犬を飼ったことがある人には意外と身近な生き物、マダニ。実はマダニは犬だけでなく、人間にも寄生することがあります。マダニは様々な感染症を媒介する生物としても知られており、その中でも危険な感染症にSFTSという病気があります。SFTSは重症化し、死亡する恐れもある危険な病気です。今回は「マダニ」とマダニの媒介する「SFTS」にならないように基本情報と対処法をご紹介します。

目次

マダニ感染症SFTSとは?

夏に感染することが多いマダニの感染症「SFTS」。日本語名称は、重症熱性血小板減少症候群といいます。2007年ごろに中国で流行し、2011年に特定された新しいウイルスによって引き起こされる病気です。2013年に日本でも感染報告が発表されるようになりました。主にマダニにかまれることによってSFTSウイルスに感染し、発症します。西日本で特に多くみられる病気であり、注意が必要です。

感染経路はマダニからがほとんどですが、人から人への感染も報告されています。2013年以降の国内での感染者数は10月15日現在で104人、そのうち30人が死亡したと報告されています。

SFTSの初期症状

SFTSウイルスに感染すると6日から2週間の潜伏期間の後、発熱や食欲低下・吐き気・嘔吐・腹痛・下痢などの消化器症状が認められています。それ以外にも頭痛や筋肉痛、意識障害などや失語などの神経症状が見られます。治療は対症療法しかなく、有効な薬剤やワクチンはまだありません。

マダニの見分け方

それではいったいどのようなマダニがSFTSを保有しているのでしょうか?これまでに実施された調査によると日本では、フタトゲチマダニやタカサゴキララマダニなどの5種類がSFTSを媒介していることがわかっています。見分け方は簡単で、これらのマダニは屋内でよく見られるダニとは大きさが全く異なります

屋内でよく見られるダニの大きさは0.2~0.5mm程度で見えるか見えないかぐらいであるのに対し、マダニは通常時で2~3mmで血を吸うと1cmを超えるほどに膨れ上がり肉眼で十分に確認できます。

マダニはどこにいる?

これまでSFTSの感染者は山口、愛媛、宮崎、広島など西日本を中心に報告されています。しかし、それ以外の地域でもSFTSウイルスを保有したマダニが見つかっています。これらのマダニは北海道から沖縄県八重山地方にかけ広く分布しているため、まだ感染者が確認されていない地域でも十分注意が必要です。

マダニはシカやイノシシなど野生動物が住んでいる環境に多く生息しています。また、民家の裏庭や畑、あぜ道などにも生息しており、このような場所に近づくときには注意が必要です。

マダニ感染症SFTSの対策予防

まずはマダニにかまれない予防が第一です。野外では極力肌の露出を少なくしましょう。日本ではマダニ用の虫除け剤は今のところありません。しかし、ツツガムシという虫用の虫よけ剤がマダニに対しても一定の効果があるので、このような虫よけ剤使用するのもよいでしょう。

マダニにかまれたら?

ダニの多くは長い場合だと10日以上など長時間吸血することが知られています。マダニを無理に取ろうとすると口器が皮膚の中に残って化膿することがあるので皮膚科などの医療機関にかかってください。

まとめ

まずは、野外にでるときは肌の露出を控え、虫除け剤を使用すること。そして万が一かまれたときは慌てて抜かずに、速やかに皮膚科などの医療機関を受診しましょう。