「暗い部屋なのにピカッと光が走ったように見える」「目を閉じているのに光が見える」という症状を経験したことがありませんか?この症状のことを医学用語では「光視症」といいます。光が走ったように見える光視症の原因や症状、検査について詳しくみていきましょう。

目次

光視症の症状と仕組み

光がないのに光が走ったように見える「光視症」ですが、人によって見え方や症状の言い表し方は様々です。

  • ピカピカ光が見える
  • 目がチカチカする
  • 顔を動かしたり目を動かしたりしたときに、視界の隅に一瞬だけ見える

など

本来ならば、眼球内の硝子体はゼリー状で網膜とピッタリとくっついています。しかしこの硝子体は加齢によって液化し、網膜から少しずつ剥がれていきます。これを後部硝子体剥離といいます。この後部硝子体剥離の過程で硝子体が網膜を引っ張ると、その刺激を光として感知し、光が走ったように見えるのです。

光視症の原因となる病気

後部硝子体剥離

光視症の原因となる病気としては、前述の後部硝子体剥離がよく見られますが、後部硝子体剥離は加齢が原因で起こるため防ぎようがありません。硝子体がゼリー状から液状へと変化していくこの老化現象によって、硝子体が網膜から剥がれていくのです。

硝子体と網膜が剥がれて離れていくと聞くと不安になるかもしれませんが、そのこと自体は病的な変化ではないので特に問題はありません。完全に硝子体と網膜が離れてしまうと、症状も次第に気にならなくなり治まります。

後部硝子体剥離という病気自体は老化現象なので起こっても問題はありません。しかし、この過程で網膜が引っ張られたときに出血をおこしたり、網膜に孔が開いてしまったりして、そこから網膜剥離へと移行するケースがあるため注意が必要です。

閃輝性暗点(せんきせいあんてん)

もう一つ、光視症の原因としてしばしば見られるものに閃輝性暗点があります。閃輝性暗点はキラキラした光のようなものやギザギザした光が見え、時には視野の一部が欠けて見えることもあります。

症状は数十分ほどで治まりますが、その後に頭痛がすることもあり、脳の一時的な血流障害でおこる片頭痛の前兆現象ともいわれています。閃輝性暗点は片目の視野だけの場合もあれば、両目の視野におこる場合もあり、どちらの目か特定できないこともよくあります。

日中に両目に症状があらわれ、その後に頭痛があるようであれば、光視症よりもこの閃輝性暗点の可能性の方が高いといえるでしょう。

光視症になるとどんな検査をするの?

ぼやけるネオン-写真
光視症の症状があらわれたときは、後部硝子体剥離によるものなのか、閃輝性暗点など片頭痛に伴うものなのかを見極める必要があります。

眼科ではまず、問診の他に、視力検査眼圧検査を行い異常がないかどうか調べます。また角膜や水晶体といった前眼部にも異常がないか、細隙灯(さいげきとう)という拡大鏡で眼の様子を調べていきます。

そして光視症で一番重要な検査が眼底検査です。後部硝子体剥離の場合は、網膜に孔が開いていないかを調べておく必要があります。眼底検査は、点眼薬で瞳孔を開き網膜の隅々まで調べます。開いた瞳孔が元の大きさに戻るには数時間かかりますので、検査後は車の運転等は控えるようにしましょう。

まとめ

光視症は痛みなどがなく、症状としては光が見えるだけなので放置しがちです。しかし網膜剥離などの病気の前兆としてもあらわれる場合があるので、実は注意が必要な症状といえます。

光視症についての正しい知識を持つことで、重大な病気のサインをいち早くキャッチすることができます。この目のサインを見逃さないようにしていきたいですね。