人と手をつないだり、何かの拍子に触れたりした時に手が熱いことを指摘された経験はあるでしょうか?

手足がほてると、大人ならその不快感に自分で気づくこともあるかもしれませんし、自分の子供の手がいつもより熱いとお母さんは気になりますよね。

人より平熱が高いのかな?と思ってしまうかもしれませんが、それだけの理由では手足だけが異様に熱く感じることはありません。

今回は手足が熱くなるという症状にはどんな原因が潜んでいるのか、考えられる理由を紹介します。

目次

 1.体に熱がこもっている

まず考えられるのが、体温調整のための一時的な症状であることです。

体温を下げようとするとき、体は手足などの末梢から熱を逃がそうとします。どうやって熱を放出させるかというと、手足の血管を広げて、皮膚からの熱の発散量を多くするのです。

たとえば夏、日差しの下にいたりすると体温も上がってしまいます。すると、体の芯を冷やすための作用として手足の血管が広がり、結果として熱く感じます。その逆で、冬の寒い時に指先が真っ白になるのは、血管が縮小されて熱を閉じ込めようとしている状態なのです。冬よりも夏の方が手足の熱さを訴える方が多いのですが、その理由はこのためです。

この場合の手足のほてりでは、同時に全身に汗をかいている場合が多いです。ただし脱水症状のために汗をかけていない場合もあるので、猛暑の日、熱中症日射病を疑った時には気をつけましょう。

 2.眠気を感じている

人間は夜寝ている時には体温が低く、活動している昼間には高くなるようになっています

眠る前に体温を下げなくては寝つきが悪くなってしまうので、溜まっている熱を末端から放出します。要するに、体が特別熱いわけではなく、眠る準備のために手足が一時的に熱くなっている状態です。

子供の手が熱い時には、ただ眠いだけということもよくあります。まずは眠いかどうか、お子さんにたずねてみましょう。

 「睡眠ホルモン」メラトニンの話

部屋が暗くなった途端、眠くなってしまった経験はありませんか?

私たちの体は、周囲が暗くなるのを感じると夜になった認識し、「睡眠ホルモン」と呼ばれる物質メラトニンを分泌し始めます。実はこのメラトニンが末梢の血管が広げ、その結果として体温が下がり、眠気を催すのです。

 3.自律神経失調症

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体の各器官には、交感神経と副交感神経という2つの自律神経があります。自律神経は体の「活動」と「安静」のバランスを、私たちの意思とは関係なく24時間体制で整えてくれているものです。

自律神経失調症とは、この自律神経のバランスが崩れてしまう状態のことをいいます。
自律神経のバランスが崩れると、安静にしているのに心臓の鼓動が激しくなったり(動悸)、頭痛がしたり、体がだるくなったり、疲れがとれなくなったりと様々な不調が表れます。手足がほてる、のぼせるといった症状も自律神経失調症にみられる症状の一つですが、自立神経失調は検査では異常がみられません

自律神経失調症の原因は、ストレスや緊張、生活習慣の乱れとされています。ストレスを発散し、食事と睡眠をしっかりとるなど、生活習慣を見直すことが大切です。

もしかしたら自律神経失調症かもしれないという方は、「不眠、動悸、倦怠感…自律神経失調症で起こる症状は?原因はストレス?」の記事を合わせてご覧ください。

 更年期障害

日本人の女性は約50歳で閉経するとされていますが、この閉経前後約5年間を更年期といいます。また、この時期に女性ホルモンの低下などで起こる様々な症状を更年期障害と呼びます。

「のぼせ・ほてり・発汗」などは、女性ホルモンの低下でもたらされる自律神経失調症の症状で、手足のほてりもこの症状に含まれます。

これらの症状以外に「抑うつ・不眠」といった症状も更年期障害の特徴です。手足が熱くなる症状に加えこれらの症状が表れた場合は、かかりつけの婦人科の受診をおすすめします。

 4.神経障害

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手足の神経が、何らかの影響でうまく機能しなくなってしまうことがあります。神経障害が起きると、ほてり、熱さというよりも「しびれ」「痛み」を感じることが多いです。

 糖尿病

神経障害を引き起こす病気の代表例として、糖尿病が考えられます。糖尿病そのものではなく、合併症として引き起こされてしまうのです。その中の一つに糖尿病性神経障害というものがあり手足などの末端の部分から、感覚が鈍くなるような症状がみられます。

初期症状として、まず足の指や裏が「ぴりぴり」、または「じんじん」する痛みやしびれがおき、進行すると手の指にも痛みやしびれを感じるようになる場合が多いです。このしびれの強さによっては「ほてり」のように感じることもあります。

その他足の裏に紙が張り付いているような違和感や、夜間に症状が強くなることが特徴です。そして最後には痛い、熱い冷たい、何かに触れているなどのすべての感覚が鈍ってきます。

手足が熱いというよりも「ぴりぴり」「じんじん」といった痛みであるという人は、糖尿病の神経障害を疑ってみましょう。

糖尿病性神経障害に関しては「専門医に聞く糖尿病性神経障害とは?「壊死」を防ぐためできること」もご参照ください。

 

このほか、多発性ニューロパチー、 多発性神経炎、 手根管症候群、 足根管症候群などの病気でも神経障害が起きます。

 5.その他

先端紅痛症

この病気では、足や手の灼熱痛、熱さ、皮膚が赤くなる状態が数分から数時間続きます。

骨髄増殖性の疾患、高血圧、静脈不全、糖尿病などの病気に伴って発症する可能性があるものです。しかし、原因不明であることも多く、まれな疾患です。

冷水に浸すことで症状が軽減し、軽度のまま何年も続く場合もあります。しかし、完全に機能不全になってしまうほど重症になることもあるため、異常だと思ったらすぐに病院に行くことをおすすめします。

バーニングフィート(灼熱足)症候群を知っていますか?

寝る前に足の裏がほてり、熱くなる症状には「バーニングフィート症候群」という名前がついています。糖尿病や甲状腺機能低下症などの病気の他、ビタミンBの欠乏、血流障害が原因となることもあります。

バーニングフィート症候群では、夜間に症状が悪化することが知られています。該当の症状でお悩みの方は、「足の裏が熱くて眠れない!バーニングフィート症候群の原因とは」の記事もあわせてご覧ください。

まとめ

手足が熱いという症状の原因は熱中症などの馴染みのあるものから、先端紅痛症などのまれな病気まで様々あります。手足が熱いからといって、すぐに命にかかわるようなことは少ないですし、眠気といった生理現象が理由であることもあります。しかし、放っておくのもよくありません。手足が熱いだけでなく他の症状が伴うようであれば、ぜひかかりつけの医師に相談することをおすすめします。