動脈は心臓から送り出される血液を全身に運び、各細胞に酸素や栄養素を運ぶ重要な役割を持っています。通常は弾力がありしなやかですが、動脈の血管が硬くなって弾力性が失われ、厚く硬くなってしまった状態を動脈硬化といいます。動脈硬化になると、血管が詰まりやすくなり、心臓に負担がかかるため心筋梗塞や脳梗塞などを引き起こします。

動脈硬化の原因としては、喫煙・高コレステロール血症・高血圧・肥満・運動不足などが挙げられ、危険因子が重なることによって発症しやすくなります。このことからもわかるように、食事に気を付けることで動脈硬化となるリスクを大幅に減らすことができます。それでは、動脈効果を予防するための、食事のポイントについて見ていきましょう。

目次

コレステロールについて

動脈硬化を引き起こす原因とされているのが悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールです。LDLコレステロールは肝臓でつくられたコレステロールを全身に運ぶ作用があるのですが、増えすぎると血管に沈着し動脈硬化の原因となります。このLDLコレステロールの反対の作用で、血中のコレステロールを回収してくれるのがHDLコレステロール(善玉コレステロール)です。

動脈硬化を予防するには、2つのコレステロールを正常に保つ必要があり、そのためには禁煙・運動・食生活を中心とした規則正しい生活習慣を身につけることが重要です。

悪玉コレステロールを減らす食事のポイント

リンゴ-写真

食物繊維をしっかりと摂取する

食物繊維の1日の摂取目標量は成人男性で20g以上女性では18g以上となっています(厚生労働省より)。しかし、実際の食物繊維の摂取量は一人一日あたり14.8gと大幅に不足しています(厚生労働省より)。

食物繊維には2種類あり、水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維に分けられます。このうちコレステロールの吸収を穏やかにする作用があるのは水溶性食物繊維であり、果物・海藻類・芋類に特に多く含まれています。

もちろん健康の維持や便通改善にとって不溶性食物繊維も必要なものなので制限する必要は全くありませんが、不溶性食物繊維が多く含まれるごぼうや大豆などを積極的に摂っても、コレステロールの吸収を抑えるという点では効率的とはいえません。水溶性食物繊維というものがあることを理解し、正しく使い分けられるように心がけることが、LDLコレステロールを減らすためのポイントとなります。

青魚や大豆製品を食べよう

メインとなるおかずが肉料理に偏っている人は要注意です。肉類には血中のLDLコレステロールを増やす原因となる飽和脂肪酸が多く含まれています。

一方、サバやサンマなどの青魚には血管が詰まりやすくなるのを防ぎ、血液をサラサラにする効果のある不飽和脂肪酸が含まれており、魚を週3回以上食べる人は心疾患の発症が減ることが報告されています。

また、大豆に含まれる不飽和脂肪酸のリノール酸にも血中のコレステロールを減少させる効果があります。油の量を控えるだけではなく、油の種類にも注意をし、バランス良く食品を選ぶことが大切です。

できることから少しずつ工夫をしよう

普段何気なくしている食事でも、ほんの少し意識を向けるだけで、コレステロールの増加を防ぐことができます。

調味料を意識する

マヨネーズやドレッシングにはたくさんの油が使われています。コレステロールを減らすために野菜をたくさん摂ろうとしても、調味料で油を摂取してしまうのでは意味がありません。最近は健康志向を背景として、ノンオイルやカロリーカットの工夫がされた調味料が多く市販されています。調味料を購入するときには、ラベルを比較し、カロリーや脂質の量が少ないものを選んでみましょう。

食事はゆっくりとよく噛んで

中性脂肪の高い人はコレステロールも高くなるという相関関係があります。つまり体脂肪の多い、肥満の人はコレステロールが高い傾向にあるということになり、肥満を予防することはコレステロールの増加を抑制することにも繋がります。食事は20分以上かけることで満腹中枢を刺激し、食べ過ぎを防ぐことができるといわれています。食事に時間がとれそうな時は、よく噛んでゆっくりと食べることを心がけましょう。

外食やコンビニを賢く利用しよう

単品料理は栄養バランスが偏ってしまうためオススメできません。外食をする時はできるだけ定食のものを選んだり、サイドメニューでサラダや和え物などを追加してみましょう。コンビニでお弁当を買うことが多い人も、ラーメンや丼物ではなく、品数の多い幕内弁当などを選ぶことがポイントです。

まとめ

普段の食事の中でも、動脈硬化を予防できるポイントはたくさんあります。まずは栄養バランスや食事の量に気を付け、肥満を予防すること。そしてコレステロールを減らすために、効果的な食材を選んでいくことが動脈硬化を予防する食生活へと繋がります。適度な運動や禁煙など、他の生活習慣も見直しながら、健康的な体づくりを行っていきましょう。

そしてもう一つ、動脈硬化の予防には定期的な健康診断を受けることも大切です。最近健診を受けた記憶がないという方は、人間ドックを予約してみてはいかがでしょうか(人間ドックのここカラダに遷移します)。