう。
外科的治療
乳腺炎を放置していると、化膿がすすみ、膿が出るようになります。その場合、穿刺または切開で排膿処置が必要になる場合があります。
病院へ行けない場合はどうすればいいの?

お母さんによっては、乳腺炎を何度も繰り返してしまうこともあります。また、授乳中のお母さんは高熱が出ても気軽に病院に行くのが難しいこともあります。すぐに病院に行けない時はどうしたらいいのでしょう。
1.授乳は続ける
基本的には、授乳を続けるということが大切になります。
授乳を中止することは、乳腺炎の回復を妨げ、かえって状態を悪化させてしまいます。乳腺炎の時の母乳を赤ちゃんに飲ませていいのか疑問に思う方もいるかと思いますが、赤ちゃんに乳腺炎の細菌や毒素が移行するわけではないので安心して授乳を続けましょう。
2.熱を下げる
熱があるときは葛根湯を服用しましょう。葛根湯は授乳中でも飲める薬で、赤ちゃんへの影響が少ないとされています。
3.張りを和らげる
温めすぎや冷やしすぎも良くありません。授乳前に、乳頭・乳輪部分を温湿布によって温めることで母乳は出やすくなりますが、授乳後には温湿布は行わず、心地よければ冷湿布などを使用しましょう。市販のクールパッドや冷湿布、お手製の湿布で張りを和らげましょう。手軽にできる手製の湿布として、キャベツ湿布とじゃがいも湿布などがあります。
キャベツ湿布
生のキャベツの葉の芯を取り除き、葉の部分を症状が強い部分にあてる
じゃがいも湿布
材料
- じゃがいも1個
- 薄力粉大さじ4~5杯程度
- 酢2~3滴
- 厚めのキッチンペーパー
作り方
- じゃがいもの皮をむき、すりおろす
- 小麦粉をまぜ、酢をたらす
- 半分に折ったキッチンペーパーの半面(全体の1/4面)に大さじ2杯分くらいの②をのせ、のばす
- 塗っていない半面を重ね合わせる
テープ等で症状が強い部分に固定して貼ります。基本的な交換時間は4~6時間ですが、湿布がバリバリに乾燥したら交換します。多く作った場合、ビニール袋に入れ冷蔵庫で保存すれば、1日はもちます。
4.食事
あっさりした食事とノンカロリーの温かい飲み物をゆっくり摂りましょう。油を使わない調理法で、バランス良く食べることが大事です。
5.休息
休息も大事です。家事をお休みしてしっかりと休息することを優先しましょう。
少しでも状態が落ち着き、病院に行ける状態になったらすぐに受診しましょう。
まとめ
乳腺炎にかかると、その症状から苦痛を痛感し、後悔し、授乳をもう止めてしまいたいと落ち込むなど、お母さんたちはさまざまな思いを抱えます。なるべく乳腺炎にかからないように、またかかっても早めに解消できるよう、日ごろから乳房をよく観察し、トラブルに早めに気づくことが大切です。