ダイエットと聞いて、あなたは何を連想しますか?ダイエットという言葉はもともと「食事」という英語に由来していますが、今は「体重を減らす・痩せる」の意味で使われているようです。食事制限や日々の運動の他にも、世の中にはたくさんの「ダイエット法」が存在します。色々試した結果、効果が出なかったという経験をされている方は多いのではないでしょうか。今回は痩せるメカニズムを科学的根拠に基づいてご説明します。

目次

あなたは本当に肥満?

自分が痩せる必要があるかどうかは、BMI (Body Mass Index)を基準に考えることをおすすめします。簡単なので、是非自分のBMIを計算してみてください。

BMI=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))

目標とするBMIは男女ともに以下の通りです。

年齢(歳) 目標とするBMI
18~49 18.5~24.9
50~69 20.0~24.9
70以上 21.5~24.9

出典:厚生労働省|食事摂取基準2015

この指標をおすすめする理由は、疫学研究によって死亡率や平均寿命などが配慮され総合的に判断された目標値が設定されているからです。この範囲を超えている方は痩せる必要があるといえますが、範囲内の人・範囲を下回る人は痩せる必要はないでしょう。痩せすぎが病気などのリスクを高めることは、既に研究で明らかとなっています。

体重を減らすには

体重計

当たり前のように聞こえますが、痩せる、すなわち体重を減らすためには「摂取カロリー<消費カロリー」の状態を保つ必要があります。体重の増減がなければ2つはイコールの状態なので、通常の状態から摂取カロリーを減らす、又は消費カロリーを増やすことで体重の減少がみられます。

では、自分の普段摂取するカロリーや消費するカロリーを知っていますか?実測することは非常に難しいので、ここでも疫学調査から得られた平均的なデータで代用することができます。以下の「推定エネルギー必要量」の値を、実際の摂取カロリーが超えてしまうと体重増加、下回ると体重減少の方向に進むとみなせます。

性別 男性 女性
身体活動レベル I II III I II III
0~5ヶ月 550 500
6~8ヶ月 650 600
9~11ヶ月 700 650
1~2歳 950 900
3~5歳 1300 1250
6~7歳 1350 1550 1750 1250 1450 1650
8~9歳 1600 1850 2100 1500 1700 1900
10~11歳 1950 2250 2500 1850 2100 2350
12~14歳 2300 2600 2900 2150 2400 2700
15~17歳 2500 2850 3150 2050 2300 2550
18~29歳 2300 2650 3050 1650 1950 2200
30~49歳 2300 2650 3050 1750 2000 2300
50~69歳 2100 2450 2800 1650 1900 2200
70歳以上 1850 2200 2500 1500 1750 2000
妊婦(付加量)
初期
+50 +50 +50
中期 +250 +250 +250
後期 +450 +450 +450
授乳婦(付加量) +350 +350 +350

身体活動レベルの定義は、

Ⅰ:生活の大部分を座って過ごすなど、静かな活動が中心の場合

Ⅱ:座った状態が中心の仕事で、移動や立った状態での作業・接客、あるいは通勤・買い物・軽スポーツなどを含む場合

Ⅲ:移動や立ちっぱなしの仕事をしている場合、あるいは、スポーツなど余暇における活発な運動習慣を持っている場合

となっています。簡単に自分の「推定エネルギー必要量」が知ることができたのではないでしょうか。

脂肪燃焼のための消費カロリー

脂質1kgが燃焼すると、約9,000kcalのエネルギーが発生します。生体内の脂肪は約20%の水分を保持しているので、脂肪1kg減らすには、9,000×0.8=約7,200kcal 分のエネルギーを消費すればよいことになります。したがって、脂肪1kgを1か月で燃焼させるには、7,200÷30=240kcal分を1日で余分に消費するか、摂取量を減らす必要があります。

例えば「推定エネルギー必要量」の表から、30代女性・身体活動レベルⅡの方の運動量がそのままの場合、2,000-240=1,760kcalの食事を1か月続けると1kgの脂肪が燃焼するという計算です。

最後に

○○を食べて痩せる!などのダイエット法も存在しますが、このように消費カロリーと摂取カロリーのバランスで考えると、摂取カロリーを増加させつつ痩せるというのは考えにくいです。

まずは自分にとってのエネルギー必要量の目安をきちんと把握しましょう。そして、急激に体重を減らそうとするのではなく、ゆっくりと減らしていきましょう。