膝が痛いと日常生活にも支障をきたしますし、長引くと不安になってきますね。
膝が痛む原因には、運動のしすぎ、加齢、病気など様々なものが考えられます。

今回の記事では膝の痛みの原因について、よく見られるものを解説していきます。
正確な診断は病院に行かなくてはいけませんが、発症しやすい年齢(下にいくにつれて高齢の方が発症しやすい病気になっていきます)なども載せているので、悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

目次

スポーツなどによる怪我

スポーツ外傷と言って、運動のしすぎによる外傷が考えられます。
全年齢に起こりうるものですが、特に学童期から青年期にかけては、部活動などで膝を痛めてしまうことがあります。
具体的には、下記のようなものが多く見られます。

オスグッド病

小学生から高校生までの成長期の子供が、跳躍やボールをけるスポーツをやり過ぎると、発生します。お皿の下の骨(脛骨結節)が徐々に膨らみ痛みが出ます。休んでいると痛みが無くなりますが、スポーツを始めると痛みが再発します。脛骨結節には膝を伸ばす筋肉が付着しており、ボールをけるなどの動作でこの部位が繰り返し引っ張られることで痛みが出ると考えられています。

成長期に起こる一時的な病気ですので、成長が終わると共に多くは治癒します。

腸脛靭帯炎(ランナー膝)

ランナー膝とは、ランニングによっておきる膝関節周辺のスポーツ障害の総称です。
代表的なものに、腸脛靱帯炎(ちょうけいじんたいえん)があります。腸脛靭帯は膝の外側にある靭帯です。ランニングなどで膝の屈伸運動を繰り返すと、腸脛靱帯が大腿骨外側の凸の部分(大腿骨外顆)と擦れて炎症を起こし、痛みがでます。特にマラソンなどの長距離ランナーがなりやすいと言われています。

初めのころはランニング後に痛みが発生しますが、休むと消失します。しかし、ランニングを続けていると次第に疼痛は増強して、簡単には治らなくなってきます。痛みが強いときには消炎鎮痛剤などを短期的に用いますが、治療の基本は局所の安静です。つまり、痛みがなくなるまではランニングを休止します。心肺機能を維持したい場合には、代わりにスイミングや自転車でトレーニングを行います。次に、股関節外側を主としたストレッチや筋力トレーニングを行います。シューズやランニングフォームのチェックを行うのも効果があります。

前十字靭帯損傷/半月板損傷

体重がかかった状態で膝をひねることで、膝の組織である靭帯や半月板が傷つくことがあります。特にサッカーやラグビーなどのコンタクトスポーツ、バレーボールやバスケットボールなどのジャンプを行うスポーツで損傷されることが多いです。けがをした際に、膝からバチッという音や衝撃を感じ、痛みの他に、膝が腫れる、膝が動かない、関節が不安定になることもあります。

レントゲンでは靭帯や半月板は見えないため、診断にはMRI検査が有用です。怪我をした直後はRICE処置が有効です。RICE処置については下記の記事を参考にしてみてください。その後の半月板損傷の治療は断裂の大きさや症状の程度によって変わります。引っかかり感や痛みを伴う場合、膝の動きが悪い場合には手術を行います。前十字靭帯損傷もその損傷の程度によって治療方針が異なります。例えば、階段を降りるときやジャンプの着地時にグラグラするような不安定感がある場合は手術を行います。

関節リウマチ

関節内の滑膜という組織が異常増殖し関節内に炎症が起こる病気です。
以前は30歳代から50歳代の、特に女性に多く発症すると言われていましたが、最近では高齢で発症するリウマチも増えてきており、60歳代や70歳代で発症する人もいます。日本では約70~80万人の患者がいると推定されており、「関節が痛む」と訴える患者の1/8を占めています。

関節リウマチの原因は、関節内で自己免疫に異常が起こり、自らの関節を破壊しているのではないかと考えられています。遺伝・性別・性ホルモン・喫煙・歯周病などと関連があると報告されていますが、リウマチの原因は未だ解明されていません。

朝のこわばり、関節の腫れと痛み、発熱などが見られた場合には整形外科か、リウマチ専門医のいる病院にかかると良いでしょう。リウマチを診断するには腫れている関節の数、採血結果、症状が続いている期間、などをもとに判断してゆきます。

関節リウマチについて詳しくは下記の記事をご覧ください。

変形性膝関節症

50歳~60くらいから、変形性膝関節症が原因で膝に痛みが起こっている場合が多くみられます。
関節の軟骨が加齢や怪我によってすり減ることで、膝の痛み、膝の変形、膝の腫脹などの症状が出現します。

症状は長い時間をかけて進行していきます。
最初は膝の違和感や立ち上がったりする際の痛みだけですが、膝の痛みがひかなくなっていき、次第に曲げ伸ばしがしにくい、歩きにくいといった状態になっていきます。
変形性膝関節症の方は膝が外側に曲がってOになることも特徴です。

特に、階段の下りが痛む、正座ができない、長時間座っていた後の立ち上がりで痛みがある、膝がまっすぐ伸びないなどの症状がある場合は、この病気を疑います。

診断はレントゲンで行います。初期の変形性関節症は軟骨の状態を評価するためにMRIを用いることもあります。治療の基本は体重減少と筋力増加です。膝の痛みが強い場合には消炎鎮痛剤やヒアルロン酸の関節内注射などの治療を行います。さらに重症の場合、つまり関節軟骨が消失し、膝関節の変形が認められる場合には人工膝関節置換術などの手術を検討します。

詳しくは下記の記事をご覧ください。

まとめ

膝が痛む原因にはさまざまなものがあります。今回は頻度が高いとされているものを紹介しましたが、ここでは挙げなかった病気もたくさん存在します。気になる痛みがある場合には整形外科を受診し、しっかりと検査をしてもらいましょう