口の中がカラカラになっている。なんだか口の中がネバネバする。こんなお悩みありませんか?口の中の渇きはドライマウスと呼ばれ、色々な病気の合併症や薬の副作用で起こることがあります。今回は口の中の渇き、ドライマウスについてその原因と合併症について解説していきます。

目次

ドライマウスは病気なの?

ドライマウスは日本語では口腔乾燥症とも呼ばれますが、それ自体は病気ではありません。自覚症状として口が渇いた感じがあったり、所見として乾燥している状態のことを表す言葉です。

ドライマウスが起こるには通常何かの原因があるはずですが、全く病気でない場合もあります。

ドライマウスになるメカニズムは?

ドライマウスになるメカニズムは原因によっては様々です。大きく分けると唾液腺に問題があり、唾液分泌が少なくなっている場合唾液が過剰に蒸発してしまっている場合自律神経がバランスを崩している場合、脱水症状などがあります。

日常にひそむドライマウスの原因

まずは、誰でも起こりうるドライマウスの日常的な原因について説明します。

 口呼吸をしている

口呼吸をすると、唾液が過剰に蒸発してしまいます。癖になっている方もいるでしょうし、鼻がつまっているとどうしても口呼吸になりがちです。
また、日中は大丈夫でも眠っている間に口呼吸をしていて、結果として口がカラカラになっている( 夜間口腔乾燥)こともあります。

精神的要因

緊張して口の中がカラカラになる、という経験をした方は多いかと思います。
緊張や興奮状態にあると、唾液分泌をつかさどっている自律神経のバランスが崩れてドライマウスになることがあるのです。

薬物の副作用

花粉症の薬(鼻炎薬)や風邪薬、鎮痛薬など、身近な薬の副作用によってドライマウスを引き起こすことがあります。薬の添付文書で副作用の箇所に「口渇」と書かれている薬がこれにあたります。

脱水症状

渇いた地面

口だけでなく、体中の水分が不足している状況です。

などが考えられますので、こまめに水分をとることで対処しましょう。

筋力の低下

柔らかいものばかり食べるなど、顎の筋力が低下することで唾液の分泌量が減ってしまいます。

加齢

中年以降、様々な理由で口が渇きがちになります。
まずは筋力の低下により唾液が分泌されにくくなりますし、顎が前に出て口呼吸しがちになったり、服薬する薬が多くなり、その副作用で口が渇いたりすることが主な原因とされています。

飲酒

アルコールには利尿作用がありますので、飲みすぎると脱水症状になってしまうことがあります。

ドライマウスをともなう疾患

以下では、ドライマウスの症状の裏にひそんでいるかもしれない疾患を紹介します。

糖尿病、腎臓病、尿崩症

これらの病気は尿の回数が増えますので、体の水分がうばわれてしまい脱水状態になります。

シェーグレン症候群

免疫の異常によって起こる疾患です。唾液腺全体に及ぶ病気で、目や口、皮膚が渇く症状や、息切れ関節痛がみられます。40~60歳代の女性がかかることが多いです。

精神疾患

抑うつ、心身症は緊張状態による口の渇きをもたらします。

脳血管障害

脳の血管に異常ができるくも膜下出血脳出血脳梗塞は筋肉の麻痺がおこりますので、唾液の分泌が少なくなります。これらは命にかかわる病気で、吐き気や激しい頭痛、意識を失うことがあります。

更年期障害

閉経の前後10年間のことを更年期と呼び、その間は女性のホルモンバランスが急激に変化します。
その影響で唾液の分泌が減るほか、だるさ肩こりのぼせ、イライラといった症状が出ます。

ドライマウスで引き起こされる合併症

ドライマウスの女性

口の中が乾燥すると、以下のようなデメリットや症状があります。

虫歯・歯周病になりやすくなる

ドライマウスになると唾液の力によって自分の口の中を洗浄する能力(自浄作用)が失われてしまいます。その結果、虫歯歯周病になる率が非常に高くなるのです。

粘膜や舌が痛む

口が渇くと口腔内が荒れやすくなるため、粘膜や舌がぴりぴりと痛くなることがあります。
そのほか、普通ザラザラしているはずの舌の表面が赤くツルツルになってくる症状もみられます。完全にツルツルの状態は、平滑舌といいます。

口臭が強くなる

自浄作用が失われ、口臭が強くなります。

食べものを飲み込みにくくなる

唾液不足により食べものが口内にくっついてしまい、食べ物をうまく喉に運びにくく感じます。特にパン・ビスケット等の乾いたものは食べづらくなってしまいます。

全身疾患につながることも

ドライマウスによって唾液の作用が少なくなり、細菌が肺に入ってしまう誤嚥性肺炎などの全身疾患につながることもあります。

最後に

口の乾燥、ドライマウスは原因に重大な病気が考えられるほか、さまざまな症状を引き起こすことがあります。もし皆さんが悩んでいるようでしたらお近くの歯科に相談してみてはいかがでしょうか。