歯がグラグラするという症状は乳歯から永久歯に生え替わる時に誰でも経験するもので、ごく生理的な現象ですが、大人になって歯がグラグラするというのはあまり良い兆候ではありません。歯ぐきに隠れて見えないところで何かが起こっている合図なのですが、果たしてどのようなことが起こっているのでしょうか?
歯には生理的動揺というものがある
健康な歯でも多少の動揺はするものです。これは歯と骨の間に存在する歯根膜と呼ばれる組織のクッション作用によります。正常な場合0.2mm以下の動揺の範囲です。それ以上を超えた範囲でグラグラ揺れる場合は何かの異常が起きてきていると考えた方が良いでしょう。
歯がグラグラする原因
歯がグラグラする原因は様々です。以下に挙げていきます。
①歯周病で骨がとけてしまった

歯周病によって周囲の骨がとけて下がっていくと、歯は支えるものがなくなるのでグラグラ揺れてきます。ひどくなると咬んだり舌で押したりするだけでグラグラしてきます。
②さし歯が外れている
さし歯をくっつけている接着剤が取れてしまっている時に、歯(差し歯の部分)はグラグラすることがあります。
③歯の根っこが割れた
歯の根っこが真っ二つまたはそれ以上に割れてしまっている場合です。
さし歯が入っている場合に起こることが多いです。
④噛み合わせに異常な力がかかっている場合
歯に異常な噛み合わせの力がかかっている場合、歯を支えている周囲の組織がダメージを受け、歯の揺れが大きくなります。
原因としては
- ある特定の歯が他の歯よりも先に当たる。
- 歯ぎしり、食いしばりなどがある
- 入れ歯の金具がかかっている歯である
- 舌や唇で強く歯を押す癖がある
などがあります。
⑤根っこの先に大きな膿の袋があり炎症を起こしている時

出典:日本口腔外科学会
根っこの先に膿がたまる根尖性歯周炎において、感染などにより急性炎症を起こすと歯が浮いたようになることがあり、歯が大きく動揺してきます。
⑥外傷
歯をぶつけたりなど、外から強い外力が加わった場合に歯がずれたり抜けてきている場合です。
⑦矯正治療による歯根吸収
歯の矯正治療において、歯が移動する際にある程度歯が揺れることはよくありますが、稀に歯根が吸収して短くなってしまい、歯がグラグラしてくることがあります。
⑧永久歯の先天欠損により乳歯が残っていた場合
まれなケースですが、永久歯が部分的に備わっていない人の場合、その永久歯がない部位の乳歯は子供時代に生え替わりが起こらないことが良くあります。ですが、その乳歯の根っこがゆっくり吸収していき大人になってから揺れ始め、抜けることがあります。
歯がグラグラすることにより起こる症状

急にグラグラしてきた場合の原因と症状
さし歯が取れた
接着剤がとれてできたスペースにばい菌が入り、変な味がしたり、悪臭がしたりします。
根っこが割れた
根っこの割れた部分にばい菌が入り、変な味、悪臭、また、歯ぐきが腫れたり痛みを出すこともあります。
外傷
ぶつけたことによる痛みや歯の位置が変わってしまったり、また衝撃の強さによっては完全に抜けてくることもあります。
徐々にグラグラしてきた場合の原因と症状
根っこの先に膿がたまった
このケースでグラグラしてきた場合においては、もうすでに強い痛みが出ていたり歯ぐきが腫れたりしている場合が多いです。強い炎症により、歯が浮いたようになり、噛むと強く当たることがあり、それによってさらに強い痛みが出ます。
歯周病
骨の吸収が徐々に徐々に進むことによって動揺がだんだんと強くなってきます。骨がなくなってしまうことにより、歯が浮いたような感覚、噛むと痛くて噛めないなどの症状が出ます。急性発作の場合にはさらに強い痛みや腫れの症状がでます。
噛み合わせに異常な力がかかっている
歯と骨をつなぐ歯根膜にダメージが加わっている為、噛むと違和感、痛いなどの症状がでます。
無理な力のかかった矯正治療
歯が揺れてくる、という症状以外には特別な症状を出さないことが多いです。
永久歯の先天欠損によって残存している乳歯
乳歯の根っこが徐々に吸収してくるため、だんだんと噛むと違和感や痛みや揺れが出てきます。
まとめ
歯の動揺といってもさまざまな原因がありますね。これらの原因は表からは見えないところで起こっているものもあるため、レントゲンでしっかりと状態を確認し確定診断をする必要があります。また、動揺の兆候を見つけたら早めに歯科医院を受診し早めの対策を取ることをお勧めします。