赤ちゃんはお腹の中にいる間は、臍の緒を介してお母さんから栄養を供給されます。しかし、産まれた瞬間からそれはストップしてしまいます。そんな赤ちゃんのためにお母さんの体は母乳を出せるように作られています。

しかし、赤ちゃんがおっぱいに吸い付けば、最初から満足いく量の母乳が出る…なんてことはありません。母乳哺育はお母さんと赤ちゃんが相互に協力してできていくものです。この記事では、母乳哺育の準備方法と、母乳を与えるメリットについてお話ししたいと思います。

目次

母乳は自然に出ない?母乳が出るしくみとは

母乳は、乳房の中にある乳腺で作られます。十分な量の母乳を出すためには、ある程度乳腺が発達する必要があります。しかし、乳腺は刺激を受けないと発達しないため、最初は母乳の分泌も不十分である場合がほとんどです。乳腺が刺激を受けて発達することで、少しずつ十分な量の母乳が出せるようになるため、乳腺の発達を促すことは母乳哺育を成功させるために重要なことのひとつです。

また、乳頭の授乳準備ができていない状態だと赤ちゃんが上手に吸い付けず乳房のトラブルが発生することがあります。妊娠中に特になにもケアをしていない初産婦さんは、その頻度が高いため、母乳の分泌量が増える前に哺乳瓶でミルクを与える機会のほうが多くなり、母乳哺育を諦めてしまうことがあります。このような結果にならないためにも、早め(妊娠中)のおっぱいケアも重要です。

妊娠中のおっぱいケアの方法って?

おっぱいケアを始めるのは妊娠28週以降から少しずつ始めるのが望ましいとされています。おっぱいケアを行う場合、おっぱいへの刺激は子宮収縮を促すため、おなかの張りやすい妊婦さんはおっぱいケアをする前に主治医もしくは助産師さんに相談しましょう。また、お腹の張りを感じたら休憩するようにしましょう

1.乳頭(乳首のこと)のお掃除

乳頭には乳腺の出口があり、そこが垢や汚れで詰まっていると乳頭に栓をしてしまっているような状態になります。乳頭をよく見ると、ささくれのようなものが付いていたり、変色している部分があるかもしれません。それが垢や汚れなので、入浴中に優しくガーゼでこするなどして取っておきましょう。汚い手で乳頭のお掃除をおこなうと、ばい菌が入ってしまう可能性があるため、清潔な手でおこなうようにしましょう。

2.乳頭マッサージ

乳頭の汚れが取れたら次は乳頭マッサージです。産後すぐは母乳の分泌は1滴か2滴だったりするのですが、赤ちゃんはお腹が空いているのですごい勢いで吸ってきます。その刺激で乳首に傷が付いたり、皮がめくれたりすることがあります。そこで、乳頭マッサージをおこなうことで乳頭の強さと柔らかさを身に着けて、赤ちゃんに負けないようにしましょう。

乳頭マッサージの方法は、乳首を摘まんだり、指先で軽く捻るようにします。慣れていないと痛みを感じることがありますが、毎日少しずつ続けていくことで、乳頭の皮膚が柔らかくなります。

母乳のメリット

授乳

母乳哺育を始める前の準備が、思ったより大変そうと思われたかもしれません。しかし、その大変さを越える母乳哺育のメリットについてお話ししたいと思います。

1.産後の子宮の戻りが良くなる

赤ちゃんの成長に伴って伸びきった子宮ですが、産後は元の大きさに戻そうと一生懸命収縮しようとします。この働きを助けるホルモンは、赤ちゃんがおっぱいを吸う刺激によって分泌されます。そのため、母乳哺育をおこなうことで、子宮の戻りが早くなると考えられています。

2.お母さんは将来病気にかかる確率が低くなる

母乳哺育は、糖尿病、肥満、メタボリック症候群、気管支喘息、アレルギーなどの発症予防に効果があるともわれています。

3.その赤ちゃんに合わせた成分の母乳が出る

オーダーメイドのその子のためだけの食事が母乳です。なぜなら、母乳の成分は個々の赤ちゃんの状態に合うように調整されて分泌されるためです。また、消化吸収しやすいため、赤ちゃんの体にかかる負担が最小限で済みます

4.赤ちゃんに免疫力を分けることができる

本来赤ちゃんは、免疫が未発達の状態で生まれてきますが、母乳には免疫成分が入っているため、母乳は赤ちゃんの病気を防ぐ効果があるとされています。産後2~3日に分泌される初乳は特にその成分が多く入っているため、赤ちゃんにあげることをおすすめします。

また、初乳には赤ちゃんのお通じを良くする効果もあります。

5.手軽で経済的

母乳は最初こそ大変ですが、出るようになってくれば非常に育児が楽になります。哺乳瓶の洗浄や消毒の必要もなく、赤ちゃんが飲みたいときに好きなだけあげることができます。ミルク代もかからないため、経済的にも非常に助かります。

まとめ

母乳哺育は、主治医・助産師さんの正しい指導のもと、お母さんと赤ちゃんが協力して行っていく必要があります。母乳が出づらいといった悩みや予想外のトラブルなど、大変なこともある一方で、母乳哺育はお母さんにとっても、赤ちゃんにとっても、多くのメリットがあります。もし、母乳哺育を頑張りたいと思われた妊婦さんはぜひ、妊娠中からおっぱいケアを頑張って、産後の授乳に備えましょう。