健康診断の項目の一つに「眼底検査」がありますが、眼底検査は眼の検査の中でもとても重要度の高い検査です。この眼底検査とはどのような検査なのか、検査でどのような病気を調べているのか、眼底検査について詳しくみていきましょう。

目次

眼底ってどこ?

眼底とは眼球の内部・眼球の後ろ側の部分をいいます。眼球の内部を埋めつくしている硝子体や、カメラでいうフィルムの役割をしている網膜、眼球や網膜に酸素や栄養を運んでいる脈絡膜、脳とつながっている視神経の出口部分である視神経乳頭などを総称して眼底と呼んでいます。

眼底は人間の体の中で唯一、血管の状態を肉眼で確認することができる場所です。眼底の血管を確認し異常が見られた場合は、眼底以外の血管にも異常が生じている可能性も考えられるのです。

眼底検査とは?

眼底検査には、眼底鏡と呼ばれるライトとレンズを持ち眼科医が眼底を観察する方法と、眼底カメラと呼ばれる器械を使って眼底の写真を撮影する方法の2種類があります。

通常、健康診断などでおこなわれる眼底検査は無散瞳型眼底カメラを使用して、瞳孔を開かず普段の状態で撮影を行います。しかし、瞳孔が開いていないと眼底の周辺部分は観察しにくいため、眼底周辺部の異常を発見しにくくなります。眼底を隅々までしっかりと観察するためには、散瞳薬(目薬)を点眼して30分くらい待ち、瞳孔が散瞳状態になってから検査をおこないます。

眼科では基本的に、眼底検査は散瞳してからおこなわれます。検査自体は目薬をさすだけなので痛みなどはありませんが、目薬の効果が切れるのに4~5時間程度かかります。診察終了後もしばらくはまぶしさや見にくさなどの症状が残るため、車の運転等には注意する必要があります。

眼底検査の必要性

新緑-写真
眼底検査で眼底の状態を確認することで次のような病気を調べることができます。

緑内障

緑内障の場合、眼圧の影響で眼底の視神経乳頭に変化をもたらします。日本人には、眼圧が正常な緑内障「正常眼圧緑内障」が多いといわれています。正常眼圧緑内障の場合は眼圧検査だけでは見逃されやすいのですが、眼底検査をおこなうことで視神経乳頭の緑内障性変化を発見することができ、緑内障の早期発見・治療へと繋がるのです。

生活習慣病

高血圧

高血圧だと眼底の血管にも負担がかかるため動脈硬化により血管が細くなったり出血などの状態を確認することができます。

糖尿病

糖尿病で高血糖の状態が長く続くと、眼底検査によって出血などの糖尿病性変化を確認できます。

糖尿病網膜症では、眼底中心部での大きな出血などがない限り、初期のうちは自覚症状がありません。症状があらわれて眼科を受診したときにはすでに眼底の状態がかなり悪化していることが多いため、糖尿病網膜症は成人の中途失明の原因の第2位となっています

脳疾患

脳腫瘍などの脳疾患があると脳圧が上がり、脳と繋がっている視神経の出口部分の視神経乳頭に充血やうっ血があらわれる場合があります。

まとめ

緑内障は眼の成人病とも呼ばれており、40歳以上の20人に1人は緑内障だといわれています。緑内障で失われた視野は残念ながら元には戻らないため、40歳を過ぎたら眼に異常がなくても定期的に眼科を受診し、眼圧検査や眼底検査をおこなうようにしましょう。