「動脈硬化に気をつけてください」なんて言われたことはありませんか?普段何かと耳にする動脈硬化というものは、程度は違えど、全ての人に起こる病気の一つです。
ですが、結局どういう病気で、どういうことに気をつけたらいいの?という人も多いはず。ここでは、動脈硬化のメカニズムや起こりうる疾患・症状をご紹介します。

目次

動脈硬化とはこういう病気です

動脈は血液の通り道で、動脈を通る血液を動脈血と言います。動脈血は、全身の臓器がしっかりと機能するために必要な酸素や栄養を運んでいます。

動脈硬化とは、大事な役割を持つ動脈血の通る道=動脈の血管が、加齢や様々な危険因子により、硬く厚くなって弾力が失われた状態です。そして、血管が狭くなり、血液の流れが悪くなると、全身の機能に支障をきたし、様々な弊害が起こります。

動脈硬化はなぜ危険?

1.動脈硬化の進行のメカニズム

動脈硬化の進行のメカニズム-図解
※上図はクリックまたはタップで拡大してご覧ください。

動脈硬化はどうして起こるのでしょう。動脈硬化を進行させてしまう原因は多種多様です。その中でも、特に進行させてしまうものが、LDLコレステロールというものです。誰もが一度は聞いたことがある悪玉コレステロールがこれにあたります。

悪玉コレステロールには、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割があります。コレステロールも体の細胞やホルモンなどの基となる大事な材料です。通常であれば、この悪玉コレステロールが細胞で必要としている分のコレステロールを運び、余ったものをHDLコレステロール、いわゆる善玉コレステロールが回収してくれます。

しかし、悪玉コレステロールが増えすぎてしまうと、動脈の血管の壁におかゆのような脂肪の塊(プラーク)を作って溜まっていきます。他にも、血管の壁が高血圧や炎症などで傷ついたりすると、修復するために色々な細胞が集まって覆っていくので、プラークはどんどん大きくなっていきます。そして、何かをきっかけにしてプラークが破けてしまうことで血栓ができます。血管内にできた血栓が血流を妨げてしまうことで、色々な疾患に結びついていくのです。

2.動脈硬化が引き起こす疾患と症状

全身には沢山の血管が存在しており、どこで動脈硬化が進行するかで、疾患やその症状も変わってきます。

心筋梗塞狭心症

心臓を動かすための筋肉(心筋)に栄養を送る血管を冠動脈と言いますが、その冠動脈に血栓が詰まり、閉塞し心筋が壊死すると心筋梗塞、狭窄の状態で狭心症となります。

脳梗塞

脳梗塞とは脳の血管で動脈硬化が起き、血栓ができたことで血管が詰まる病気です。血流が途絶え脳細胞が壊死することで、脳に障害が起きます。

閉塞性動脈硬化症

下肢の動脈に硬化が起きると、足先まで血流が行き届かないことで、足の痺れ、冷感、歩行時の痛みなどの症状が出現します。血流が途絶えているため、足の皮膚の色が血行不良色(主に紫色、ただし血管のつまり具合で赤みを増したような色や青白くなったりすることも)に変化したり、傷が治りにくく感染しやすくなったりもします。
重症な場合だと、下肢の切断に至ることもあります。

大動脈瘤

大動脈は全身に血液を送る大きな血管です。大動脈瘤は動脈硬化などで大動脈の壁が弱くなったことで、高い血圧に耐えられなくなり、一部がこぶ状に膨れ上がります。大部分はお腹や胸の大動脈に多く現れます。普段大きな症状はありませんが、こぶが大きくなっていくと破裂の危険性がでてきます。
破裂すると、血管が破け、激しい痛みとともに循環を維持できなくなります。発症すると命の危険が伴う病気です。

ここに挙げた例は一例であり、他にも起こる血管の場所で様々な疾患に繋がります。動脈硬化は、血管の脆さや血管が詰まることで生命の危機となる重大な疾患を引き起こしてしまいます。

まとめ

動脈硬化は静かに進行するのが特徴です。自覚症状がないので放っておいたら、発症した時には遅かった…ということが起こりえます。そうならないためにも、普段から動脈硬化を予防するための生活習慣が非常に大事になります