「自律神経」という単語はよく見聞きしますよね。なんとなく何かを「自律」する神経なんだろうな…とイメージもできます。今回はその「なんとなく」を、もう少し具体的にみていきましょう。

目次

自律神経とは?

無意識にはたらいて、体の調子を整えている神経のことをこう呼びます。自分で意識をしなくても、身体の状態が「今、一番必要な状態、一番良い状態」になるように働く神経です。自律神経は脳にある視床下部から命令を受けて働いています。視床下部は「一番良い状態」を管理して、それを保つために自律神経に命令しています。以下は視床下部との関係の一部です。

汗が出る

  1. 視床下部で温度をキャッチする
  2. 人間の体温の調節は37度を境目に設定されているので、それと比べる
  3. 37度より体温が高くなると「熱を放出する」という機能が働く
  4. 3の働きをキャッチして、自律神経が活動を始めると、汗が出る

脈が速くなる

  1. 緊張したり、激しい運動をすると、身体が酸素をたくさん必要とする
  2. 酸素を運ぶために血液をを沢山送り出さないといけない
  3. 視床下部が交感神経に働くように(心臓の動きを早くするように)命令を出す
  4. 交感神経がはたらいて、心臓ががんばって血液を送り出すため脈が速くなる

交感神経については次に説明します。

自律神経には2つのグループがある

「自律神経」とまとめて呼ばれることが多いですが、交感神経副交感神経という2つのグループがあります。それぞれのグループは別々に働いているのではなく、同じところに、それぞれが必要なときに働きかけています。片方が働いているときは、片方が休んでいる、というイメージです

交感神経

何かと、戦う・挑む・逃げるなど、ストレスが多くなる状態に対応するために身体の準備を整えるグループです。極端にいえば、緊急時に必要な身体の状態を準備します

  • 血圧が上がる
  • 脈が速くなる
  • 汗が出る
  • 瞳孔が開く
  • 脳が興奮状態になる   など

緊急時に必要でない身体の働きは鈍らせてしまいます。

  • 胃腸の動きは鈍くなる
  • 尿や便は出さないように、貯めるモードになる
  • 唾液の量が減る(喉が渇く)

副交感神経

普段の生活をするための身体の状態を管理するグループです。平常心~リラックスしている状態のときに働いています。良い状態の温存、回復の役割があります。

  • 胃液の量が増える
  • 心拍数が減る
  • 血圧が下がる(動くのがつらくなる)
  • 腸がよく動く(下痢の傾向になる)
  • 眠くなる

意識的に働く「体性神経」

自律神経とは反対に、意識的に働く神経を「体性神経」といいます。体性神経と自律神経は、まとめて「神経系」と呼ばれています。

  • ものを取ろうとして手を動かす
  • 音を聞こうとする
  • 味を確かめようとする

など、意識して使うことのできる神経は「体性神経」といいます。運動神経や感覚神経がそれにあたります。

自律神経が「失調」するってどういうこと?

神経イメージ画像-写真

2つのグループはいつもは絶妙なバランスで働きながら、人間の活動を支えています。このバランスが崩れてしまうのが自律神経の「失調」です。生活習慣が乱れたり、ストレスが多くなると、交感神経ばかりが働いている状態になります。交感神経は言ってみれば、「戦闘態勢」を整える役割をしています。

交感神経ばかりが働いている状態というのは、とても疲れてしまう状態なのです。そのため、身体がへとへとになり、様々な不調が出てきてしまう、というわけです。

では、副交感神経がたくさん働いていればよいのでしょうか?残念ながらそうは単純ではありません。大切なのはバランスなので、副交感神経だけががんばっている状態もよくないのです。

副交感神経ががんばりすぎると、リラックスしすぎた状態による不調が出てきます。少し動いただけで疲れたり、やる気が起きない、動けない、などです。これも自律神経「失調」の状態です。

まとめ

自律神経が一度バランスを崩すと、影響も大きく、症状が複数現れるのも特徴です。ストレスを減らしたり、生活を整えてみたり、自分で対処できる範囲のものもありますが、病院を受診したほうが楽になることもあります。