歯がグラグラしてきたら疑われる8つのこと」でお話ししたように、歯がグラグラする場合には様々な原因が考えられます。その原因によって治療法も変わってきますが、とにかく動揺の程度が強いほど治療の緊急性が高くなります。ケース別に治療法を紹介していきます。

目次

歯がグラグラする時はどんな治療をするの?

①歯周病が原因の場合

歯周病が進行しすぎて、歯がもはや骨に埋まっていない場合は抜歯です。

まだ残せる場合は、まずは歯の周りの組織の炎症を取り除くために、プラークコントロールの徹底、歯石取りを行います。支える骨が少なくなっていて歯が浮いたようになっている場合はかみ合わせが強く当たっている可能性があるので、その部分のかみ合わせを調整します。動揺が強い場合は、歯を安静な状態にさせる為に隣接した歯と固定をして様子を見ます。暫間固定と永久固定があります。

暫間固定

透明や白い接着剤で、動揺している歯とそうでない歯をくっつけて固定する方法です。歯周病の治療を一通りやったあとに歯ぐきが引き締まって動揺が落ち着いてきている場合は除去しますが、動揺の状況によっては永久固定をします。目立たなく、歯を削る必要がないので永久固定のような意味合いでこの方法で固定することもありますが、かみ合わせの力が強くかかったりする場合は早期に外れてしまいます。

永久固定

動揺のある歯同士を連結したかぶせ物で固定する方法です。歯は削ると弱くなって寿命が短くなると言われますが、すでに重度の歯周病である場合には固定せず放っておいた方が寿命が短くなりますので、歯を削ってかぶせて固定することにより歯を安静な状態にできる永久固定は逆に歯の寿命を延ばすことができる為大いに意味があると言えます。

②さし歯が取れてしまった場合

さし歯が取れる場合で単にさし歯をくっつけている接着剤が取れてしまった場合は、歯をきれいに洗浄してくっつけ直します。前歯の場合は噛み合わせが強く当たるようになってきて取れる場合があり、その場合は噛み合わせを調整してくっつけ直します。ただ、歯に虫歯ができていて取れた場合、歯自体が割れて取れた場合はくっつけ直すことができませんので、それぞれに合った治療を行います。

③歯の根っこが割れた場合

この場合は、かなり歯の頭の近くで割れたケースでない限り、残せない場合がほとんどです。

その場合は抜歯となります。

④噛み合わせに異常な力がかかっている場合

かみ合わせの力が強くかかっている歯はかみ合わせの調整をし、過剰な力がかからないようにします。

食いしばりやかみしめの癖がある場合には、意識してやめるようにし、夜間の歯ぎしりがある場合にはマウスピースを製作し、歯ぎしりによって歯に加わるダメージを和らげるようにします。

⑤根っこの先に大きな膿の袋が原因の場合

この場合に動揺が見られるケースでは、動揺することにより歯が浮いてきて余計に歯が向かいの歯と強く当たるようになっている場合が多いので、ダメージを軽減するために噛み合わせの調整をします。それと、原因となっている根っこの先の膿の治療を行います。

⑥外傷の場合

ぶつけて歯がぐらついている場合、位置がずれた場合は、正しい位置に戻して隣の歯と透明または白い接着剤で一時的に固定します(一カ月前後)。その後は動揺が治まったら接着剤を外します。

⑦矯正治療で無理な力がかかっている場合

矯正治療上、歯のぐらつきはある程度起こります。しかし、過度な力がかかっている場合は、その後の矯正治療において負担を軽くするなどして調整していきます。

⑧永久歯の先天欠損により残っている乳歯の動揺の場合

この場合は下に控える永久歯がありませんので、出来ればその乳歯が使えれば使いたいところですが、噛むと痛い、噛むとグラグラして噛めない場合は抜歯となります。

まとめ

注意すべきこと

歯がグラグラすれば気になって無意識に舌や指で触ったり揺らしたりしたくなるものです。しかしそうすることによって、またさらに不必要な力をかけることになり状態は悪化してもっと揺れるようになってしまいます。ですので、歯がグラグラしてきた場合は絶対に舌で押したり、指で揺らしてみたりなどせずに、できるだけ力をかけないようにして早めに歯科医院で対処してもらうことが大事です。