お母さんが食事から摂取した栄養で母乳は作られています。母乳育児をしていると「これは食べても大丈夫なのかな?」と心配になることも多いですよね。この記事では、授乳中の食事で気を付けるべきポイントと、食物アレルギーの関連性について解説していきます。

目次

母乳の役割とは?

出産が終わったと思ったら次に始まるのが授乳です。特に問題がなければ、赤ちゃんを産んでから卒乳までの約一年間は授乳を続けることになります。

母乳のメリットとしては以下のようなものがあります。

お母さんへのメリット

  • 母体の回復を早める
  • 閉経前の乳がん・子宮体がん・卵巣がんのリスクを減らす
  • 骨粗鬆症リスクを減らす
  • 生活習慣病リスクを減らす
  • ストレスを緩和する
  • 衛生的、経済的

赤ちゃんへのメリット

  • 赤ちゃんの感染症予防になる
  • 母乳の成分組成が赤ちゃんに最適
  • 生活習慣病リスクを減らす
  • アレルギーを起こしにくくなる
  • お母さんとのコミュニケーション

完全母乳育児が推奨されているわけではありませんが、メリットの多い母乳育児が推奨されているのはこのような理由からです。母乳が出ない、服薬しているなどの特別な事情がない場合は、母乳育児を目指してみましょう。

授乳中に意識したい栄養素

授乳中は、ただ単に食事をたくさん食べていればよいかというとそうではありません。授乳中に特に必要な栄養素には次のようなものがあります。

エネルギー

母乳で育てていたら自然と体重が減ったという人が多くいます。母乳はエネルギー消費を増加させるために役立ち、6ヶ月を目安に標準体重までゆっくりと戻していくことを目標にします。

授乳中のエネルギー付加量は350kcalですが、定期的に体重を計測し、食事量を見直すことが大切です。

たんぱく質

肉や魚、卵、大豆製品などのメイン料理に多く含まれるたんぱく質は、血液や筋肉、臓器などの体の組織の成分となる重要な栄養素です。授乳期は20g(たまご3個分)の付加量が設定されていますので、しっかりと摂取しましょう。

カルシウム

カルシウムは骨や歯を形成します。日本人は慢性的にカルシウムが不足しているので、乳製品や小魚を日常的に摂取しましょう。授乳中の付加量は設定されていませんが、妊産婦のための食事バランスガイドでは、1SV(牛乳なら1/2本)程度プラスすることが推奨されています。

血液中に含まれるヘモグロビンの成分で、不足すると動悸や息切れといった貧血症状が見られることがあります。妊娠末期から貧血が多く見られるようになり、産後も続くと母乳不足の原因にもなります。鉄はレバーやあさり、ほうれん草などに含まれており、鉄の吸収率を高めるビタミンCを一緒にとることも大切です。

母乳とアレルギーの関係性

お母さんの食べたものが原因で、赤ちゃんがアレルギーを起こすかもしれないと心配に思われる方も多いようです。しかし、実際には母乳とアレルギーの関係性ははっきりと認められていません

赤ちゃんが食物アレルギーになるのが不安だからといって、特定の食品を抜いたり、リスクの高い乳児に特定の食べ物の摂取を遅らせたりすることは、赤ちゃんのアレルギー発症との因果関係はないとの見方がされています。

現時点では赤ちゃんのアレルギー発生要因についてはまだわかっていないところが多く、今後の研究課題となっています。家族歴や遺伝、皮膚機能バリアの低下、日光や出生季節が原因となると言われています。

赤ちゃんの食物アレルギーを防ぐために、特定の食品を食べ続けないという生活を続けていると、お母さんにも赤ちゃんにも栄養状態に悪影響が出る恐れがあるので気を付けましょう

まとめ

授乳中は食事に対して神経質になりがちです。バランスのよい食事を心がけるとともに、アレルギーについて心配しすぎないこと、定期的に体重を確認しながら食事量を見直すことが大切です。