以前はそんなことなかったのに、出かけるとすぐに疲れる、常に全身がだるい。そんな症状に悩まされていませんか?
この記事では慢性的な疲労感をともなう病気をピックアップしていきます。
気をつけるべき疲れの質について
長時間の運動や仕事による疲れは誰でも経験するものです。
休息をとることによって回復する場合は、生理的なものなので心配の必要はありません。
しかし十分な休息にも関わらず疲れがとれない時や、倦怠感が長く続く時には、何かしらの病気が潜んでいるかもしれないので注意が必要です。
精神的要因、過度のストレスが引き起こすもの

自律神経失調症
自律神経には交感神経と副交感神経という2つがあり、体の環境を整えています。この自律神経がストレスなどでバランスを崩してしまうことで、倦怠感を覚えることがあります。
体のだるさのほか、頭痛、動悸が激しいなど、様々な症状があるにも関わらず検査では異常が見つからない場合の診断名であり病名ではありません。
うつ病
気分がふさいでやる気が出ない状態が長く続く病気です。
代表的な精神病の1つですが、身体的症状も多く見られます。
また、抑うつ状態に気づく前に体の変化が顕著になる場合もあります。疲れているのに眠れず、一日中ねむい、便秘がち、めまい、頭痛や肩こり、動悸、口が渇く、飲酒量が増える、胃の不快感を併発したら疑ってもよいでしょう。
適応障害
抑うつ気分、不安、怒り、焦りや緊張など、うつ病によく似た症状がでます。
しかしストレスの元から離れると症状が改善するのが特徴です。うつ病の前段階とも考えられているようです。
パニック障害、不安障害
吐き気、手足の震えなど、「自分は死んでしまうかもしれない」と思うほど強い発作なのですが、検査をしても異常は見られません。
パニック発作で死んでしまうことはありませんが、日常生活に支障が出るため不安でうつ病を伴うこともあります。
統合失調症
考えがまとまりづらくなり、幻覚や妄想にとりつかれてしまいます。
また意欲低下や感情表現が貧しくなることも特徴です。
被害妄想を抱いたり話が支離滅裂になったりするため人間関係に支障をきたすのですが、本人は妄想を本当の出来事として受け止めてしまうのでなかなか病気に気づけません。
自分には見えている、聞こえているのに周囲が「そんなことはない」と否定をするのであれば、統合失調症の可能性があります。
身体的要因、病気によるもの

慢性疲労症候群
これまで健康だった人が突然、全身のだるさと微熱、不眠、不安、やる気の低下、筋肉痛や関節痛を訴えるのがこの病気です。
原因はまだ分かっていないのですが、風邪などの感染症がきっかけとされており、検査では異常がみつからない病気です。
薬での治療が一般的です。痛みを軽減させる薬を使ったり、精神的な症状が強い場合にはカウンセリングなどを行ったりします。
貧血
貧血によっても倦怠感を覚えることがあります。
貧血の人は顔面が蒼白、あるいは黄色く見えたり、朝起きにくい、立ちくらみなどの症状がみられます。
貧血がおこる背景には悪性腫瘍による出血なども考えられるため、酷い場合は一度病院へ行くとよいでしょう。
糖尿病
体内のインスリンの不足によって糖が吸収されず、低血糖になる病気です。吸収されない糖は血液中にあるので、血糖値が高くなります。
疲れやすさの他に、喉の渇き、トイレが近くなる、大食(特に甘いものが欲しくなる)、食べているのに痩せてくる、といった症状が見られます。
肝疾患
疲れの原因として、肝臓の病気がみられることが多くあります。
肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、異常が生じたとしても自覚症状はほとんど見られません。
しかし、肝炎や脂肪肝が進行した場合、疲れやすい・身体がだるい・食欲がないなどの症状が現れることがあります。
繰り返しになりますが、肝臓の病気は自覚症状が出ないことが大半です。定期的な健康診断を受け、異常があれば生活習慣を改善することが必要です。
悪性疾患(がん)
多くのがんでは、初期の間は症状がないことが多いです。ただ、がんのある方は体重が減少したり、疲れやすくなったりすることがあります。
これをがん関連疲労といいます。
健康な人よりも少ない活動量で疲れてしまい、休んだり眠ったりしても完全には回復しないのが特徴です。
がんが進行するにつれて疲労が激しくなると、1日の大半を眠った状態で過ごす方もいます。
また、抗がん剤の副作用の一つにも疲労があります。がんの治療が終了すれば疲労も軽くなりますが、治療終了後も数ヶ月から数年の間、疲労が残るケースもあるようです。
膠原病
原因不明の発熱や全身倦怠感、疲れやすさ、体重減少などがみられた場合、膠原病を疑うことがあります。
膠原病は臓器障害により病気が引き起こされる炎症性の疾患で、原因を特定することが難しい病気の総称です。
全身性エリテマトーデスや関節リウマチ、シェーグレン症候群、ベーチェット病などが含まれます。
膠原病の諸症状は、はじめは日常生活に支障がない程度に起こります。しかし、徐々に悪化していき、慢性化していきます。
原因が分かっていない病気も多いですが、メカニズムや治療法は少しずつ確立されてきています。
内分泌異常(ホルモン異常)
ホルモンの異常によって起こる病気をまとめて内分泌疾患と呼びます。
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、甲状腺機能低下症、尿崩症、クッシング症候群などが当てはまります。
ホルモンの量は、多すぎても少なすぎても身体のあちこちに異変を起こします。
病気によってみられる症状は様々ですが、倦怠感に加えて動悸や息切れ、女性の場合は月経不順などがみられることが多いです。
まとめ
回復しない疲労感には様々な要因があります。上記に挙げた病名以外にも考えられる原因はいくつかあります。
身体的症状がつらい場合、まずは内科など身体科を受診することをおすすめします。
そこで異常がみつからなかった場合には、心の問題である可能性があるので精神科や心療内科を受診してみましょう。「疲れるのは当たり前」と思わず、自分を労わることも必要です。