ブロチゾラムは、短時間型の睡眠薬です。1988年に発売されて以降、入眠障害や中途覚醒に効果が期待できるので、非常に良く使われている薬です。また、翌朝に持ち越すことも少ないので、バランスのとれた睡眠薬です。

しかし副作用がないわけではなく、注意しなければならない点もあります。ここでは、ブロチゾラムの効果や副作用について紹介したいと思います。

目次

ブロチゾラムの作用機序

現在よく使われている睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系睡眠薬と非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の2つに分けられます。この中で、ブロチゾラムはベンゾジアゼピン系睡眠薬に分類されます。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、GABAと呼ばれる脳の中の情報の受け渡しに関与する神経伝達物資の働きを強める作用があります。GABAは脳の神経細胞の活動を抑える作用があり、この働きにより、

  • 抗不安作用(不安を和らげる作用)
  • 筋弛緩作用(筋肉の緊張を和らげる作用)
  • 催眠作用(眠くする作用)
  • 抗けいれん作用(痙攣発作を抑える作用)

などの効果を発揮します。それぞれの作用の強さは薬によって異なりますが、ブロチゾラムは催眠作用を強く持つ薬なので、睡眠薬として使われます。

ブロチゾラムの作用時間は?

ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は作用時間の違いにより4つに分類されます。

  • 超短時間型・・・半減期が2~4時間
  • 短時間型・・・・半減期が6~10時間
  • 中時間型・・・・半減期が20~30時間
  • 長時間型・・・・半減期が50~100時間

半減期とは、薬の血中濃度がピーク時から半分になるまでの時間のことで、作用時間の参考となる数値です。もちろん人によって効果の持続する時間は異なります。

ブロチゾラムは服用後約1.5時間で血中濃度が最大になり、半減期は約7時間となりますので、この中では「短時間型」に分類されています。寝つきの悪いときや一時的な不眠に適しています。

ブロチゾラムの特徴

ブロチゾラムは比較的即効性があるので、寝つきが悪い方にも用いられます。また、入眠時間の短縮と同時に中途覚醒時間を減少させる効果もあり、夜中に目が覚めてしまう方にも効果的です。

副作用は?注意することは?

ブロチゾラムは比較的安全性の高い薬で、正しく服用する限り、重い副作用はまずありません。ただし、気をつけなければならない点がいくつかあります。

ふらつき

ブロチゾラムは筋弛緩作用があるため、ふらつきには注意しましょう。特に高齢者では、夜中にトイレで目が覚めてしまうことも多くあります。そのような時にふらついて転倒、骨折してしまうこともあるので注意が必要です。

眠気

ブロチゾラムを服用すると寝つきが良くなる反面、少しだけ睡眠の質が落ちてしまうというデメリットがあります。浅い睡眠が増えて睡眠のメリハリが悪くなります。

また、まれに夜中だけでなく朝や日中まで眠気が残ってしまうことがあります。これを「持ち越し効果」と言います。眠気だけでなく、だるさや倦怠感、集中力低下などもみられます。

この場合の対処法は、睡眠時間を増やすことです。できれば8時間は睡眠をとるように心がけましょう。

依存性

睡眠薬-写真
長期に多めの薬を飲み続け、身体が薬に慣れた状態になってしまうと、薬を止めていくときに強い不安感や不眠、ふるえ、痙攣、混乱、幻覚などの離脱症状が現れることがあります。

ブロチゾラムは依存性の少ない薬ではありますが、依存してしまう可能性はゼロではありません。服用を止める際は、徐々に減量していく必要がありますので、自己判断で中止せずに必ず医師の指示に従いましょう。

アルコール摂取

アルコールは薬の作用を強め、精神機能、知覚・運動機能の低下をおこすおそれがありますので、ブロチゾラム服用時は飲酒を極力控えるよう注意してください。

まとめ

ブロチゾラムは、睡眠薬の中でも安全性の高い薬ですが、気をつけなければならない点もあります。睡眠薬は不眠の原因が解消されるまでの一時的な薬と考え、必ず医師の指示を守り、適切な用法・用量を心がけましょう。