2014年、エボラ出血熱がアフリカで大流行し、リベリアやギニアなどの西アフリカで非常事態宣言が出されました。さらにその年、国内では約70年ぶりに国内感染が確認されたデング熱の感染者が拡大しました。今回は、これらの「どのように広まるのか?」「なぜ感染症はなくならないのか?」という疑問にお答えします。

目次

感染症とは

世界的に見ると感染症は死因の約4分の1を占め、マラリア・結核・AIDS・腸管感染症などは発展途上国で深刻な問題を引き起こしています。感染症の原因は、細菌やウイルス、寄生虫、カビなどの病原体です。病原体はより高等な動植物である「宿主」に感染し、感染された宿主には様々な症状が現れます。エボラ出血熱やデング熱はともにウイルスが原因となる感染症です。感染症は感染症法によって危険度が高い順に1類から5類までに分類されており、エボラ出血熱は最も危険な1類、デング熱は4類に分類されています。

感染症の広まる仕組み

感染症は先ほど述べたように、ウイルスや細菌、寄生虫、カビなどの病原体がヒトに感染することで発症します。感染しても症状が出ない場合もあります。感染症はエボラ出血熱や天然痘のように人から人に伝染するタイプと、黄熱・狂犬病・デング熱などの蚊や動物を介して感染するタイプがあります。

エボラ出血熱

人から人に直接伝染する感染症です。感染した人の血液・排せつ物・使用した注射針などに触ると、ウイルスが傷口や鼻の穴、唇、耳などの粘膜から感染します。空気感染はしません。

エボラ出血熱についての詳細は「致死率80%!?エボラ出血熱ってどんな感染症?」をご参照ください。

デング熱

人から人には直接伝染せず、蚊を媒体として感染します。①ウイルスに感染した人の血を吸った蚊が感染②感染した蚊に刺された人が感染、という2つを繰り返し感染が広まります。「デング熱感染が拡大したのはなぜ?初期症状は?」で詳しく説明しています。

※人以外のサル目に感染することもあります。

なぜ感染症はなくならない?

感染症は私たちの文明が発展する以前から人の病気の大部分を占めてきました。医療が日々進歩しているのにも関わらず、なぜ感染症はなくならないのでしょうか。それは、われわれの医療が日々進歩するように病原体も厳しい環境に打ち勝つために進化しているからです。病原体を絶滅させることはほとんど不可能であると言えます。

医療の発展により、多くの感染症への対抗策が開発されてきました。しかしながら、世界的に見るとまだ感染症の脅威はいまだ大きいのが現実です。その要因は、十分な医療を受けられる人は限られていること、未知の病原体の出現や病原体の突然変異により新たな感染症が出現すること、国際的な人や物の移動の活発になり感染症が容易に国境を越えられるようになったことなどが考えられます。今後は全世界的な対応がより重要になってくるでしょう。

感染症に対抗する第一歩

一方で、私たちができることは感染経路の遮断です。デング熱でいうと、虫除け対策や蚊の繁殖を防ぐことで自分がかからないことが感染拡大を防ぐ第一歩となります。まずは、自分にできることから感染症対策を進めていくことが重要ではないでしょうか。