皆さんは「リスペリドン」という名前を聞いたことがあるでしょうか?普通に生活している上ではあまり聞いたことのない方が多いと思いますが、「リスペリドン」は抗精神病剤としてよく使われる薬です。

リスペリドンは一般名で、商品名としては「リスパダール」「リスペリドン「サワイ」」などがあげられます。そこで今回はこの「リスペリドン」について詳しく見ていきたいと思います。

目次

「リスペリドン」ってどんな薬?

リスペリドンは抗精神病剤の中では比較的新しめの非定型抗精神病薬に分類されています。

従来の抗精神病薬と比べると、抑えられる症状が増え副作用も少ないためよく処方されています。

主に統合失調症という病気に用いられますが、最近では「小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性」に対する適応も追加されました。

 

「リスペリドン」の効き目は?

それでは具体的な効能効果について詳しく見ていきましょう。

統合失調症

統合失調症は、100人に1人はかかる一般的な病気です。喘息の患者数と同じくらい存在しているといわれています。脳の精神機能がうまく働かなくなり、怒りや悲しみ等の感情を自分ではコントロールできなくなったり、また幻覚や被害妄想意欲低下などの症状があらわれたりします。リスペリドンはこれらの症状を抑えて、日常生活に支障を起こさないようにするための薬としてよく使われています。

小児期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性

発達障害の中の種類の一つである自閉スペクトラム症に用いられます。易刺激性とは些細なことがきっかけで不機嫌になったりすることで、自閉症の患者の場合では些細なことがきっかけで、自傷行為攻撃性につながる恐れがあります。そういった場合にリスペリドンが用いられ、症状を抑えることができます。

「リスペリドン」の副作用と注意点

昔使われていた抗精神病薬に比べると副作用は少ないほうですが、それでも副作用は存在します。代表的な副作用を以下に記します。

眠気、注意力集中力の等の低下

眠気などがあらわれやすく、集中力が必要な作業には注意が必要です。そのため、自動車の運転などの危険を伴う作業には従事しないようにしましょう。

起立性低血圧

急に立ち上がったりすると、ふらついたりする症状があらわれる場合があります。服用し始めや薬の増量時などに起こりやすいため、立ち上がる際はゆっくりと行うよう注意してください。

高血糖や低血糖

高血糖があらわれる恐れがあるため、口の渇き多飲・多尿などの症状があらわれた場合、医師に相談してください。また食欲が増し体重増加につながることもあるため、適度な食事・運動を心がけるようにしてください。

また高血糖とは反対に低血糖の症状が現れることがあります。脱力感・震え・冷や汗などの症状が現れたらジュースなどで糖分をとって、すぐに医師に相談してください。

口の渇き便秘

口が渇いたり、便秘になりやすくなるので、シュガーレスガムなどで口の中の唾液をふやしたり、水分を多めにとったりなどの対策をとってください。

様々な剤型

注射器-写真

リスペリドンには、錠剤、液剤、細粒、注射などの様々な剤型が存在しています。症状を抑えて、生活に支障を起こさないようにするためには飲み忘れを防ぐことが大事であるため、どの剤型が一番飲み忘れしにくいかを医師と相談して決める必要があります。

  • 錠剤:持ち運びしやすい
  • 液剤:興奮中など自分自身で服用ができない場合に有効です。1回分ずつ個装になっているものもあるので、持ち運びにも困りません。ジュースなどに混ぜて服用しても大丈夫ですが、紅茶や日本茶、コーラに混ぜると効果が落ちるので注意が必要です。
  • 細粒:細かい服用量の調整ができます。
  • 注射2~4週間に一度打てばよいため、錠剤や液剤・細粒のような毎日の服用が必要ありません。しかし一度注射してしまうと、直ちに体外に薬物を排除する方法がないため、錠剤などを服用したことがない方はまず錠剤などを服用して、副作用が出ないなど確認してから使用する必要があります。

まとめ

リスペリドンは身近な薬とは言い難いかもしれませんが、統合失調症などの病気の発症や、精神的な症状があらわれた場合には処方されることも多い薬ですので、しっかりとその副作用や、飲み方の注意点を事前に確認してから服用するようにしましょう。

また自己判断で服薬を中止すると病気の再発などにつながる恐れがあるため、必ず医師の指示に従ってください。