母乳は栄養や免疫において優れているだけでなく、「抱いて授乳、抱かれて哺乳」によって母と子の愛着が育まれ、親子の絆が形成されます。直接母乳をあげられない場合には、赤ちゃんを抱いて語りかけながら、ボトル授乳をしましょう。スキンシップが大切です。

目次

母乳に関する疑問を解決!

下記では、初産婦さん、もしくは経産婦さんで前回は母乳育児ではなかった方にぜひ知っておいて頂きたい母乳の知識をまとめてみました。
母乳育児は最初が肝心です。後から頑張ってもなかなか量が増えなかったり、赤ちゃんがボトル哺乳を好んだりと難しくなることが多いようです。産後すぐの母乳の出方や授乳のポイントなど、母乳育児の最初の関門を突破できるようになる方法を知っておいてください。

母乳ってどれくらい出るもの?母乳が出る仕組みとは

母乳の出方をご存じの初産婦さん(初めて出産されるお母さん)は少ないかと思います。蛇口のように出口が1つで、赤ちゃんが吸えばすぐシャーっと出るような構造ではありません。

乳首の先端をジッと見てもらうと分かりますが、表面に小さなでこぼこがあるのが見えると思います。この1つ1つが乳管(母乳の通り道)の出口で、そこから母乳が出るようになっています。

最初はそのうち1本が開通しているかどうかという具合であるため、分泌量も「何cc」ではなく「何滴」の世界です。これが、赤ちゃんが頑張って吸ってくれたり、お母さんがマッサージや搾乳などで刺激したりすることで10本程度開通し、搾ればシャーシャーと音が出るくらい母乳が出るようになります。いきなり開通していくわけではなく赤ちゃんが吸啜することで数日かけて少しずつ開通していくので、焦らないことが大切です

おっぱいを飲む赤ちゃんも大変

おっぱいを吸っているだけのように見える赤ちゃんも実は大変です。赤ちゃんがおっぱいを吸うには3つの動きが必要です。赤ちゃんによってはお母さんの助けが必要な場合もありますのでその方法を知っておいて下さい。

1.吸着

隙間がないように口をお母さんのおっぱいに密着させる必要があります。赤ちゃんが大きく口を開けた状態を見計らってガバッとおっぱいに密着させるぐらいがちょうどいいのです

口の開け方が小さい状態で吸ってしまうと、吸引力が乳首の先端のみにかかり、乳首に水疱ができたり、傷がついたりして痛みで授乳が難しくなるため、最初はお母さんがタイミングを見計らっておっぱいを咥(くわ)えさせてあげてください。そのうち、自分から大きく口を開けることを覚えてくれます。

2.吸啜(きゅうてつ)

大人がストローで飲み物を飲むのと違い、母乳は舌を波のようにうねらせて、乳首をしごくようにして飲む必要があります。これを上手にできる子とできない子がいるのですが、最初は舌の長さやお母さんの乳首の大きさや形状との相性が重要になります。

もし、乳首が短小や平らな場合、陥没している場合は妊娠中から助産師さんに相談しておきましょう。乳首を柔らかくするようにマッサージして吸いやすくします。
赤ちゃんが成長し大きく口を開け乳輪まで咥えることができれば、どのような形状の乳首でも吸啜することが出来るようになります。

3.嚥下

物を飲み込む動作を嚥下といいますが、赤ちゃんは嚥下がまだ上手ではないため、むせることが時々あります。また、嚥下の仕方が大人と赤ちゃんでは少し違います。

大人は物を飲み込む時には呼吸は完全に止めていますが、赤ちゃんはおっぱいを吸いながら鼻で呼吸していて、飲み込む一瞬だけ呼吸を抑制します。たまに呼吸することを忘れてしまう赤ちゃんもいるため、吸っている時に顔や唇の色が悪い場合は、おっぱいから口をはずして背中を軽くトントンして下さい

このように、赤ちゃんは大きな口を開けておっぱいに吸い付き、舌を器用に使って母乳を出して、呼吸を忘れない様にしつつ飲み続けるという作業を必死に頑張っています。授乳がうまくいかなくて辛いお母さんも多いと思いますが、赤ちゃんも一緒に頑張っていることを忘れないでください。

出産直後からの頻回授乳が大切!

産後すぐの乳管は1本開通しているかどうかなので、出口がない状態です。乳管を早期に開通させるためには、出産直後からの頻回授乳が大切です。
赤ちゃんが吸うことで乳管を開通し、その刺激でおっぱいを作るように脳から指令が行き、産後2,3日目には赤ちゃんのお腹を満たそうと母乳がいっぱい作られるのです。出口が十分に開通していないと、おっぱいはパンパンに張ってしまいます。

赤ちゃんにいっぱい吸ってもらうことで、だんだん母乳の作られる量と乳腺の開通具合の均衡が取れて楽になるので、頑張って乗り切りましょう

もし、乳腺炎を起こした場合には早期の対応が必要ですので、おっぱいの痛みは出産施設の助産師さんに相談をしてみると良いでしょう。

まとめ

母乳って大変と思われたお母さんも多いと思いますが、おっぱいの仕組みや気を付けるポイントを知っていれば案外なんとかなるものです。出産と同じで「案ずるより産むが易し」ですね。そして少しでもつまずきそうになったら、助産師さんや周りの人に早めにヘルプを出しましょう。おっぱいトラブルは初期段階に適切な対応を取ることが大事です