妊娠中は葉酸を積極的に摂取するよう厚生労働省から通知されており、また妊婦向けの葉酸サプリもたくさん販売されています。そこで今回は葉酸の正しい摂取量、そしてサプリと食事での摂取はどちらがいいのかについて詳しく見ていきたいと思います。

また、なぜ妊娠中に葉酸が必要になるのかは「妊婦さんに「葉酸」が欠かせない3つの理由」をご覧ください。

目次

葉酸の必要な摂取量

葉酸の必要な摂取量は妊娠時期や授乳期などによって変わってきます。

厚生労働省が発表している葉酸の食事摂取基準(μg/日)は以下のようになっています。

葉酸の食事摂取基準(㎍/日)
成人女性 240㎍
妊婦(付加量) +240㎍
授乳婦(付加量) +100㎍
妊娠を計画している、
妊娠の可能性のある女性(付加量)
+400㎍
(プテロイルモノグルタミン酸として)

 出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2015年版)を元にいしゃまち編集部作成

妊婦の葉酸の必要な摂取量

妊婦では普段の摂取量の+240㎍必要となってくるために、1日に480㎍摂取するよう推奨されています。

授乳婦の葉酸の必要な摂取量

妊婦では普段の摂取量の+100㎍となってくるために、1日に340㎍摂取するよう推奨されています。

妊娠を希望している女性の葉酸の必要な摂取量

葉酸を摂取する時期として一番重要なのが妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月頃と言われています。この時期は普段の食事での葉酸摂取量に加えてプテロイルモノグルタミン酸として葉酸を400摂取する必要があるとされています。

プテロイルモノグルタミン酸について詳しくは後で説明しますが、つまりサプリメントの葉酸を1日400㎍摂取する必要があるということです。

 

葉酸を摂取する一番の理由として挙げられているのは胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減ですが、神経管欠損は受胎後1ヶ月以内に発生することが分かっています。妊娠が判明するのは受胎後1ヶ月以上たった後のことが多いため、判明してから葉酸を摂取しだしても遅いのです。そのため妊娠を考えている女性は常に葉酸を摂取しておく必要があります。

葉酸を過剰に摂取した場合

妊婦-写真

葉酸サプリメントを必要以上に摂取した場合、以下のような副作用が報告されています。

  • ビタミンB12欠乏症の診断が遅れる恐れがある
  • 亜鉛の吸収を阻害する恐れがある
  • 皮膚炎が生じる恐れがある
  • 小児の喘息リスクが微増する恐れがある

 

そのため厚生労働省から発表されている基準値を上回ることがないよう、気を付けて摂取する必要があります。

厚生労働省が発表している葉酸の耐用上限量(㎍/日)

年齢(歳) 耐用上限量(㎍/日)※
18~29 900
30~49 1000

       ※サプリメントの葉酸の量として

出典:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2015年版)を元にいしゃまち編集部作成

 

耐用上限量とは、これ以上摂取すると副作用の発生リスクがゼロではなくなる基準の量を示しています。

サプリメントを何種類も飲んでいる方は、葉酸を重複して摂取していることも少なくありません。必ずサプリメントの成分を確認してから服用してください。

葉酸は食事でとるべきか、サプリでとるべきか

ほうれん草-写真

栄養素は一般的にはサプリよりも食事中の野菜などからとったほうが良いとされていますが、妊娠中の葉酸については少し違っています

 

食事から摂取できる葉酸のことをプテロイルポリグルタミン酸、サプリメントから摂取できる葉酸のことをプテロイルモノグルタミン酸といいます。

食事から葉酸を摂取するときは、体の中で代謝などが行われ、実際に葉酸として利用できるのは50%以下ともいわれています。また水溶性ビタミンである葉酸は調理している間も水などに溶けていってしまい、さらに摂取できる葉酸の量が減っていくことが分かっています。

そのため食事からではどのくらい葉酸を摂取できたのか明らかではなく、実際の食物含有量よりはるかに少ない量の葉酸しか摂取できない恐れがあるため、確実に葉酸を摂取することのできるプテロイルモノグルタミン酸である葉酸サプリメントの服用を勧めています

特に妊娠を考えている方や妊娠初期の方は、葉酸サプリメントで葉酸を摂取することが、胎児の障害回避につながるとされています。

まとめ

妊娠したから葉酸サプリを飲んでおこう!といった方はたくさんいらっしゃるかと思いますが、実は妊娠が判明してから葉酸サプリメントを飲むのでは遅いということが分かっているため、妊娠を考えた時から服用を始める必要があります。

また必要以上に摂取するのもよくないので、鉄分やカルシウム、葉酸など総合的に入っているサプリメントを選ぶと重複して服用する恐れもなく、いろいろな方面で効果的に体をサポートしてくれるでしょう。

生まれてくる赤ちゃんのためにも、どのサプリメントがよいかなどしっかりと選んで、用法容量を守りながら服用を始めましょう。