人生を過ごす時間の中でも睡眠の時間は大きな割合を占めています。

健やかに生活を送るためにも睡眠はとても大切です。充実した睡眠をとれないと様々な日常生活の場面で影響が出てきます。また、逆のパターンでいつも眠いということで生活に影響が出る方もいます。今回は、人にとって大切な睡眠について、睡眠障害とはどういうものなのか説明していきます。

目次

メンタルヘルスに役立つ記事一覧

睡眠障害とは

睡眠障害とは、睡眠に何らかの問題がある状態をいいます。睡眠障害といえば、眠れないことというイメージをもつ人も多いと思いますが、実は眠れないことだけが睡眠障害ではありません。昼間眠くて仕方ないという状態や、睡眠のリズムが乱れて戻せない状態、睡眠中に起こる病的な行動など、多くの病気が含まれます。

睡眠障害の種類

睡眠障害にはどのような種類があるのでしょうか。主な睡眠障害は不眠症過眠症です。こちらでは、概日リズム睡眠障害睡眠時随伴症も含めた4つの睡眠障害について説明します。

1.不眠症

不眠症とは、眠りたくても眠れないという状態です。症状は以下の3つのうち1つ以上当てはまり、それが週3回、三か月以上続いた場合、不眠症とされます。

  • なかなか寝付けず、寝るまでに1時間以上かかる(入眠障害
  • 一晩に2回以上目が覚めてしまい、その後なかなか寝付けない(中途覚醒
  • 朝の目覚めが普段より2時間以上早く目覚めた後眠れない(早朝覚醒

これらの症状は人によって同時に複数現れることもあります。原因は様々ですが、就寝環境やストレス、うつ病などの心の病気、また、呼吸器や心臓、胃腸などの身体の病気や、痛みやかゆみ、悪心などの身体の不調なども不眠の原因です。

2.過眠症

横になる女性

過眠症とは、夜十分な睡眠をとっているのにも関わらず、日中に過剰な眠気があり、起きているのが困難になる状態です。過眠症のタイプとして、ナルコレプシー、うつ病に伴う過眠症、睡眠時無呼吸症候群が原因のもの、特発性過眠症があります。

ナルコレプシー

過眠症の中でもよく知られているのがナルコレプシーです。日中、抗えないほどの眠気に襲われ、入眠時に幻覚を見たり、いわゆる金縛りにあったりもします。発症は10歳代に多く、ピークを示すのは14~16歳で、学生で勤勉の真っただ中の時期のため、気づかない人も多いようです。ナルコレプシーの症状と原因に関しては「寝ても寝ても眠い…ナルコレプシーの症状と原因は」を、治療法に関しては「ナルコレプシーって良くなるの?治療法は?」の記事をご覧ください。

うつ病に伴う過眠症

うつ病では、睡眠や覚醒に問題を生じる場合が多く、特にうつ病の中でも非定型うつ病に過眠が多くみられます。この場合はうつ病に対しての治療がメインとなります。うつ病の症状や原因については「ストレス、病気…様々なうつ病の原因と症状」を、治療法に関しては「休養と薬物治療でしっかり治そう。うつ病の治療方法とは」の記事をご覧ください。

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠中の特に深い眠りの時に気道が閉塞することが原因です。気道が閉塞し呼吸が停止すること(無呼吸)で、夜間十分な質の睡眠がとれず日中に眠気が残ってしまいます。睡眠時無呼吸症候群(SAS)については、「いびきは聞こえるけど息をしてない?睡眠時無呼吸症候群とは?」、治療法に関しては「いびきがサイン!睡眠時無呼吸症候群の治療法って?」の記事をご覧ください。

特発性過眠症

原因が特定できない過眠症のことをいいます。これまで挙げた、ナルコレプシー、うつ病に伴う過眠症、睡眠時無呼吸症候群や、薬物による眠気などに該当しない時に診断がつけられます。

3.概日リズム睡眠障害

眠そうな女性

ほとんどの人が日中活動し、夜就寝するという1日のリズムがあります。睡眠は体内時計と関連しており、概日リズム睡眠障害は、昼夜のサイクルと体内時計のリズムが合わないため、不眠や過眠が起きてしまうことをいいます。

概日リズム睡眠障害は4つのタイプに分けることができます。

  • 睡眠相前進型:夕方など早い時間帯に眠くなり、夜起きていることができない。
  • 睡眠相後退型:極端に夜型で明け方にならないと眠くならず、朝起きられない。
  • 非24時間型:毎日の寝る時間、起きる時間のリズムが少しずつずれていく。
  • 不規則型:不規則な睡眠で、1日の中で何度も睡眠をとる。

治療法としては、朝に強めの光を浴びて体内時計をリセットすることが最も有効です。加えて薬物療法が選択される場合もあります。

4.睡眠時随伴症

睡眠中に起こる異常行動を睡眠時随伴症(パラソムニア)といいます。睡眠中に無意識のまま起き上がって徘徊するなどの夢中遊行症(夢遊病とも言います)、睡眠2~3時間後に突然大きな声を出し起き上がったり泣きわめき歩き走り回ったりする睡眠時驚愕症などがあります。夢中遊行症や睡眠時驚愕症は、脳の発達が未熟なために起こるとされており、成長とともに消失するので積極的な治療はありません。

夢中遊行症と睡眠時驚愕症について詳しく知りたい方は「寝ていたのに突然起き出す、夢遊病と夜驚症の症状とは?」の記事を、治療法については「我が子が睡眠障害かも…夢遊病・夜驚症の対処法」を参考にしてみてください。

まとめ

睡眠障害といえば眠れないことだけだと思っていた人も多いはずです。生活に支障が出るほどの睡眠障害に悩む方は医師に相談しましょう。

また、実は睡眠障害に当てはまっているけれど、その状況にあることに気づかずに生活しているといったこともあるかもしれません。特に、夜勤などの仕事でどうしても睡眠が十分にとれない方もいると思います。不規則な生活になりがちな方でも良質な睡眠をとることはとても大切です。