ある日突然、膝に痛みを感じたり、膝の動きが変だと感じたことはありませんか?おかしいと思ったその症状は、もしかしたら半月板損傷かもしれません。半月板損傷とは、膝の関節内にある半月板に亀裂が入った状態のことをいいます。この記事では、半月板損傷についてくわしく説明していきます。

目次

半月板って何?

膝のメカニズム-図解
半月板は膝(ひざ)の関節内にある組織です。膝関節(しつかんせつ)は3つの骨からできていて、脛骨(けいこつ:すねの骨)の上に大腿骨(だいたいこつ:太ももの骨)が乗り、さらに大腿骨の前面には膝蓋骨(しつがいこつ:ひざのお皿)があります。

半月板は大腿骨と脛骨の間にあり、内側にあるものを内側半月板、外側にあるものを外側半月板といいます。半月板は三日月のような形で、膝関節を安定させる役割や、膝関節の衝撃をやわらげるクッションの役割を果たしています。また、半月板は辺縁部30%を除いては血行に乏しく、一度損傷されると修復されにくい組織です。

半月板損傷の症状

半月板損傷の症状は主に膝の痛みです。膝の痛みが突然おこり、関節を動かすときや体重をかけたときに強く痛みを感じます。特に、正座やしゃがみ込む動作のときに痛みを感じます。

半月板が損傷されると膝の曲げ伸ばしの時に引っかかり感(キャッチング)が出現し、膝痛や関節水腫(膝に水がたまること)の原因となります。また、半月板の損傷が大きく、引っかかりが強い場合、膝の曲げ伸ばしができなくなる(ロッキング)ことがあります。ロッキングの状態になると、歩けなくなるほどの痛みが生じます。

半月板損傷をおこす原因

半月板損傷をおこす原因として、スポーツなどのケガ(外傷性)から生じる場合と、加齢により傷つきやすくなっている半月板に繰り返し外力が加わって損傷する場合(変性断裂)とがあります。

外傷性では、膝に強い衝撃が加わったときや、膝をねじったときに半月板損傷が起こりやすく、前十字靭帯などの関節を支えている靭帯損傷に合併することも多くあります。

また、半月板は成分の70%が水分で残りはコラーゲンなどで構成されています。加齢とともに半月板の水分量は減少し、役割であるクッション性が低下していきます。40歳以上では、ちょっとした外傷でも半月板損傷がおこりやすくなります。

半月板損傷をおこしやすい人とは?

サッカー写真
サッカー、スキー、ラグビー、柔道などスポーツをしているときに発症することが多いです。ストップターンなどの動きが多いスポーツ、また、ジャンプの着地の際などにじん帯の断裂に伴って損傷することもあります。

円板上半月板について

上記の理由のほか、生まれつきの半月板の形状により、半月板が損傷されやすい人がいます。通常、半月板の形は中心に穴の開いたドーナツ型をしています。しかしながら、この半月板の中心の穴がなく「おせんべい」のような形をした半月板を持っている人がいます(数%から十数%の人がこの円板状半月板であるといわれています)。円板状半月板自体は病気ではなく、その人の体の特徴と考えられ、生涯を終えるまで無症状の人も多くいます。しかし、小児に起こる半月板障害の場合、円板状半月板であることが多く、症状が続く場合は、二次的に関節軟骨の損傷を起こすため、手術が必要となることがあります。

まとめ

スポーツや加齢が原因でおこる半月板損傷。症状がひどくなると歩けなくなることも考えられます。膝の痛みや違和感があれば、できるだけ早く整形外科を受診しましょう。半月板損傷の際に行われる検査や、治療法については「半月板損傷の手術からリハビリまで。術後の腫れ、痛みの対処は?」の中で詳しく説明しています。どうぞご参照ください。