いつも口がネバネバしているような感じがしたり、いつも口がカラカラに渇いていたりしませんか。それはドライマウスかもしれません。ドライマウスは口が渇くだけでなく、虫歯や歯周病にかかり易くなり、口の中だけでなく誤嚥性肺炎など全身へのトラブルも誘発する可能性があります。今回はドライマウスの治療法と家庭でも出来る対処法についてご紹介していきます。
ドライマウスとは?
ドライマウスとは口が乾いた状態を指す言葉で、病名ではありません。口腔乾燥症とも呼ばれます。病気が原因になっていることもありますが、はっきりとした病気がなくドライマウスの状態になることもあります。
口の乾き方のパターンは主に3つで、唾液の分泌量が少なくなる場合と唾液の分泌量が正常なのに口が渇く場合、唾液の分泌量が正常で蒸発する量が多い場合があります。
いずれも原因はさまざまで、脱水症状や口呼吸といった直接的なものから、薬の服用、精神的要因、加齢、全身性疾患などが関係する場合があります。詳しくは「口の渇き気になりませんか?あなたもドライマウスかもしれません!」をご参照ください。
ドライマウスはどうやって治療するの?

ドライマウスの治療は基本的に、原因を見つけてその原因を取り除くこと・原因にあわせた治療をすることが重要になります。また疾患によっては疾患自体の治療のみだけでなく、お薬で唾液の分泌を促したり、口腔内の保湿を行ったりする対症療法を施す場合もあります。
原因が究明できてもそれを取り除くことができないときは、辛い自覚症状を出来るだけ早く取り除くことを重要視します。特に痛みを伴うドライマウスは痛みの除去を優先して行います。
原因疾患を治療する
糖尿病や腎臓病などが原因でドライマウスが起こっている場合は、その病気の治療を行います。内服している薬が原因の場合はその薬の変更や減量を行っていきます。また、ストレスが原因であればストレスの除去に努めてもらうようにします。
対症療法
1.口腔内の保湿
乾燥に対する対策は口の中の保湿で、口腔粘膜の保湿剤を使用します。さらに唾液腺刺激療法と言われる咀嚼による刺激や味覚による刺激、筋機能療法による刺激を与えていきます。
2.唾液の量を増やす、分泌を促す
ピロカルピンやセビメリンといった、唾液分泌促進剤を使用することで唾液の分泌量を増加させます。また、アネトールトリチオンと呼ばれる唾液分泌を亢進させる作用をもつお薬が使われることもあります。
さらに西洋薬だけでなく、麦門冬湯、白虎化人参湯といった漢方薬も有効とされています。
家でできる対処法にはどんなことがあるの?

家でできるドライマウスの対処法は基本的に治療法とほとんど同じことを家でも行います。
- 口の中の渇きを感じたら、ガムなどを咬むことで咀嚼刺激を与え唾液の分泌を促します。ガムは味覚による刺激もありますのでさらに唾液の分泌を促す効果があります。
- 唾液腺自体を直接マッサージする方法もあります。顎の下の顎下腺や耳の下の耳下腺を刺激します。
- 乾燥が著しく強い場合は口腔粘膜用の保湿ジェルや保湿スプレーなどを使用するのも良いでしょう。これらは市販の薬局では手に入りづらい場合がありますので歯科医院で購入するのが良いでしょう。
- うがいの回数を増やして口の中を保湿することも効果的です。
- 部屋の湿度をコントロールするようにしましょう。
- 外出時はマスクをしてなるべく口が乾燥するのを防ぎましょう。
- 日常の生活ではストレスを溜めないようにしましょう。
- アルコールの取りすぎや、タバコを吸うことは控えるようにしましょう。
最後に
国内では、ドライマウスの患者数は800万人~3000万人と推定されています(ドライマウス(口腔乾燥症)-シェーグレン症候群の発見から学ぶ―(PDF)より)。ドライマウス自体は病気ではなく、またそれだけで何か病気を意識する方は少ないと思います。しかし、口の乾燥の原因に何らかの病気が隠れていることもあるため、注意する必要があります。