離乳食で子供に卵を与えたら、身体にぶつぶつが出てきた、かゆがって機嫌が悪くなった。このような症状が起こったら、食物アレルギーを疑いましょう。乳児期の食物アレルギーは、鶏卵が原因となって多く起こります。もし卵アレルギーを発症しても慌てないために、食物アレルギーについての知識を持ちましょう。

アレルギーの症状は個人差が非常に大きいので、実際のお子さんの症状や治療に関しては、必ずかかりつけ医の指導に従うようにしてくださいね。

目次

卵アレルギーの症状は?

卵アレルギーを始めとして、食物アレルギーの症状は全身に幅広く起こります。アレルギーが生じる部位によって以下のように分類されます。

皮膚症状

  • じんましん
  • 湿疹(アトピー性皮膚炎と診断されるお子さんの中には、大元に食物アレルギーが隠れていることもあります)

呼吸器症状

  • 喘鳴(ぜんめい)
  • 呼吸困難

消化器症状

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 腹痛血便
  • 全身症状アナフィラキシーショック(短時間のうちに全身に重篤なアレルギー反応が起こること)

などが主な症状とされています。

アレルギー症状を起こす食品

鶏卵はアレルゲンになりやすい食品ですが、成長と共に耐性がつきやすいと言われています。卵白は生のものも加熱したものもアレルギーを起こす力が強く、反対に加熱した卵黄は弱くなることが分かってきました。

以下、卵を使った食品をアレルギー反応が強い順にリストアップします(眞鍋, 2013, p.53)。

  • 生卵、生卵に近いもの:生卵、マヨネーズ、アイスクリーム、メレンゲなど
  • 半熟卵:オムレツ、たこ焼き、お好み焼き、どんぶり物など
  • 卵を加熱したもの:卵焼き、薄焼き卵、茶碗蒸し、かきたま汁など
  • 卵の入っている料理:ハンバーグ、天ぷらの衣、とんかつなど
  • 卵を使ったお菓子:カステラ、クッキーなど
  • 卵をつなぎに使った練り製品:かまぼこ、ちくわ、ウィンナー、麺など

※鶏肉は、基本的には避ける必要はありません。

鶏卵アレルギーのお子さんの場合、ウズラの卵でもアレルギー反応が出ることがあるので注意が必要です。なお、イクラなどの魚卵は鶏卵アレルギーとは関係がありません。

卵アレルギーによる症状を防ぐには?

オムライス

食物アレルギーが疑われる場合は、小児科アレルギー科で診察を受けましょう。卵アレルギーの診断がおりれば、焼き菓子を食べて症状が出たのか、それとも生に近い状態の卵を食べて症状が出たのかなどを確認します。

アレルゲンの強さによって、完全除去が必要か、それともある程度は食べられるかを正しく判断してもらいます。食物の除去を行うときは、栄養バランスが崩れないように代替食の利用についても指導を受けます。

離乳食の進め方

離乳食の開始に前後して初めて卵アレルギーを診断されるお子さんも稀ではなく、アレルギー症状を予防するために離乳食にも少し工夫が必要になります。卵黄のアレルゲン性は強くはなく、加熱によってアレルゲン性が低下するので、固く茹でた卵黄から食べ始めるのが一般的です。卵が食べられないときは、肉、魚、乳製品、大豆製品などの他のたんぱく質で栄養を補います。

食品表示を確認するポイント

スーパーなどで食物を買うときは、必ず食品表示を確かめましょう。

卵を使っているけれども、「卵」と表示しなくても良い食品には特に気を付けます。マヨネーズ、かに玉、オムレツ、目玉焼き、親子丼、オムライスなどがあります。加工食品のアレルギー表示

食品表示については、「牛乳アレルギーの症状・治療は?注意しなければいけないことって?」でも述べています。

集団生活での対処法は?

食物アレルギーを持っている子供にとって、保育園、幼稚園、学校など集団生活での給食時の対応は、特に切実な問題となります。給食を安全に楽しく食べるために、子供のアレルギーについて正確な情報を園や学校に伝え、アレルギーを発症したときの緊急対応についても予め相談しておきましょう。

給食

給食で除去が必要な食品がある場合は、アレルギーが誘発される状況や対応方法を、医師の診断書によって提出します。食物アレルギーの有無、アナフィラキシーの有無、除去が必要な食品とその診断根拠、緊急時に使う薬などをかかりつけ医に書いてもらいましょう。

学校給食での対応が難しい場合は、弁当を持参することも考えます。除去食を行う場合は、口だけでなく皮膚への接触を防ぐために、給食後の机やその周りに散乱した食物を取り除く対応も必要となります。

食物を扱う活動

卵を使う料理などの活動では、直接食材に触らないように配慮が必要になります。食べなくても、卵が皮膚に接触することによってじんましんなどが起こることがあるからです。

宿泊を伴う校外活動

宿泊施設と、除去食、対応食について事前に話し合います。緊急時に使う薬の使用方法や、救急病院の場所なども確認をしておきます。

インフルエンザワクチンの接種について

インフルエンザワクチンには、孵化鶏卵という卵が使われています。これは一般的に私たちが食べる卵とは違い、有精卵を11日程度育成したもので、この孵化鶏卵の中でウイルスを培養するのです。

基本的には卵アレルギーのお子さんでもインフルエンザワクチンを接種して問題ありませんが、アナフィラキシーを起こしたことがある場合や、そのリスクが懸念されるお子さんは避けてください。

まとめ

卵アレルギーでは、卵黄よりも卵白の方がアレルゲン性が強いことが知られており、身体にじんましん、目や口唇の腫れ、嘔吐、重症の場合にはアナフィラキシーを引き起こします。卵アレルギーを含む食物アレルギーにおいては、症状の程度によっては、集団生活ではアレルゲンを食べない、触らないように特別な配慮が必要となることがあります。

乳幼児の食物アレルギーは成長と共に治ることが多いので、焦らずにじっくり対応していきましょう。精神的負担もあるかと思いますが、安全で楽しい食生活が送れるように家族で乗り切れると良いですね。